活動内容 - ベンゾジアゼピン減薬・断薬(オンライン医療相談から診察まで)
本稿では、僕、Yukiya Sasaki/佐々木幸哉(ささきゆきや)の、精神科臨床医としてのベンゾジアゼピン減薬・断薬に関わる活動内容について述べさせていただきます(2022年7月27日現在)。
うららか相談室というカウンセリング用のプラットフォーム上でオンライン医療相談を行っており(月10~20セッション)、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の減薬・断薬に関する相談を多く承っています。
電話相談、ビデオ(Zoom)相談の両方に対応していますが、本業の終業後に相談を行っているため平日の夜8時以降の実施となります(20:00-20:50、21:00-21:50、22:00-22:50の3枠)。
この時間的制約を補う目的で、文章を用いた非同期のメッセージ相談も開始しました。質問と回答が文章として残り、いつでも閲覧が可能であることをメリットと感じ、このメッセージ相談を好まれる相談者様もおられます。
オンライン医療相談を利用される方は長い病歴、複雑な処方歴や経過を有しておられる場合が多いため、それらを文章にまとめることでご自身の問題を客観視でき、ご相談の要点を絞ることが可能になるという長所もあるようです。
メッセージ相談⇒電話相談 and/or ビデオ相談といったように複数の相談手段を組み合わせて相談を行うケースもあります。それぞれの長所を組み合わせることで相談を効率化、最適化できることができるように感じています。
現在ではあらかじめこれらをパッケージ化した「カウンセリングプログラム」も提供しています。
うららか相談室で僕が行なっているのはオンライン医療相談(遠隔健康医療相談)であってオンライン診療ではありません。オンライン医療相談では医療行為を行えません(それをすると無診察診療を禁じた医師法に抵触してしまいます)。つまり相談を通じて診断を下すことはできません。診断は医療行為そのものだからです。
治療は診断ありきで決まるものです。主治医から診断名を曖昧にしか告げられていない相談者様も少なくないために、治療の是非に関する相談自体もぼんやりとしたものにならざるをえず、隔靴掻痒の感を覚える事例があることも事実です。
だから、というわけでは本来なかったのですが、2022年8月より、臨床医としての勤務先である「淀川こころのクリニック」において、時間をかけて減薬・断薬に必要な診療を行うことができる「特別予約診察」を担当させていただけることになりました(初診50分、再診20分)。
これまではオンライン医療相談後に相談者様から「直接診察を受けたい」というご希望をいただいてもお引き受けすることは困難でしたが、勤務先の理解を得てその受け皿を用意することができた次第です。通常の診療費以外に保険外併用療養費を申し受ける形になりますが、これは一般診察の患者様にご迷惑をかけることなく診療時間を確保するために必要な方策です。ご理解を賜れますと幸いです。
一般診察でのベンゾジアゼピン減薬・断薬の診療も承りますが、初診30分程度、再診5~10分という時間制限の中では診療結果にご満足をいただけない場合も少ないことはご承知おき下さい。
ベンゾジアゼピンの減薬・断薬に関しては、特別予約診察から治療を開始し、それが軌道に乗って診療に時間を要さなくなるのに合わせて一般診察に切り替える形が望ましいのではないかと考えています。
長くオンライン医療相談を行ってきた経験から申し上げれば、初診に50分を費やしても病歴の把握や治療方針の確定には至らない場合もありそうです(それくらい経過が複雑化しておられる方が多いということです)。また逆に、僕の臨床経験では「ベンゾジアゼピン依存」を主訴として受診された患者さんを診察した場合に、実際にベンゾジアゼピン依存と診断できるケースは実は多くありません。
ベンゾジアゼピン依存は事程左様に複雑な領域なのです。
保険外併用療養費を支払って受診したのに十分に話を聞いてもらえなかった、想定していた診断や治療を受けることができなかった、というフラストレーションを患者様に感じさせてしまうことは僕の望むところではありません。
そのような事態を避けるために、まずオンライン医療相談をご利用いただき(メッセージ相談かカウンセリングプログラムがこの目的に適うでしょう)、相談後に受診を希望され、僕の側もお役に立てそうだと判断した場合に受診していただくのが理想的な形ではないかと考えています。この際に、特別予約診察が必要か、一般診察で対応可能かどうかをお示しすることもできそうです。
また、うららか相談室のご高配を賜り、受診時に同意書にご署名をいただくことで、オンライン医療相談でお伝えいただいた内容を診療のための資料として用いることができるようにもなりました(同じ内容を重複して問診することなく医療相談の続きとして診療を行うことが可能ということです)。
どこまで需要があるのかはわかりかねますが、ベンゾジアゼピンの減断薬について僕がお役に立てそうであれば、オンライン医療相談(電話相談、ビデオ相談、メッセージ相談)から実際の診療(一般診察、特別予約診察)まで、ご自身の状態やニーズに合わせた方法を選択し、ご利用いただければと思います。
なお、僕は診療においては「一定期間服用していたベンゾジアゼピン受容体作動薬を減量・中止すると現れ、再増量・再開すると消失する精神・身体症状」を、ベンゾジアゼピンの中核的な離脱症状と見做し、治療の対象としています。減薬・断薬していないのに現れる"離脱症状"(いわゆる常用離脱)や、再増量・再服薬しても軽減しない症状に関しては可能な対応は限られます。ご留意下さい。
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