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多様性時代の「◯◯っぽくない」(SUPERBLOOM feat. 日向ハル)
【 New Release 】
— FIVE NEW OLD (@fivenewold) April 9, 2024
"歌力"が魅力のアイドルとさまざまなミュージシャンやクリエイターとのコラボで音楽を届ける新プロジェクト #月刊偶像#fivenewold が楽曲制作した
「SUPERBLOOM feat. 日向ハル(フィロソフィーのダンス)」
本日発売&配信スタートしました🎧https://t.co/h6ZDYzLd6V
アニメや漫画やゲームのキャラも、歌手や俳優やスポーツ選手も、世の中全て合わせた中で自分が1番推しているフィロソフィーのダンスの日向ハルさんが、月刊偶像 ゲッカンアイドル さんの企画で、FIVE NEW OLDさんが作成した楽曲のボーカルとして『SUPERBLOOM feat. 日向ハル(フィロソフィーのダンス)』という曲を出した。
スーパーブルーム、多様な花が一斉に開花する現象に名付けられた言葉。
「スーパーブルーム」は、米国南西部の乾燥地帯で野草がいっせいに開花する伝説的な現象だ。先住民たちは昔から、ユリやヒマワリ、シソ科のチアなどが大量に開花するこの現象を祝ってきた。1774年には、スペイン人開拓者のフアン・バウティスタ・デ・アンザが、「花々に覆われた草原が、海のすぐ近くまで迫っている」と記している
SUPERBLOOMという曲は、FIVE NEW OLDのHIROSHIさんが作詞を担当しているが、楽曲制作の過程で日向ハルさんも含めて楽曲に対する思い、普段の疑問やモヤモヤしている部分を話したということだった。
日向ハルさんがTwitterでもInstagramでも思いの一部を綴ってくれていた。
アイドルの歌力にフォーカスを当てたこの企画。
歌が上手いからアイドルっぽくないと度々言われた下積み時代、アイドルはレベル分けをする為の言葉じゃないのにといつも疑問だった。"上手いか下手かではなく誰かにとってのアイドルであることが大切"というポリシーのもと アイドルという看板を背負って歌い続けた先に巡ってきた今回のお誘い。
『アイドル』に勝手なイメージをもち、あまりアイドルを好きになれていなかった自分が、その先入観を捨ててアイドルの曲も聴くようになった、というか、毎月遠征してライブに行くようになったきっかけが、まさにフィロソフィーのダンスだった。
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そんな壁ぶっ壊し系アイドル(失礼)のフィロソフィーのダンス、ゴリゴリのゴリこと日向ハルさんでも「アイドルっぽくない」と言われて疑問を感じていた。
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「アイドルっぽくない」「アイドルの枠を超えている」「アイドルらしからぬ」
を言う人に悪気があるパターンの方が少ないように思う。むしろ、褒めている可能性すらある。
じゃあ逆に、「◯◯っぽい」とは何なのか。
自分が、自分の中にも偽りではなくて多様な自分がいるのだと気づけたのは、大学に入ってからだった。
場に合わせて演じている自己にずーーっと違和感を感じていたが、フロイトやユングを学んで、ペルソナについての概念が理解できたことが大きかった。
自分ですら「自分っぽさ」を確定できていないのに、誰かから決められた「◯◯っぽさ」にどれだけの意味があるのだろう。
「アイドルにハマるなんてゆーっぽくないよね!」と、教育やスポーツのペルソナをつけている自分しか知らない人には言われる。これは、「ゆーっぽさとは何か」「アイドルとは何か」二重に問いが生まれる。
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フィロソフィーのダンスが新体制初のアルバム「NEW BERRY」をリリースした。
余談だが、2/7に書き始めたNEW BERRYについてのnoteを完成させることから逃げ続けている、今。
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もちろん全曲最高だったけど、最も刺さった曲の一つが「永遠頂戴」だった。
