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飲み屋さんで「居る」が出来なかったこと。#209

飲み屋に行って隣のおじさんに話しかけた。
客は女性4人組、自分、隣のおじさん。あと店のママ。

女性客4人は内輪の話で盛り上がっている。ママも自ら話を振るタイプでは無い(この時点で、ママは「居る」をやっていた)。おじさんはひとりでしっぽり飲んでいたが、席についた自分は「どうしよう、何か話しかけなきゃ!」と思い、おじさんに「〇〇から来ました。こんにちは」と話しかけ、おじさんとの会話が始まった。

おじさんが終始話す側に回り、自分は聞き役に徹し、いろいろ話を聞くことが出来たが、今考えると、これは「居る」が出来ずに「する」をしたケースだったのでは?と思った。

「居る」が出来れば、自己紹介の挨拶程度に会話をすることはあっても、お店に来た経緯からプロフィールから、何から何まで立て板に水のごとく話す必要はないからだ。その時の自分は「居る」が出来ておらず「する」をしていたと思う。

「よし、無口なおじさんの会話を引き出せたぞ! やった!」と思ったけれど、まったくそんなことはなく、もしかするとおじさんは話しかけられたくなかったのかもしれない。一人で考え事をしながら飲みたかったのかもしれない。

それよりも、自分の「どうしよう、どうしよう。何かしなきゃ汗」の気持ちが上回った結果、「居る」では収まらずに「する」をしてしまったのだと思う。

話しかけてよかったのか悪かったのか、本人に聞かなければわからないが。
カウンター席に座った時の、気まずさを埋めるために、あたりかまわず話しかけるのは、他人のためではなく、自分のためだったんだということを学んだ。

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