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Podcastを配信する企業
私はPodcastが大好きだ。
駅まで歩く間、家事をしている間、ジムで筋トレしている間などに意識高い系から雑談系までいろいろとPodcastを日常的に聞いているかなりのヘビーリスナーです。
「Podcastの面白さ」はラジオなどを聞く習慣が無い人に伝えるのが難しいのですが、1つでも面白い番組に出会えた経験ができると一気に習慣化する人が多いというくらい、潜在的にはとても強いメディアだと感じています。
最近では、個人や同好の友同士・夫婦同士でされている面白いPodcastも出てきましたが、今回はnoteで開催中のハッシュタグ #私が応援する会社 に乗っかって、「企業公式」もしくは「会社のメンバーたち」がやっている企業Podcastを紹介したいと思います。
もしかするとハッシュタグの趣旨とは少し違うかもしれませんが、「会社のPR目的以上に、自分の言葉で、意思をもって世の中に情報発信を続ける企業」がとても大好きなのでたくさん応援したいと思っています!
もしこちらに載っていないオススメ企業Podcastがありましたらぜひ紹介してください!
1. Takram Cast
Hashtag:#takramcast
デザインイノベーションファームTakramのメンバーが配信されているPodcast。Takram社のさまざまなスキルを持ったメンバーが広くデザインのことについて話しています。
Takramは受託でデザイン業務を行われている会社で、仕事を通じてインプットしたことなどをまとめてPodcastで話しているような雰囲気なので、業界最先端の、知らない世界の話が沢山聞けて勉強になります。
ウェブデザイン、ハードウェアデザイン、データビジュアライゼーションなどのデザインだけの話にとどまらず、さまざまなプロフェッショナル性を持ったメンバーが日々案件をどのように回しているか、組織としてどうやって学びを共有しているかなど組織論的な話も面白いです。
受託企業は情報秘匿の関係で仕事内容を外に出せない事が多いですが、「案件から得た"学び"をPodcastでアウトプットする」というのは、発信者的にはアウトプットコストが低い上に、リスナー的には「こんなに知識を持った人たちがいるのだな、一緒に仕事してみたいな」と思わせられるとても良い企業(と個人の)ブランディング方法だなとしみじみ感じてます。
Takramメンバーの渡邉さんがJ-WAVEで放送されている『TAKRAM RADIO』も、界隈の専門家同士の会話を横から聞かせてもらっているような感じで、とても情報量が濃くて刺激的な番組です。
2. mercan.fm
Twitter: https://twitter.com/mercari_team (podcastだけではない、オウンドメディア全体のアカウント)
皆さんご存知メルカリはブランディングとしての企業情報発信にももちろん力を入れていて、mercanというブログオウンドメディアの他に、mercan.fmというPodcastも配信されています。Podcastまで押さえてるのがさすがメルカリ広報という感じ。イケてる企業の"中の人"の生の声を聞けるので興味が惹かれる番組ですが、更新が不定期なのが少し残念。
メルカリ社内のAWARD制度で受賞された人をゲストに、受賞理由や日々どういったモチベーションで働いているかなどを聞いて"中の人"の雰囲気を知れるのは、メルカリ組織が気になる人、メルカリを次の職場に検討している人的にはとても良いコンテンツだと感じます。
2019年年末には社長の山田進太郎さんがグループの振り返り話 をされていて、「これぞ企業Podcast!」という感じでした。
4. Voicy社外報
スマホで音声配信/視聴ができるアプリを提供しているVoicy社では、ユーザーが配信する音声コンテンツだけではなく、Voicy's voiceというVoicy社員の紹介やリリースされた機能の裏側を音声公開している番組や、Voicy 社外報というVoicy社についてのいろんなことを社員が社外に対してカジュアルに話しているweeklyの番組があります。音声サービスをメインにやっているVoicy社っぽいサービスで良いなという感じ:)
ちょっと脱線しますが、インナーブランディングの一環としてテキストや写真で社内報を作っている会社は少なくないと思います。その延長で「社内報の音声化」はいろんな会社でこれから流行るだろうなーという気がしています。
