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身体の使い方と合わせて学んでほしいこと
しばらく前の話にはなりますが、70代の男性がヨガで膝を痛めたといって来院されました。その男性は以前から数ヶ月に一度来られていて、ヨガを始めたということも聞いていたのですが、難しいポーズは取らないリラックスヨガだと聞いていたので心配はしていませんでした。
ところが実際は四つん這いのなかなか複雑なポーズの途中で痛めたらしく、「なぜこれをリラックスヨガでこの年齢の人にやらせるのか」と疑問に思ったのでした。
その方はまだ現役で仕事しているだけあって70代とは思えないほど若々しいのですが、いつも目の疲れが酷く、目の疲れが原因で肩や腰、そして膝の可動性が悪くなっている状態でした。そうした疲れによる身体のこわばりがない状態であれば、同じヨガのポーズをとっても膝を痛めなかったかもしれません。
2種類の身体の痛め方
身体の痛め方には大まかに分けて2種類あります。
1つは「楽な身体の使い方を知らない」ということ。
楽な立ち方、歩き方、物の持ち方、力の抜き方がわからずに、腰を痛めるような立ち方や物の持ち方をしてしまって痛めるというパターンです。人と接するときに過剰に身体に力が入って消耗するというのも身体の使い方に含まれるかもしれません。身体の使い方は武術や脱力のワークショップなどで学ぶことができ、多くの人が関心を持ちやすいテーマでもあります。
もう一つの痛め方は、最初に紹介した男性のような「目の疲れやお腹の疲れで身体がこわばった状態で動くことで痛める」です。
目の疲れと同様に、食べ過ぎや飲み過ぎによる肝臓や腎臓の疲れもまた肩、背中、腰にこわばりを生み出し、その状態で首を動かせば首を痛め、腕を動かせば腕を痛め、歩けば股関節が痛むといったように、痛めた場所が悪いのではなく胴体が固いせいであり、その胴体の固さの元は内臓の疲れにあります。
目の疲れやお腹の疲れが軽度であれば、ヨガで身体を動かすことで解消されるかもしれませんが、疲労の蓄積が多ければ解消されるどころかかえって痛めてしまうことになります。
運動不足の解消にヨガやピラティス 、武道を始めてみようという人は多くいると思いますが、「あまりにも疲労の蓄積が多くて身体の可動性が悪い」場合、まずはそれをある程度解消してから始めてほしいという願いがあります。「ウォーキングを始めたら膝を痛めた」とか「ヨガを始めたら腰を痛めた」というのは「服を買いに行く服がない」のと似ていて「ウォーキングやヨガを安全に行える身体がない」のです。
身体について学びたい人の頭の忙しさ
2つ目に紹介した日常の疲れからくる身体のこわばりは、身体を痛める重要な要素なのですが、なぜか関心を持つ人が少ないように感じます。
例えば眠りの浅さを改善するためにオーダーメイドの枕を作り、呼吸法のレッスンに通うが目の疲れは放ったらかしという場合。視神経の緊張は眠りの質に影響を及ぼしますから、目に蒸しタオルでも当てた方がよっぽどマシです。悩みの原因も解決法もすぐ身近にあるのに気づかないということは多々あるのですが、自分の身体を見る方法も整える方法も知らずに生きている人がほとんどです。
目の疲れとお腹の疲れを例に出しましたが、もう一つ重要なのが頭の疲れです。情報の食べ過ぎと呼んだ方が良いかもしれません。SNSで「身体に良いことを発信する人」をたくさんフォローし、日々膨大に流れる「身体に良い情報」を見て頭を疲れさせる。さまざまなボディーワークのレッスンに参加するが頭は緊張したままということがあります。これは自然食品の食べ過ぎでお腹を疲れさせるのと同じで、情報を集めることをやめた方が結果的に身体は良くなります。
世間の人がなかなか興味を持たない身体について関心を持っている、情報を集めたいという時点で、頭を使い過ぎる傾向にあるということを意識すると良いかもしれません。
私は野口整体をある程度学んだ後でヨガやピラティス のレッスンを受けたことがありますが、整体を学んでいたから指導者の言うことが理解しやすい、ポーズがとりやすいと感じた経験があります。整体で学ぶ身体の使い方はどんなボディーワークにも応用が出来ますし、事前に身体の疲労を取っておくことで怪我なく快適に動くことができます。
整体は身体の使い方と同時に疲労の種類に応じた調整法を学ぶことが出来る、非常にお得な習い事です。
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