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#5 だから「たまたま」ってやめられない|2023.3.19(sun)「SUNDAY BUILDING MARKET with 金公園」開催レポート
主催より
「セントラルパーク『金公園』(こがねこうえん)」のリニューアルオープン記念ということで、柳ヶ瀬商店街から金公園にまでエリアを拡大することとなった、2023年3月19日(日)「SUNDAY BUILDING MARKET with 金公園」。
初の試みに不安もありましたが、当日は天候にも恵まれ、出店者、来場者ともに多くの方々が足を運んでいただき感謝の気持ちでいっぱいです。ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。
今回は山梨県を中心に活動されている、フリーライターの野呂瀬 亮(のろせ りょう)さんに取材、レポート執筆をしていただきました。以前コンタクトを頂いたのがご縁で、一つの節目ともなった本開催の様子を丁寧に記録してくださっています。
ぜひご一読いただけましたら幸いです。
Report text & photo by 野呂瀬 亮
「セントラルパーク『金公園』」までエリアを拡大して開催された「ぎふ・柳ヶ瀬SUNDAY BUILDING MARKET with 金公園」。2023年3月19日(日)の当日、快晴の芝生エリアと柳ヶ瀬商店街にはリニューアルオープン記念の特設ステージが展開され、民謡クルセイダーズ(以後民クル)の田中克海(たなかかつみ)さん率いるスペシャルバンド「民謡デリバリーサービス」、スティールパンの和やかな音色を響かせる「チュラパンスティールバンド(以後チュラパン)」がステージを披露した。
このようなリッチなラインナップが実現できたのは、チュラパンの主催である通称“ちゅらちゃん”こと田中美里(たなかみさと)さんと、民謡デリバリーサービスでベースを担当するカナミネケイタロウさんと「偶然」の繋がりがあったからなのだと言う。
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1.チュラパンスティールバンド
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「初めはパン屋さんの出店からサンビルに参加し始めたんです。2015年、以前から親交があったミュージシャンでベーシストのカナミネケイタロウさんが『ちゅらこのぱんの唄』という曲を作って送ってくれて。それをきっかけに東京のスティールパン奏者の宮本まいこさんと、カナミネケイタロウさんを岐阜に招いて演奏会を開いたんです」
そう話すチュラパンのリーダーちゅらさん。カナミネケイタロウさんと当時のことを振り返ってくれた。
「それから宮本まいこさんに“スティールパン叩いてみない?”って声をかけてもらって、自分もスティールパンにのめり込むように。宮本さんのご主人でありパーカッショニストの中丸達也さんと共にこのチュラパンを結成しました。カナミネさんの楽曲と繋がりがメンバーを引き合わせてくれました」
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「“スティールパンで岐阜の街を盛り上げたい”っていうちゅらちゃんの気持ちに胸を打たれたんですよ」
結成の立役者でもあるカナミネさんは続けてそう話してくれた。バンドを結成してからはパン屋さんの出店だけでなく、柳ヶ瀬商店街を楽器隊のように演奏しながら練り歩いたりと、サンビルには欠かせない存在となったチュラパン。そんなところに民謡デリバリーサービスを呼びたいという話がサンビル運営から立ち上がったのだという。
「カナミネ君は2021年から民クルにベーシストとして参加していたので、“ぜひサンビルに”と声をかけてみたら喜んで協力してくれたんです。まさか柳ヶ瀬に民謡が響く日が来るとは!と、運営の皆さんも喜んでくれました」
「結成以降精力的にライブ活動やワークショップを展開している彼女の姿をみていたので、今回自身の参加する民謡デリバリーサービスに声をかけてもらった時は喜んで協力したいと思ったんです。今回も一緒に演奏できて本当によかった」
カナミネさんの言葉を聞いて嬉しそうに笑顔を見せるちゅらさん。仲睦まじく顔を見合わせながら話をする様子は二人の繋がりの深さを物語っていた。運営はもちろん、会場に集まったお客さんも大いに盛り上がったライブステージの裏には、生まれ育った街と互いを尊敬し合う二人の想いがあった。
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2.民謡デリバリーサービス
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「こういう“お祭り”に呼んでもらえるのは嬉しいですね。いつものステージとはまた違ってオーディエンスとの距離も近くて新鮮です」
大盛況のライブを終えた民謡デリバリーサービスの田中さん。投げ銭のケースに足を進める人たちを眺めながら続けてこう話してくれた。
「民クルだとどうしても大所帯でこういう場に出演するにはハードルが高くなってしまうので、「フットワークのよい少人数のバンド」と民謡デリバリーサービスを結成したんです。それに伴ってありがたいことにこういう現場も増えてきましたね」
東京都の西多摩に位置する福生市から駆けつけてくれた田中さん。アメリカ空軍基地である横田基地沿い「福生ベースサイドストリート」内のアメリカンハウスを拠点に楽曲制作をしながら、全国各地のイベントやお祭りで新たな民謡カルチャーを提唱している。
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「こうしたフリーイベントで演奏していると、偶然ふらっと通りかかった人が自然と集まってくる。音楽を中心に自然発生的なグルーヴが生まれていく姿は、『盆踊り』のような、まさに日本のお祭りの原風景のように思うんです」
「お客さんも演者」そう話す田中さん。様々な音楽やカルチャーに触れてきた中で、近年辿りついたのが「土着」という考え方なのだと言う。
「岐阜やそれぞれの地域にある民謡など“土着”のお祭りや文化をどんどん取り入れて行きたい。皆んなの中に脈々と流れているものだと思うし、若い人にも親しんでもらえるような新しい表現で色んな人を巻き込んで行きたいですね」
今回の民謡デリバリーサービスを招いたのも、岐阜が「郡上おどり」に象徴されるように、“盆踊り”など土着のカルチャーが色濃く残っている地域だということも一つの理由だとまちづくり会社の末永さんは話す。
「また呼んでください!」笑顔で手を振りながら次の現場へと向かう田中さんたち。衰退してしまっていく文化やお祭りもある中、古いものを改めて咀嚼し再構築しながらアップデートしていく田中さんのアプローチは、まさにサンビルの目指す営みと通ずるものがあるのだろう。
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興行としてのライブイベントではなく、今回のようなフリーイベントだからこそできるステージのグルーブ感。ライブステージがあることを知らずに訪れた人もおそらく少なくなかっただろうが、「たまたま見かけたもの」「たまたま出来上がったもの」、そういった偶発的な出会いが、来場者に掛け替えのないバリューを届けているのは間違いないだろう。
お目当てのものの足元にもよく目を凝らすこと、見慣れてしまった風景に別の角度から焦点を当ててみること、サンビルというイベントはそれらを見つめ直して再構築していくことの可能性を提唱し、体現し続けているのだ。
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