例えば、大企業などでは社内報として社長が社員に向けていろいろ記事を書いたりするそうですが、推敲に時間がかかる・広報レビューに時間がかかる・それでも社員は読んでくれない・一部を切り抜いて揚げ足を取られる など、コストに見合った発信にならないことも多く、最終的にゴーストライターが書いてるor形骸的な文章になる、みたいな本末転倒感もあったりするそうです。
いっそ音声化して社内限定ラジオにすると、例えばたった10分喋っただけでも、声色や話すテンションで社長のモチベーションや想いが伝わってくる情報量の多い本質的な"社内報"になります(社長ならそうあってほしい)。
音声収録や編集のコストもテキストよりぐっと低いのでオススメです。Azit社などの実例もあります。Voicyでは社内報ラジオサービスもされてるそうなので興味ある企業はトライしてみると面白そうです。
5. 週刊 日経トレンディ&クロストレンド
Hashtag:#週間日経トレンディー
日経トレンディと日経クロストレンドの編集部員が今流行ってるマーケット・トレンドやガジェットについて紹介する番組。
恐ろしいことに、自分が大学生のときに聞いており、最近また聞き始めたのですが、考えてみると10年以上週イチで配信してますね...現在の最新回が642回なのでPodcast界では超長寿番組。
完全に仕事として配信されているようなので番組構成や配信環境が完璧です。雑誌の音声版という感じで週イチで現在のマーケットトレンドをサクッとキャッチできるので良い番組です。
6. Off Topic //オフトピック
Twitter: https://twitter.com/OffTopicJP
VC企業 DGインキュベーション社で働く2人が米国を中心に最新テックニュースやスタートアップ、ビジネス情報を話す番組。パーソナリティーの1人はかつて「ミキレポ」(今は見れないんですね)を書いてた草野ミキさんでした。現在はVCで働かれてるのですねびっくり。
米国テック業界をVC視点から日本語で解説されててなかなか珍しい番組だなーと思い聞き始めましたが、配信のために文献なども読み込まれてるようで普通に為になる番組。
女性版ジョブズといわれていたエリザベス・ホームズがCEOだったバイオスタートアップ セラノス は何がヤバかったのかを解説した回はドラマ的な面白さがありました。まさにシリコンバレーの影。
7. COTEN RADIO
Twitter: https://twitter.com/CotenRadio
株式会社コテン代表 深井さんとメンバーが歴史の話をめちゃくちゃ面白く話してくれる番組。最近の一番の楽しみなやつ!
最初はただの豆知識系歴史バラエティー番組かと思ってたら、歴史の事例からマネージメント論・組織論・政治論の話に抽象化して普遍の学びを得るという流れがある最高の番組でした。為にもなって笑える番組No.1。
コテン社がどんなビジネスをやっている会社なのか気になってwebページを見てみると、「人類が、人類をより深く理解することに貢献する」ためのデータベース開発をしているとのことでさらに謎が深まります。どんなビジネスモデルだ...?
ただ、代表の深井さんは他のベンチャーの顧問などもされているそうで、たしかに過去の偉人のストーリーを交えた組織論やマネジメントの知見は現代でも大いに役立ちそう。
個人的な神回は第10回目で、文明国だったアテネが脳筋国スパルタになぜ戦争で負けたのか、その後 古代ギリシャ文明はどうして衰退化していったのかの話が脳汁出まくりました。ずっとついていこうと思った神回。
8. 白金鉱業.FM
Hashtag:#白金鉱業fm
何を隠そう、私も所属するデータ分析の会社ブレインパッド社のデータサイエンティスト同僚メンバーとやっている『白金鉱業.FM』もなかなかの愛とモチベーションで絶賛放送中です。現場でバリバリ活躍してる現役プレイヤー達がデータ分析関係の話題を喋っています。
今の所わりと真面目な話が多めですが、エンタメとAIについて喋った回や、天文学の研究をしていた同僚にノーベル物理学賞解説をしてもらった回など、マニアックな話をニヤニヤしながらオタク特有の早口でしゃべる同僚をゲストに呼んで好き勝手喋ってもらう回もやってます。今後は主題を思い出しながらAIやデータサイエンスの話もたくさんしていく予定です!