もう10年近く自分の中の頂点に君臨し続けていたボカロ界隈の新進で、寄り酔いやヨワネハキの和ぬかさんからの提供。
それだけで沸く案件なのに、本当に曲も最高だった。最高に刺さった。
日向ハルさんと奥津マリリさんはもちろん最高に、もっている引き出しの中から世界観を表す歌い方をしていた。
香山ななこさんと佐藤まりあさんは新しい引き出しなのか、自分が知らなかっただけなのか、新たな魅力を見つけることができた。とっても可愛い。
日向ハルさん大好きマンの自分だが、この曲で1番響いたのは木葭ののさんの歌い方だった。
デビュー当初の歌い方をG5Pツアーでは変えていたのかな?と思っていたけどパワーアップして戻ってきた感じがした。
ちょっと音楽的な知識は皆無だけど、母音と促音の強さが本当に素敵だなと思った。
「言いふらすんだぁ」「マァブぅに」「なぁくなったら」「あぁの水曜金曜かぁいしゅうされてる」とか。最後の「果たしてー」からとかもう本当に大好きで。伝わるかわからないけど。
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そんな永遠頂戴は、一部の方には合わなかったみたいで。
いや、もちろん「funkが好きだから自分とは合わない」みたいに、合う曲とそうでもない曲があって当然なんだけど「自分には合わない」以外の表現をされている方もいたりして。
自分はフィロのスファンとしてあり得ない、所詮は別界隈人間なのかと不安になった瞬間もあったけど、大好きヲタク先輩に思い切ってホルモン食いながら質問して、「ほっとけ」という結論を聞いて落ち着いた。
ボカロの界隈は、同じミクさんが歌っていてもPの調教によって、例えばMitchie Mさんのミクとピノキオピーさんのミクとナユタン星人さんのミクとsyudoさんのミクは全部違うミクさんだし、なんなら同じP、例えばDECO*27さんでも愛言葉ミクとゴーストルールミクとヴァンパイアミクは別物なんです。
この対談とかすごく分かりやすいけど、曲はインスパイアであっても本人の人間性や思想そのものとは切り離されているというか。
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だから、「フィロソフィーのダンスっぽくない」とは何ぞやとかなり悶々とした。あぁ、歌手と結びつくってそういうことかと。
そんな悶々が最近あった自分としては、1番大好きな日向ハルさんがそういうことを考えて歌ってくれている事実がとても嬉しかった。
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政治的な思想信条は荒れるから置いておいても、「男っぽさ」「女っぽさ」が時代としてアウトだろうということはよくよく承知している。
以前の自分のnote、水曜日のカンパネラの武道館公演と合わせて紹介した『正欲』という本がある。
「正しさ」をいかに満たす"べき"か。
勝手に取り決められた「正しさ」は「正しくなさ」を排除する暴力性がある。
多様な感じ方を「正しさ」とした瞬間に、「正しくなさ」も生まれる。
そんな難しい時代に、それでも表現することを選んでいる日向ハルさんが歌った『SUPERBLOOM』。
冒頭にも紹介した日向ハルさんのInstagramから、『正欲』のテーマとしっかり重なる内容を改めて残しておきたい。
人間って見えてる部分が全てじゃないからさ、思ってたのと違った!って思う方が違くない?と思うわけです。
でも勝手に期待して勝手に裏切られたって思う人も多いよなあって。もっと相手を受け入れられたら共存できる人が増えるんじゃないかな、そんな日々の疑問を打ち合わせで伝えました。
FNOの言葉を借りると「僕達は多様性の旗を振りながら、自分の正義にはまらない誰かには容赦ない、乾いた世界にいるような感覚になる事がある」
まさにそれが『SUPERBLOOM』のテーマ。
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Let it shine shine shine
ほら 輝け
まだ知らないワタシまで run and run
「アイドルっぽさ」「フィロのスっぽさ」「日向ハルっぽさ」に縛られる必要もない。
自分は自分。自分ですらまだ知らない部分がある。
そのまま、咲き誇ろう。SUPER BLOOM!