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You can make it!! 時事英語【#002 epidemic】

【epidemic】

▼「伝染性の」「(病気が)流行している」「伝染病」「(病気などの)流行」
▼ギリシャ語のepidemia(訪問する・流行している)から。17世紀初頭から使われ始めた。
▼epi-(~の上に)+demic(人々=demo)

◆2014年9月から10月にかけてのBBC / CNNのトップ記事は,ISIS(イスラム国)とEbola(エボラ病)に関連したものが圧倒的に多く,この epidemic という単語もそれに応じて繰り返し使われていました。

【例文】
The Ebola epidemic in West Africa is playing out before the world's eyes.
(西アフリカのエボラ病の流行が世界中の人々の目の前で進行している。)
出典 http://edition.cnn.com/2014/08/06/health/ebola-epidemic-fears/
□□ play out 進行する

【pandemic】

▼「(病気が)世界的に流行の」「全国(世界)的流行病」
▼17世紀ごろから使われていることば。
▼pan-(全ての)+-demic(人々)


◆接頭辞の pan- は「全ての」という意味で,pandemic は「全ての人々に」⇒「世界的に流行している」という意味になります。
◆pandemic は epidemic よりも範囲が広く,epidemic が一つの国や地域に病気が蔓延している状態であるのに対して,pandemic は世界的流行を表しています。
◆この原稿の準備をしていたころ,まだ Ebola はアフリカの特定の国の中だけの出来事でしたが,pandemic になるのも秒読み段階ではないのだろうか,と心配しながら原稿を書いていました。

【例文】
Here's a look at what you need to know about the H1N1 influenza virus, also known as swine flu. There was a pandemic outbreak across the globe which lasted from 2009 to 2010.
(豚インフルエンザとしても知られている,H1N1インフルエンザウィルス,について知っておく必要があることを見ておきましょう。2009年から2010年まで地球全体で世界的に大発生しました。)
出典 http://www.cnn.com/2013/08/23/health/h1n1-u-s-fast-facts/index.html
□□ influenza インフルエンザ(⇒ #003 を参照)
□□ virus ウィルス
□□ swine 豚の
□□ flu influenzaの短縮形
□□ last 続く

【endemic】

▼「(病気などが)その地方特有の」「その土地特産の」「根強い」
▼18世紀中ごろから使われている。
▼en-(中の)+demic(人々)

◆endemic は en-(中の)という接頭辞からわかるように,ある特定の地方の「中」を表すため,epidemic より範囲が狭く,広さの順でいえば,endemic < epidemic < pandemic となります。

【例文】
Is racism endemic in Spanish football?
(人種差別はスペインのフットボールに特有のものなのか?)
出典 http://edition.cnn.com/2014/05/05/sport/football/diop-monkey-chants-racism-football-atletico-madrid/
□□ racism 人種差別(⇒ #001 terrorism を参照)

【democracy】

▼「民主主義」「民主政治(国家)」「民衆」cf.) the Democracy「(アメリカ)民主党」
▼ギリシャ語のdēmokratiaから。英語では16世紀前半ごろから使われ始めた。
▼demo-(民衆)+-cracy(統治)
▼形容詞形は democratic (「民主的な」「民主主義の」)


◆既に日本語でもおなじみの表現・「デモクラシー」。これは demo-(民衆・人々)と cracy(統治)を合わせた言葉です。
◆ひとくちに「民主主義」といっても,実際には時代や文化・国により意味が異なっていて,日本の場合,〈民主主義=多数決〉という考え方が根強いように思えます。
◆しかし,多数決の原理は,「多数派による少数派の迫害」へとつながったり,いわゆる「衆愚政治」に陥るおそれがあります。あるいは,過去を振り返ると,ナチスドイツですら多数決による選挙で選ばれているわけですから,扇動者の詭弁に騙されることなく,ぼくたち一人一人が正しい意思決定を行えるようになることが必要だと言えます。

【例文】
The struggle for democracy is not dead, say Hong Kong's pro-democracy activists, who have pledged to continue opposing Beijing despite setbacks.
(民主政治を求める闘いは死んではいない,と香港の民主主義擁護活動家たちは語る。彼らは挫折にもかかわらず北京[=中国政府]に反抗し続ける事を堅く誓ってきた。)
出典 http://www.cnn.com/2014/09/03/world/asia/hong-kong-democracy-occupy-central/index.html
□□ struggle for~ ~を求める[支持する]闘い
□□ pro-democracy 民主主義擁護の
□□ activist 活動家
□□ pledge 堅く誓う
□□ continue~ ~を続ける
□□ oppose~ ~に反抗[反対]する
□□ Beijing 北京
□□ despite~ ~にもかかわらず
□□ setback 挫折

◆2019年11月現在,香港では民主化運動が激化していますが,それは決して今に始まったことではありません。この記事は2014年9月のものですが,この時には普通選挙を求める「雨傘革命」(Umbrella Revolution)や「雨傘運動」(Umbrella Movement)と呼ばれた反政府デモが盛んにおこなわれていました。
◆非常に興味深いのは,この時も,そして現在の民主化運動も,いずれも最初は大学生や高校生といった若者が中心に行われたものであった,ということです。そして,当初は座り込みなどの穏健な活動だったものが次第に過激化し,やがて死傷者(「雨傘革命」では負傷者のみ)を出す事態にまで発展した,ということも共通しています。
◆日本ではこうした学生たちの動きを冷ややかな目で見る向きも少なくありません。1970年代初頭まで日本で盛んに起きていた学生運動も,過激化するにつれて社会からの支持を失い,「よど号ハイジャック事件」(1970年3月)と「あさま山荘事件」(1972年2月)によって「学生運動は民衆に脅威を与えるテロ行為である」という認識が決定的となり,学生たちが自己主張する動きが急速に衰退していったという歴史的経緯が現代の「冷ややかな目」につながっていったのではないかと考えられます。
◆もちろん,そうした暴徒化・過激化・暴力革命は肯定できるものではありません。しかし,だからといって「若者は自己主張をすべきではない」「若者の主張は馬鹿げている」といった冷ややかな目で見るのは大人の傲慢でしかありません。
◆2021年度に導入予定の大学入試改革を巡り,Twitter上を中心に英語の民間検定試験導入や国語・数学の記述式問題導入に対して多くの若い人たちが反対の声を上げ,その意見を封殺する書き込みをした当時の文部科学大臣に対して批判が高まりました。それに対し「若者は勉強だけしていればいい。余計なことに首を突っ込むな。大人は彼らを扇動するな」という意見も見られましたが,若い人たちが当事者としての危機意識をもって社会と向かい合うこともまた,非常に有意義な勉強ではないでしょうか(少なくとも私の知る限り,彼らを「支持」した人は大勢いますが,彼らを「扇動」した人は見たことがありません)。そして,大人としてあるべき姿とは,彼らが過激化・暴徒化して自滅することがないように見守り,助言することではないか,と思うのです。かつての学生運動の轍を踏むことがないように。

▼#002 epidemic の解説は以上です。

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