昭和42年男のカルチャー日誌
2023年4月8日(土)午後、東京現代美術館「ディオール展」鑑賞後、東西線木場駅から日本橋駅まで移動。結構混雑しているコレド室町2の地下食堂街でとんかつ有名店の定食を掻き込んで(早食いは肥満の元:反省)、TOHOシネマズ日本橋で「ザ・ホエール」を劇場鑑賞。
TBSラジオ「アフター6ジャンクション」番組内で宇垣美里総裁が主役のブレンダン・フレイザーの演技を絶賛していたこともあり、巨大スクリーンで観ておこうと思った次第。後付けで知った情報としては、元ネタは舞台劇で、ダーレン・アロノフスキー監督が映画化したんですね(聞きかじり感半端ない)。途中で気になった点は、僅かな描写でしたが、外観は2階建てのモーテルっぽい建物。なのに、内装は平屋の一軒家みたいな不思議な空間でしたが、物語の主題ではないので、これ以上の深堀は割愛します。
ブレンダン・フレイザーはハムナプトラシリーズで、やや太マッチョな陽気なアンチャンキャラでした。
「ところがギッチョンチョン(緑川ルリ子)」って感じで今作品では結構難しい役を見事に演じられていました。
「病的な肥満体の引き篭もり中年男性が主役の会話劇」って書くと、「なんじゃそりゃ!!」って感じですが、「親子観」「宗教観」「恋愛観」「教育観」等々がクロスオーバーする予想外に知的好奇心を刺激してくれる作品でした。極度の肥満体男性だと、マニッシュな粗野かつ非理性的な振る舞いが連想されますが、本作では、面倒見てくれる看護師免許を持つアジア系女性の友人に対し「ソーリー」を連呼してしまう繊細な男性を演じていました。と同時に、自身の彼氏との愛情を優先するあまり、妻と愛娘を置き去りにしてしまう愚かな男性も演じており、非常に複雑な役柄でした。個人的に印象深かったのは、「貴方を救いたい」なんて浮ついた言葉を操る、とある宗教団体に属する若造(その言葉に酔って自己満足してるだけ)との理知的かつ冷静なやりとりが秀逸でした。
あと愛娘役であるセイディー・シンクさんの父親への愛憎入り混じった演技も素晴らしかったです。
単純な悲劇とか、可哀想な話でなく、シンプルな言葉で説明出来ない複雑な感情が込み上げる作品でした。是非是非、劇場鑑賞をお薦めします。