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落合陽一 写真展 「 晴れときどきライカ ─ 逆逆たかり行動とダダイズム 」に行ってみた件

2023年9月1日(金)、東京のライカギャラリーで落合陽一さんによる写真展がはじまりました

このイベントに先立って、前日にはレセプションが行われ、ライカ側のご厚意で参加する機会をいただきました。本当にありがとうございました。
当日は17時30分からレセプションと最新作の書籍「晴れときどきライカ」のサイン会が開催されました。

8月28日(月)発売となった最新作の書籍『晴れときどきライカ』

この写真展は、ライカギャラリー京都でも「晴れときどきライカ ─ 質量への憧憬、ラーメンは風のように」が同時開催されています。「晴れときどきライカ」というタイトルで落合さんが描き出す情景や思想、哲学を表現しています。

今回は、落合さんが実施したギャラリーツアーの一部を抜粋し、写真展についてご紹介します。なお、ギャラリーツアーの動画は時間の制限で一部のみ公開してますが、フルバージョンの動画は落合陽一さんが主宰する「落合陽一塾」で公開しています。

本には本独自の魅力があり、写真展にも写真展ならではの魅力が存在します。写真展は10月29日(日)まで。この記事が実際に会場に足を運ぶきっかけとなれば幸いです。

ライカ銀座店は、ライカカメラ社の世界で初めての直営店。
製品紹介、修理・メンテナンス、ギャラリー展示を通じて写真文化の普及に取り組んでいます。
ライカ銀座店2Fに14点の作品が展示されている。

ステートメント

「ダダの精神」および「逆逆たかり行動の精神」

猫は「逆逆たかり行動」の象徴であると言えます。一般的には、努力をして食べ物を得ると嬉しいとされるのが「逆たかり行動」の本質です。しかし、猫は努力しなくても嬉しいと感じるため、これを「逆逆たかり行動」と呼ぶことができます。
この表現は、猫の行動と「逆逆たかり行動」の概念をうまくリンクさせ、一般的な「逆たかり行動」に対する新しい視点を提供しています。

落合陽一

この展覧会で注目しているのは「逆の逆たかり行動」、つまり、努力しなくても満足する生き物、例えば猫に焦点を当てています。一般に、食べ物を得るために何らかの活動を行うと嬉しいとされる「逆たかり行動」の対極にいるのが猫です。猫は努力せずとも満足し、その行動は私たちが日常で直面する二元性、すなわち努力と報酬の関係を再考させてくれます。

この構想は、物質と非物質、デジタルと物質の間を行き来する現代の多元的な世界観に合致しています。それは、ダダの精神や無秩序な表現を通じて新たな相互接続性を探求する落合さんの哲学にもリンクしています。

展示作品は1年を12ヶ月の特徴に基づいて配置されているだけでなく、十二支(子、丑、寅、卯、辰…)に沿った順番でも展示されています。

ギャラリーツアー

作品

立体透鏡

Stereolens

このカメラに搭載されているレンズは「ステマー」というタイプで、立体的な映像を捉えることができる、昔のライカの傑作です。
注目すべき点は、右と左でボケ味が違い、しかもピントが一方では合っていて、もう一方では合っていないという現象です。これは、1台のカメラに2つのレンズが搭載されているためです。70年が経過するとこんな風になるわけです。

落合陽一

物理計算機言語 Ⅰ

Physical Computer Language I

これはIBM 360のプログラミングボードです。このように見ると、プログラミングコードを作成するために物理的に線を引いていた時代のことが懐かしく感じますね。
このボードを両方向からスキャンすると、途中で手が突然出てきて線を繋げている箇所も見受けられます。

落合陽一 

逆たかり行動のトラ彦

Premier Champion Angelhouse Torahiko, Representative of Contrafreeloading

もともと逆たかり行動を持たないトラ彦なのですが、逆逆たかり行動のような、よくわからない状態になっている理由は、写真を撮っている最中に突然現れてやる気を見せたからです。
トラ彦の本名は「Premier Champion Angelhouse Torahiko」で、Angelhouseが屋号であり、Premier ChampionはCFA(世界最大の猫種登録団体)からプレミアムチャンピオンを授与された称号です。がんばって育てました。