自分が普段聞いているPodcastから「企業メンバーが配信してる番組」をいくつか選びましたが、他にもチケットサイトPeatix社が始めたPeaPodや、Godpatch社のPodpachなどもあり、企業Podcastは日本でも盛り上がっていってる印象です。
オウンドメディアとして"Podcast"は最強説
最後に余談。「Podcastと企業ブランディング」の話を少し書きたいなと思います。
一昔前に"オウンドメディア"なるものが流行り、こぞって企業が自社サイトを立ち上げたり運用する部署を作ったりする時代がありました。
時は流れ次第に「ユーザーに愛されるオウンドメディアづくりの難しさ」「会社公式ブログとは何が違うんだ?売上とか増えた?」「コスパ悪くね?」ということが知られるところとなり次第にあまり聞かれなくなりましたが、最近では「自社オウンドメディアをnote proに移行しました!」というのが次の流行りのようです。
個人的見解ですが、「ただの製品宣伝ではなく、企業のファンを増やす」という目的のオウンドメディアであればテキストスタイルのメディアよりも、音声で配信するPodcastとの相性がとても良いなと感じています。それは
- 音声という、テキストよりもリッチな情報を持った感覚的なメディアであること
- 情報量が多いからこそ「中の人」の見える感が高いこと
- 一緒のテーブルで会話しているような「視聴者との距離の近さ」「親近感」を感じられること
- 「感情」も伝えることができるので熱量やモチベーション・愛がリスナーに筒抜けになること
- 一度面白いと思ってもらえると継続率が高いこと
- ブログやツイッターとは異なる「狭く深く」刺さるメディアになり、謎に愛が深いファンが作りやすい
という特徴や理由があると思っています。
SNS的企業ブランディング手段として、SHARPやタニタのような「おもしろ企業公式ツイッター」という手段もありますが、あれは"中の人"による相当な属人的センスが必要そうなので再現性が難しそうです。
PodcastはPodcastで、「話の面白さ」「人間的魅力」「快適な声色」「ポジショントークや広告はすぐバレる」という、これまたなかなかな属人的スキルを要す部分もありますが、「飲み会で喋べるとめっちゃきちゃ面白い人」というのは会社に何人かいると思います。たぶんそういう人たちがテーマを設けて楽しく喋ってるだけでもPodcastとしては成立したコンテンツになるので発信自体は意外に簡単で、そして発信者たち自身も楽しいという感じがあります。
公式ブログ以上、YouTuber・公式αツイッタラー以下 くらいの発信コストで、小規模Youtuberくらいの影響力やファン層を比較的簡単に獲得できる面白いメディアだと感じています。
企業広報施策などを行わなければならない担当者の方々は、これからならぜひ社内の面白い人を集めて企業Podcast配信をしてみてほしいです!
Japan Podcast Awardなるものもあるので今後に期待
Podcastがそれほど流行ってない理由の1つに、
- ランキングが機能していない
- youtubeのようなレコメンド(テクノロージを使ったマッチングやコンテンツ評価)がない
ので、面白い番組探しが実質的に不可能という課題があります。
(p.s. 自分もデータ分析や機械学習分野で働く技術者なので、日本語音声のテキスト化・数値化・コンテンツ評価 が技術的にいかに難しいか知っているので文句が言えない)
実際に自分も番組を探す方法としては、
- twitterで話題になって知る
- お気に入りのpodcastで紹介される「オススメのpodcast」で知る
という「人力」で探しているのが現状です。
そこで、近々発表されるJapan Podcast Awardsでも人力キュレーション(人気投票)によって良い番組を発掘しようとしています。Podcastファンとしては「次にくるマンガ大賞」的なムーブメントになれば良いなと思ってます。
結構な数があつまっているようなので、おそらく追加で部門別にランキングがつくのではないかなーと予想していますが、「企業部門」みたいなものがあれば是非チェックしていみたいなと思います。
よし!会社でPodcastやってみるか!という方へ
モチベが上がったのでアクションしてみようという人はぜひ音質を気をつけてください!Podcastにおいて音質はかなり重要です。音楽とは違って、ノイズが入った人間の会話を数十分聞くのはかなりストレスが高いからです。
企業Podcastは悲しいかな、音質があまり良くない番組が比較的多く、それはお手軽な配信方法のベストプラクティスが確立していないのと、発信が目的であって音質は二の次だとしているからだと思います。ただ、上記の理由によってこだわるべきポイントだなーと思っています。
Podcast配信方法を個人コンサルする人や、アプリ化・サービス化する流れは小さいながらも確実なニーズとして大きくなりそうです。配信環境構築や配信に関する知見など、素人にわかりやすく解説されている日本語情報がまだネットに少ない状態のためです。
いろんな企業のPodcastが生まれることを待望してるので、何か手伝えることがあったらぜひお気軽にDMください!