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正誤判別問題攻略法【Mission 09】

▼早速,今回のMissionに挑戦しましょう!

=Mission【09】=

▼次の英文の[ ]内から誤りのある箇所を1ヶ所指摘しなさい。
[001] Take [this] [medicine] after you [ate] [lunch].(慶應義塾大学)

[002] If you [are seated] when a newcomer [will enter] the room, stand [up] to be greeted and [introduced].(広島修道大学)

[003] [ ]内に誤りのある文を1つ選びなさい。(日本大学)
1. I don't know if he [comes] back next summer.
2. It won't be long before she [sees] him again.
3. Please call me as soon as you [arrive] at Narita.
4. She'll be glad to see you when she [gets] home.

▼解答・解説は下にあります。
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=Answer【09】=

▼今回の共通テーマは〈時・条件を表す副詞節中における未来の表現〉です。

「時や条件を表す副詞節中では,未来のことは現在時制単純形で,未来完了は現在時制完了形で表す」という原則があります(*1)。このルールはどの参考書にも載っていますが,意外と理解できていない人が多く,時制をマスターする上での障害となっています(「ifやwhenがあったらwillは使えない」という乱暴な覚え方をしている人が少なからずいるようです)。そこで,ちょっと説明が長くなりますが,このルールについて解説しますので,是非理解して下さい。

▼このルールには,以下の3点のポイントが含まれています。

[1] 時や条件を表す
[2] 副詞節
[3] 未来のことを現在時制単純形で,未来完了は現在時制完了形で

▼「時や条件を表す」というのは,文字通り,「~する時」「~すれば」「~する前に」「~するまで」など,〈時や条件〉について表した表現ということです。

▼問題は,「副詞節」ということばです。実は,高校英語で大半の人がここでつまづいてしまうのです。それは,この「副詞節」という言葉をきちんと理解できていないためなのです。少しややこしい話になりますが,順を追って説明しますので,きちんと理解&暗記してくださいね。

▼「節」とは,述語動詞(Mission 06の解説を参照)を含んだカタマリのことです。たとえば,"He said that he would marry her." という英文では,saidとwould marryという2つの述語動詞がありますから,この英文には「節」が2つあることがわかります。「節」が2つ以上ある場合,必ず「のり」が必要になります。その「のり」になれるのは,

(a) 接続詞(等位接続詞・従属接続詞)
(b) 関係詞(関係代名詞・関係形容詞・関係副詞)
(c) 疑問詞(疑問代名詞・疑問形容詞・疑問副詞)

の3つだけです。このうち,等位接続詞(and / but / or / nor / for / so / yet)以外のつなぎ言葉が頭についている節を「従属節」,頭についていない節を「主節」と呼びます。たとえば,先ほどの例文(He said that he would marry her.)で「つなぎ言葉」にあたるのはthatですが,これは,今挙げた7つの等位接続詞には含まれていません。よって,thatからherまでが「従属節」になります。


▼「従属節」は,その役割によって,さらに以下の3種類に分類されます。

[1] 名詞節→文中で主語・目的語・補語・同格の働きをする
ex) I wonder [when she will come back].
(彼女はいつ戻ってくるのかな。)
⇒[when~back]は他動詞wonderの目的語なので名詞節。
[2] 形容詞節→文中で,前にある名詞を修飾する
ex) I’ll never forget the day [when I met her].
(私は彼女にあった日を決して忘れない。)
⇒[when~her]はthe dayを修飾する形容詞節。
[3] 副詞節→文中で,名詞以外を修飾する
ex) Tell her to call me back [when she comes].
(彼女が来たら私に折り返し電話するように言いなさい。)
⇒[when~comes]は動詞tellを修飾する副詞節。

▼これを言いかえれば,副詞節とは「(a)述語動詞が2つ(以上)ある文で,(b)等位接続詞以外のつなぎ言葉(従属接続詞・関係詞・疑問詞)が頭にくっついているカタマリで,(c)名詞以外のものを修飾しているもの」と言えます。

▼時や条件を表す接続詞はたくさんありますが,その中でも if と when だけは副詞節以外の従属節(ifは名詞節・whenは名詞節と形容詞節)を作ってしまうので,名詞節・形容詞節・副詞節の判別が必要になります。しかし,これ以外の時や条件を表す接続詞(after / as / before / by the time / every time / each time / since / till / while / untilなど)については原則として副詞節しか作らないので,判別の必要はありません。

