正誤判別問題攻略法【Mission 12】
▼早速,今回の Mission に挑戦しましょう!
=Mission【12】=
次の英文の[ ]内から誤りのある箇所を1ヶ所指摘しなさい。
[001] Even a [15-minute walk] can [be improved] your mood and [increase] your energy [for up to] two hours.(立命館大学)
[002] A feeding machine [that designed to] make life [easier] for older people [has won] a top prize [at an award ceremony].(中央大学)
[003] It [takes] Westerners [a while] to learn [how to use] the chopsticks that [offer] in Japanese restaurants.(立命館大学)
▼解答・解説は下にあります。
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=Answer【12】=
▼今回の共通テーマは,「能動態と受動態の区別」です。
これは,【Mission 04】で学んだ「自動詞と他動詞の区別」と,【Mission 06】で学んだ「過去形と過去分詞形の区別をつけること」の理解が前提となりますので,もしそちらをまだ読んでいない方がおられましたら,ぜひそちらから読んでください。
▼「受動態」を一言で定義すると,「能動態のときの目的語を主語にして,動詞を〈be動詞+過去分詞〉にしたかたち」となります。たとえば,"I love you." を受動態にするとき,目的語は "you" なので,You are loved by me. となります。このとき,目的語が主語の位置に移動しているので,〈be動詞+過去分詞〉の後はもともとそこにいた名詞が1つ欠けたかたちになっていなくてはなりません。
You are loved Φ by me.
⇒Φのところにあった you が文頭に移動している。
▼先ほど〈能動態のときの目的語を主語にして,動詞を〈be動詞+過去分詞〉にしたかたち〉であると定義しました。すると,目的語が存在していない文を受動態にすることはできませんね。たとえば,"He runs very fast." という文では,very fast は runs を修飾する副詞であって目的語ではないので,この文を受動態にすることは不可能です。要するに,「自動詞は(目的語をつけられないので)受動態にできない」ということになります。
▼ただし,自動詞を受動態にすることもあります。その場合,〈自動詞+前置詞〉をまとめて1つの他動詞として扱えば良いのです。
ex) He laughed at me.
→I was laughed at Φ by him.
(laugh at を1つの他動詞と考えて,Φの位置にあった me を I に変えて主語にする。)
▼"laughed at by" と at と by が並ぶのに違和感を感じるかもしれませんが,先ほど述べたように,受動態では目的語が1つ欠けたかたちにならなければなりませんから,これが正しいのです。
▼なお,受動態は能動態と同じ意味というわけではありません。受動態は,情報の流れを〈旧情報⇒新情報/重点情報〉という順番にするために用いられるものです。これについてはまた後日,情報構造についての説明で詳しくお話しします。
[001] [be improved]→[improve]
[002] [that designed to]→[that was designed to]又は[designed to]
[003] [offer]→[are offered]
[001] improve は「~を改善する」という意味の他動詞で,目的語は1つしか取ることができません。be improved と受動態になっているとしたら,その後に目的語を置くわけにはいきませんが,本文には your mood(あなたの気分)という目的語があります。よって,受動態ではなく能動態に直さねばなりません。
訳:15分歩いても,2時間までの間,気分が良くなって活力を増すことができる。
[002] この that は,直後に主語が無いために関係代名詞と考えられますが,そうなると,その後に続く designed が過去形の述語動詞になるはずです。しかし,design は「~をデザインする/~を設計する」という意味の他動詞なので,目的語が必要になります。また,「機械」は「設計される」側ですから,受動態にしなければなりません。よって,that designed toをthat was designed to とするか,that was を取り去って designed to と直します。ちなみに,冒頭の feeding は動名詞で「用途」を表し,「食物を摂取するための」と訳します。
訳:高齢者にとって生活を楽にするように設計された食物を摂取するための機械が,ある表彰式で最優秀賞を勝ち取った。
[003] offer は「~を提供する」という意味の他動詞ですが,目的語が無いので受動態にします。意味の上でも,「箸」は日本食のレストランで「提供される」ものですから,受動態にしなければなりません。よって,offer を are offered に直します。
訳:日本食のレストランで提供される箸の使い方を西洋人が学ぶにはしばらく時間がかかる。
=Lesson【12】=
▼能動と受動の区別は,意味だけでなく,その動詞の語法を考えること!