リスクとリターンのお話〜その2
前回は、1円でも損する可能性があるなら投資はしない、と言い続けて話が終わってしまった上場企業の部長さんのお話をしました(【リスクとリターンのお話〜その1】|山口曜一郎@ワイズ・アセット・デザイン (note.com))。今回は、確定拠出年金を不公平だと言う、別の上場企業の部長さんのお話です。
その部長さん(Bさん)は確定拠出年金によって年金あるいは一時金の額に差が出るようになったことに関して、不満を持っていました。
少し前までは、確定拠出年金よりも確定給付年金の方が一般的でした。確定給付年金というのは、給付額が決まっていて、その額を継続的に受け取れる年金制度です。一方、最近主流となりつつある確定拠出年金は、給付額ではなく、拠出額が決まっている年金制度です。
そのため、運用方法やリスクの取り方によって給付額に差が出るようになりました。Bさんはこの運用選択によってもらえる金額が異なることに不公平感を持っていました。同僚が投資の勉強して、リスクを取って自分よりも高いリターンを得て、年金や一時金が増えることを不公平だと言っていました。
Bさんによれば、運用の成果ではなく、仕事の成果で年金や一時金をもらうべきだということでした。彼の気持ちになれば、そう思うことも理解できます。今までずっとそうだったのですから。
ただ、今の時代は考え方を変える必要があります。仕事の報酬として得た年金原資は仕事の成果です。それを運用する際に、今までは企業が運用してくれていましたが、これからは自分がリスクを取って運用をしなければならないということです。今までは仕事の報酬に加えて運用の報酬まで企業が面倒を見てくれていましたが、これからは後者については自分でやってくださいということです。
私の友人の中には、昔から、年金基金が運用するくらいなら自分の方がうまく運用できる、と言っていた人もいました。彼らにとっては、企業型の確定拠出年金や個人型の確定拠出年金(いわゆるiDeCo)は嬉しい制度だと思います。
高い利益あるいは高い損失は、それに見合う高いリスクを取った対価ですので、他の人と差が出てくるのは公平だと感じます。一方で、低い利益あるいは低い損失は、運用している本人が低いリスクを取ろうと決めた結果ですので、これも公平です。
Bさんは、ちょっときつい言い方をすると、自分では運用リスクを取りたくないけど、リスクを取った人と同じリターンが欲しいと言っているように聞こえます。リスクとリターンがバランスしていません。
そう考えると、前回のAさんも今回のBさんも、リスクは取りたくないけどリターンは欲しいということで共通点があるなと感じました。
実はこれ結構やばいことかもしれません。世の中が、リスクは取りたくないけどリターンが欲しいという人たちばかりなったら、リスクを取る人がいなくなってしまいますし、リスクを取って高リターンを得た人に対して不公平だと言っていたら、どうなってしまうのでしょう。。。
リスクを取ってリターンを得る人がいるからこそ、国や経済は活性化するのです。そう考えると、Bさんの不公平感は様々な面で根が深いのではないかと思いました。
私たちは、リスクとリターンを認識し、自分たちのリスク許容度に合わせて、時間を味方に付けながら、自分らしい資産形成をしていきましょう😊
私が代表を務めるワイズ・アセット・デザインのウェブサイト
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役職定年を割り切れず、学び直してメガバンクの肩書を捨てた:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)
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