[001] [ate]⇒[eat]
[002] [will enter]⇒[enters]
[003] 1.[comes]⇒[will come]

[001] afterは時を表す副詞節を作る接続詞なので,未来のことは現在時制単純形で表します。この英文は「薬を飲みなさい」とこれから先(未来)のことについて命令しているのですから,「昼食を食べた後に」という内容も「未来」のことでなければなりません。よって,ateをeatに直します。
訳:昼食を食べた後で,この薬を飲みなさい。

[002] このwhen~roomは,名詞節(S・O・Cになる節)でも形容詞節(前の名詞を修飾する節)でもないため,副詞節と判断できます。よって,未来のことは現在時制単純形で表さねばならないので,will enterをentersに直します。
訳:新しく来た人が部屋に入る時にあなたが座っていたら,立ちあがって挨拶を受け,紹介を受けなさい。

[003] 「時や条件を表す副詞節では,未来のことは現在時制単純形で,未来完了は現在時制完了相(現在完了形)で表す」というルールがありますが,1の"if he~back next summer"はknowの目的語になる名詞節なので,このルールは適用されず,未来のことは助動詞will等を用いて表さねばなりません。なお,ifが名詞節の場合,「SがV~かどうか」と訳します。
訳:彼が来年の夏に戻ってくるかどうか私は知らない。

=Lesson【09】=

▼時や条件を表す接続詞があったら,その後の時制に注意しよう!

【注】

*1 時や条件を表す副詞節では,なぜ未来のことについて現在時制単純形で示さねばならないのでしょうか?これについては以下のように諸説あります。

「ところで,時や条件の副詞節ではなぜ未来を指示するwillが用いられないかについては,幾つかの説がある。まず,Jespersen(1931:24:1933:239)は,このような節で現在時制が規則的に用いられているのは,未来性(futurity)が主文の動詞によって十分に示されているからであると述べている。Allen(1966:168)は,Jespersenのこの考えに反対して,このような,文中に含まれている節の中の現在時制は,主節のwillの表すときと同じ時を合図しているので,論理規則の違反にならないと主張する。荒木・小野・中野(1977:53)は,主節やwillが現れうる自由節(1)は話し手の主張を含むけれども,時や条件の副詞節のような拘束節(1)は話し手の主張を含まないので,その主張の力を緩和する法助動詞willが生じ得ないと考えている。さらに筆者の考えを付け加えるならば,このような”拘束節”は,時間の区別が非関与的であるような単なる命題を表しているので,その目的に最もよく適ったものとして時制に関して中立的(neutral)な現在時制が選ばれているのだと言うことができる。このような考えを支持するのは,元来,時や条件の副詞節では(23)aのように”想念”を表す仮定法現在が用いられ,のちに人称にかかわらず,(23)bのようにshallが用いられていたのであり,willが用いられていたのではないという歴史的事実である。」(安藤貞雄『英語教師の文法研究』,大修館書店,1983,pp.79-80)

▼この件について,私自身は以下のような考え方もあるのではないかと思っています。たとえば,以下の2つの英文で考えてみましょう。

 ex-1) If it will be fine tomorrow, we’ll go on a picnic.
 ex-2) If it is fine tomorrow, we’ll go on a picnic.

▼「明日晴れたらピクニックに行く」という英文ですが,「ピクニックに行く」ことが成立するためには,
 (1) 明日晴れるであろうという「推量」(ex-1)
 (2) 明日,晴れであるという「事実」(ex-2)
のどちらが必要でしょうか。たとえ,前日の天気予報で「明日は晴れるでしょう」と言われても,当日の朝になって雨が降っていたらピクニックには行けません。よって,「ピクニックに行く」ことが成立するには,「晴れている」という「事実」が必要となります。そのため,時や条件を表す副詞節中では,未来のことは現在時制の単純形で示さねばならない,ということになります。

▼逆に,たとえばコンパに誘われたとき,「あの人が来るつもりなら私は行かない」と言いたい場合,
ex-3) If he will come, I won’t come.
と言うことは可能です。この場合,「私は行かない」ということが成立するには,彼が実際に来なくても,彼が来る「意志や可能性」だけで十分だからです。もし "If he comes, I won't come." としてしまうと,「彼が(実際に)やって来たら,私は行かない」となってしまい,論理的に矛盾したことになります。

▼このように,実際には,時や条件を表す副詞節中でwillなどの法助動詞が用いられることもあります。

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