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続・会社員、オールドレンズを買う(エルマー 3.5cm)

例えば「50代になったら焦点距離50mmぐらいがちょうど良くなってきた」という話を聞いたことがある。加えて「20代の頃は28mmあたりをよく使っていた」と。老眼的な“変化”の影響なのかは分からないが、そういう切り口の分析は面白いなと思う。少し邪推をするならば、年齢を重ねるごとに事物に対する自身の視野というのは狭くなるのかもしれない(思想という分野でもそうかも)。とはいえ、実際には関係ないだろう。誰しもが好きな焦点距離を好きなように使っているはずだ。一方、ライカでは《最初に買うべきレンズ》として35mmと50mmが推奨されている(メーカーからではないが)。「レンジファインダーだから」などの要因があるが今回は割愛したい。



求めた条件

“レンズ沼”というものがあるとして、私はまだそこに落ちてはいないと思っている。最初に購入したライカMシステム用のレンズは28mmのエルマリートで、今でも1番好きだ。そのため、お店で同焦点距離の別レンズを薦められようと・試させてもらおうと買う気は起きない(今のところ)。続いて、50mmは2023年末に沈胴式と呼ばれる機構の古いズミクロンを購入した。購入後に研磨へ出したりとトータルの金額は掛かったが、基本的に納得している。たまに「もう少し反射に強いやつが欲しいかな??」と思うが、喫茶店へ行くなどして気を紛らわす。私の中での大きな課題は35mmだ。28mmほど良くも悪くも無駄は少なく、50mmほどクローズアップしない君。

そう綴りつつもこれまで購入したのは1本だけで、2本目がこの“エルマー 3.5cm F3.5”になる。購入した主な理由は前回に記載した通りだが、個体を探すに当たって1つの条件があった。それは「距離計の表記がメートル(mtr)」であるということ。最近のライカレンズは“メートル”と“フィート”が併記されているものが殆どではないかと思うが、こうしたL39(マウント)など古いレンズはどちらかの表記のみということが多い。海外生活が長かったとか熟知しているという方であればフィートでも問題ないと思うが、生粋のジャパニーズ・サラリーマンこと私には難しい。そのため、オンラインショップでも店頭でも、まずはその部分を確認していた。これが唯一の条件。

「ライカ エルマー 3.5cm F3.5(L39マウント・メートル表記)」
F3.5, 4.5・・と続く所謂“大陸絞り”
純正なのか不明のキャップ付き(地味に嬉しい)

Leica M11 Monochrom
Leica M11 Monochrom
Leica M11 Monochrom
Leica M11 Monochrom
Leica M11 Monochrom
SONY α7IV
SONY α7IV
SONY α7IV
SONY α7IV
SONY α7IV

中間(あいだ)の難しさ

特にMDaというファインダーのない(意味不明な)カメラを所有しているため、メートル表記のほうがまだ安心だ。結局のところパンフォーカスで撮り進めていくならばそこまで関係ない気もするが、フィートのほうが安いという訳でもない。今回は銀座の某カメラ店で発見し購入して、その場でM11モノクローム(以下:M11M)に装着して外へ。そこから数枚を撮影してプレイボタンを押すと、この小さな見た目からは想像できない切れのある写真が撮れていた。“古い=曖昧・不鮮明”などのイメージがあるし、確かにそういう部分もある。だが、モダンなレンズよりもシンプルな設計だからこその愚直な映りもあるようだ。おそらく、ここが沼化する要因の1つでもある。

エルマーではないし焦点距離も異なるが、アポズミクロンと同等の切れを持つL39のレンズも存在していると聞いた。もちろん、私が購入した個体はそれなりに状態が悪いこともあり不満がないとは言い難い。そうしたことから「35mmのゴールか?」と問われれば、おそらくそうではないと思う。最初のうちに28mmと50mmには満足してしまったゆえ、その中間にある35mmという焦点距離への期待値が無意識下にかなり高くなっているのだろう。それでも、このコンパクトさは驚異的だ。製造から半世紀以上が経過しても人気があり、それなりに高値で取引されていることも理解はできる。カバンの中、もはやズボンのポケットに忍ばせておける素晴らしいレンズだ。

Leica MDa + KODAK PROFESSIONAL PORTRA 160
Leica MDa + KODAK PROFESSIONAL PORTRA 160
Leica MDa + KODAK PROFESSIONAL PORTRA 160
Leica MDa + KODAK PROFESSIONAL PORTRA 160
Leica MDa + KODAK PROFESSIONAL PORTRA 160

床に落として無限ロックのピンが曲がってしまった(無念すぎ)

これまで

付録

28mmなど広角レンズで撮影すると「なんだこの間は!」などと思う写真が撮れることもある。それゆえに苦手な方もいるだろう。M11Mにしても最近のデジタルカメラは高画素が当然で「広く撮って編集でクロップする」という手法も可能である。しかし、自分でやってみると意外としっくりこない。広角レンズは間延びするかもしれないが、それを削ってしまうと何とも無味乾燥に感じてしまうのだ。私としては《意味を求めて無意味なものがない》という“ゆらゆら帝国”の一節が思い浮かぶ。なので、そういう写真は削除するかそのままにするかの2択にしている。さて、序文の件を私に換算するとまさに35mmという焦点距離がマッチしてくる年齢なのかもしれない。

最近はこの組み合わせに落ち着いている


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