落合陽一

計算器 Ⅰ

Physical Computer I

これは「器」という文字がポイントです。
この機械は実際に日下部民藝館に展示されており、昔の人々がお金を置いて計算を行っていた計算器なんです。

落合陽一

光を纏う枯木(龍)

Dead Trees with Light (Dragon)

このシリーズは懐かしいですね。
これは2019年のMedia Ambition Tokyoで展示された作品です。
実は、この作品はある社長のオフィスに設置されているので、現在は実物が存在しないんです。
しかし、写真に撮ると非常に美しく映っていたので。

落合陽一

民藝からミミンゲイへ

From Mingei to Mimingei

これは日下部民藝館の展示です。 左下に見えるのは塗装されていない木彫りの円空仏です。
対照的に、京都の作品は塗装が施されています。
塗装される前、つまり生乾きの状態で撮影した写真です。こちらは大納言像、烏天狗像、稲荷三尊像が描かれています。奥に見えるのは愛染明王で、右側は足長の木彫です。これらはすべて私の作品です。 奥の額に収められている作品「ドコトテ御手ノ真中ナル」は、柳宗悦の筆によるものです。
このように見ていると、非常に興味深いですね。

落合陽一

手長と銀口魚

Tenaga with Silver Mouse Fish

銀口魚は鮎の別称で、鮎を加工してSilver Floatsを作る一つの工程です。
この作品は「手長」と名付けられており、一つ前の作品は「足長」と呼ばれています。
鮎は特に6月に食べると美味しいとされています。

落合陽一
Summer of Digital Nature

こちらは7月の作品です。
7月は日本科学未来館の「計算機と自然、計算機の自然」の作品がリニューアルされることが多く、この作品も夏に新たに制作されました。
この作品は華道家の辻雄貴氏と共同制作されたものです。

落合陽一

オーケストラと質量 Ⅰ

Orchestra and Mass I

8月は毎年、音楽会を開催するのが恒例です。
2019年の「耳で聴かない音楽会」において、タイプライターを操作している映像が映し出されたリハーサルの写真です。
「タイプライター」という事は、京都は何のタイプライターがあるのでしょうか?

落合陽一

質量への憧慣(酉)

Sehnsucht nach Masse (Bird)

2019年のSXSW(サウス・バイ・サウスウェスト)の際、テーマは「風の谷のブレードランナー」だったのでこの写真を撮って「こんな感じの日本にしたいよね。最高!」と話していました。
京都の作品では、鳥居の形を展示してます。

落合陽一

毘盧遮那仏 Ⅱ

Vairocana II

毘盧遮那仏は、華厳経を立体化したとされる大仏です。
華厳経のテーマは「transformation of everything(すべてのものがすべてのものに変換される)」であり、その目的があらゆるものの変換です。
実際に、奈良の大仏の肩を見れば、小さな仏像も確かに存在しています。

落合陽一

ブラ庵 Ⅱ

Pia-an II

ガンプラのランナー(パーツの周りを囲んでいる枠)だけを用いて作成された茶室です。
しかしこの茶室は後にリサイクルされ、溶解してしまったため、現在は存在していません。

落合陽一

黒楽

Black Raku tea bowl

初代長次郎による楽焼の作品です。
末端価格は6,000万円から3億円で、この価格帯で落札されました。

落合陽一

連鎖する質量への憧憬

Chaining the Sehnsucht nach Masse

うちの息子が使っているのはライカQ2です。

落合陽一

さいごに

各作品にはQRコードが添付されており、AI生成作品も鑑賞できます。

生きてるみたい!少しこわかわもあるけど

ライカギャラリー東京・京都共に月曜日は定休日です。
落合さん4年ぶりのライカでの展覧会、ぜひ会場でお楽しみください!

そして、今年も9月17日(日)から落合陽一さんの大規模展覧会が飛騨高山の重要文化財、日下部民藝館でスタートします。タイトルは「落合陽一:ヌル即是計算機自然:符号化された永遠、オブジェクト指向本願」。

昨年の特別展「 偏在する身体 交錯する時空間 」も圧巻でしたが、今年はそれを上回るレベルで進化しているとのことです。

落合陽一さんのアーティスト活動、新たな取り組みが見逃せません!

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