正誤判別問題攻略法【Mission 01】
【Introduction】
▼「正誤判別問題」とは「間違い探し」のことです。では,間違い探しを得意にするにはどうすれば良いでしょうか?
▼以前,『ゴッドハンド輝』という漫画の中で,主人公の医師・真東輝がレントゲン写真から患者の病状を読み取ることができずに悩む,という場面がありました。悩む輝に対し,先輩医師の北見柊一は,ある一枚のレントゲン写真を差し出し「三日間でこのレントゲン写真から異常を見つけろ」と命じます。三日間,それこそ穴が開くくらいそのレントゲン写真をじっと見つめるものの,いっこうに異常は見つけられません。苦悩する主人公…。
▼ところが,三日後に他のレントゲン写真を見た時,彼は,他の誰も気がつかなかったようなわずかな異変を察知することができるようになっていました。
▼実は,北見から渡されたレントゲン写真は,何の異常もない,健康な患者のものだったのです。健康な患者のレントゲンですから,異常など見当たらないのは当たり前です。要するに北見は,輝の脳裏に,正常な患者の状態を徹底的に叩きこませたのです。そう,「異常」を発見するためには「正常」を知らねばならない,ということだったのです。
▼文法の正誤判別問題もまさにこれと同じです。「英語として正しい表現」を知らなければ「間違った表現」を見つけることはできません。ですから,正誤判別問題は,日頃どれだけきちんと正しい表現を身につけているかどうかを知るためのバロメーターになりうるのです。
▼この「正誤判別問題攻略法」では,それぞれの Mission ごとにある特定のテーマを扱います。ただし,正誤判別という設問の性質上,そのテーマが何であるのかを最初に示すことはありません。
▼まず〈Mission〉の問題を解いてください。その後〈Answer〉を見て答え合わせをしたうえで解説を読んでください。そして,最後の〈Lesson〉で各 Mission の狙いを確認しましょう。
=Mission【01】=
▼次の英文の[ ]内から誤りのある箇所を1ヶ所指摘しなさい。
[001] [Nobody know] [at what stage] humankind [acquired] [the use] [of fire].(関西学院大学)
[002] All news [concerning] the traffic accident [at] the [crossing] last night [were] bad.(亜細亜大学)
[003] When you [reach] Hong Kong, [give] this message to [whoever] [come] to meet you at the airport. (学習院大学)
[004] [Figuring] out [how] human genes work [promise] to lead [to] many new medical treatments. (学習院大学)
[005] The Nobel prize winner, accompanied [by] her husband and children, [are] staying in Stockholm [until] [after] the ceremony.(学習院大学)
[006] [In] the southwestern U.S., [much of which] is arid, is [becoming] drier as weather [patterns] shift.(学習院大学)
▼解答・解説はこの下です
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=Answer【01】=
[001] [Nobody know]→[Nobody knows]
[002] [were]→[was]
[003] [come]→[comes]
[004] [promise]→[promises]
[005] [are]→[is]
[006] [In]→削除
▼今回の問題に共通しているのは、〈S(主語)とV(述語動詞)の対応を正しく見抜けているかどうか〉です。英語の文には原則として主語(S)とそれに対応する述語動詞(V)が含まれますが,ここで大切なことは,主語に合わせて動詞のかたちが変わるということです。たとえばbe動詞の現在時制の場合,I ⇒ am,you ⇒ are,he ⇒ is となります。また,be動詞以外の「一般動詞」を使う場合,主語が三人称(「私,あなた,私たち」を除く人や物全て)の単数形で,現在時制の時には,いわゆる「三単現のs」をつけなくてはなりません。
[001] Nobodyは単数形の名詞なので、knowに三単現のsをつけてknowsとしなければなりません。
訳:どの段階で人類が火の使用を獲得したのか、誰も知らない。
[002] この文の主語はAll newsですが、newsは不可算名詞なので単数形扱いとなります。よって、wereをwasに直さねばなりません。
訳:昨夜のその交差点での交通事故についての全てのニュースは悪いものだった。
[003] [come]の主語は関係代名詞のwhoeverですが、whoeverは常に単数形扱いされる単語なので、三単現のsをcomeにつけてcomesとしなければなりません。
訳:香港に着いたら、空港であなたに会いに来た人には誰にでもこのメッセージを渡しなさい。
[004] この文の主語は Figuring という動名詞ですが、動名詞やto不定詞が主語となる場合は単数形扱いされるのが原則なので、promise に三単現のsをつけて promises としなければなりません。
訳:人間の遺伝子がどのように機能するかを解明することは、多くの新しい医療法につながる見込みがある。
[005] 主語は The Nobel prize winner という単数形の名詞ですが,それに対する述語動詞が [are] staying となっているので,are を is に変えねばなりません。
訳:そのノーベル賞受賞者は,夫と子どもたちに付き添われて,式典の後までストックホルムに滞在することになっている。
[006] 文頭の [In] the southwestern U.S. には前置詞 In がついていますが,原則として前置詞のついた名詞は主語になれないため,このままではこの文の主節の述語動詞 is [becoming] に対する主語が存在しないことになります。よって,[In] を削除しなくてはなりません。
訳:合衆国南西部は,その多くが乾燥しているが,天候パターンが変化するにつれてさらに乾燥しつつある。
=Lesson【01】=
▼正誤判別問題ではまず〈S(主語)とV(述語動詞)の対応〉に着目すること。また,不可算名詞や準動詞が主語の場合、単数形扱いされることにも注意しよう。
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