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息子とゲーム部屋

息子は下校後や休日の姿が見えない時は、たいてい管理棟にある「ゲーム部屋」で数人の寮生に混じってゲームを楽しんでいた。
ゲーム機・ソフト・情報誌など、ゲーム部屋の備品は有志で買っていて自由に使え、息子もあれこれと使っていた。

しかし息子はディスクの扱いが乱暴だったり、ピョンピョン跳び跳ねてゲームデータが飛んだりして、寮生を困惑させていたらしい。
やがて特定の寮生から暴力を振るわれるようになる。最初はよく泣いて帰って来ていた。寮生が暴力に出ることは極めて稀だったが、彼らに取っては貴重な備品。6歳とはいえ、コミュニケーションを取れないのが彼らのストレスになっていたようだ。

それでも息子はめげずに通い続けた。
泣いて戻る事がなくなった彼は部屋から締め出され、ゲームを楽しんでいる寮生の画面を窓越しに観て楽しんでいた。
そのうちゲーム部屋前の廊下には、息子が乗る用の椅子が置かれるようになった。

「京大生」と「障碍児」。一握りの選ばれし彼らと、義務教育の学校からも拒否される息子。両者が同じ屋根の下で暮らす姿が少し滑稽だった。
彼らの目には、どのように映っていたのだろうか。

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