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ラグビーから学んだこと
前回の記事では2014年までの自分のラグビー人生を振り返ることができた。
今回は、ラグビー憲章と自分の経験をもとに、ラグビーを通じて感じてきたことを記しておきたい。
(画像はNHKより)
ラグビーにはラグビー憲章なるものがある。
世界共通で愛され、納得感をもって語られる憲章を、私もまたリスペクトしている。
品位
integrityなので、誠実さという言葉の方がイメージしやすい。ドラッカーもウォーレンバフェットもintegrityを重視すると話している。
インテグリティの定義はドラッカーも難しいと語っている。
我が大学のラグビー部は、学生が運営の主体となっていた。
高校、大学とチームづくりをする時に核となっているのがこの品位だった。
「内からも外からも応援されるチームになる」を命題とし、その為には品位が重要だった。
私たちが目指していたのは"お上品さ"とは似て非なる、"高潔さ"や"誠実さ"だったのだと思う。
ゴールには真っ直ぐ向かうのが一番の近道。痛くても怖くても、逃げずに真っ直ぐ進める誠実さをもっていたい。
尊重
ラグビーほど審判に左右されるスポーツを私は知らない。
15人と15人が一つのボールを奪い合い、体をぶつけ合う。危険だとも思う。
その中でゲームを成り立たせるには、お互いの協力が不可欠だ。だからこそ、リスペクトが必要なのだろう。
体をぶつけながらなんども倒れて立ってを繰り返し、全力疾走しながらも長距離を走り、瞬発的な筋力を全開で出しつつ筋持久力を求められる。
耐えうる体づくりの為の練習は本当にキツい。もう一度言う。本当にキツい。
そして100キロを超える大男と命がけで衝突する。比喩でなく、本当に命をかけている。
それを知っているからこそ、試合が終わった瞬間にお互いへのリスペクトを隠せないのだ。
試合後のエール交換、花道、アフターマッチファンクション(軽くみんなで飲む)。
ある知人がW杯を観て「日本人だと(敗戦後に勝った相手を称えることが)できない」と言っていたが、それは違う。
ラグビー選手はリスペクトが根幹にある。
規律
命がかかっている。以上。
現代ラグビーにおいて、ディシプリンの遵守は勝利に向けた必要条件の一つだ。
ではなぜラグビー憲章には、"フィールドの内外"において不可欠と書かれているのだろうか。
先ほども書いたが何度でも言う。ラグビーはキツい。
体が苦しいと心も苦しくなる。心身共に一番キツい状態の時に、人間の素がでてくる。
なぜ強豪校は靴が揃っているのか。ゴミを拾うのか。上級生が雑用するのか。
一番しんどい時に規律を意識できるチームが、強い。
結束
2019W杯で優勝した南アフリカを描いた映画"インビクタス"はご存知だろうか。
アパルトヘイト下で、白人階級のスポーツだったラグビーは黒人にとって憎むべき存在だった。(南アフリカの敵チームをみんなで応援するほど!)
ネルソンマンデラが大統領になり、直後に南アフリカで行われたW杯で一つの国歌を歌い、一つの国旗を振り、一つのチームを応援し、国が一つとなる中で優勝を果たした。
長い間日本で受け入れられて来なかった協会主義(祖父母までを含めた国籍、出生地だけでなく、居住年数で代表を一つ選択できる)も、日本の躍進と共に「ONE TEAM」という言葉で払拭された。
そして、今度は黒人がキャプテンを務めた南アフリカが優勝した。
物知り顔で「結局は全て自分のためにしか動いていない」という人がいる。
言いたいことはわかるが、私は違うと言いたい。
「本当にキツい状況で、歯を食いしばって隣で走っている"コイツ"のために」がなければ、とっくにへばって倒れていただろう。
人のためにだったら、頑張れるタイプもいる。
私をそういうタイプに、ラグビーが育ててくれた。
情熱
何度倒されても、起き上がりまたぶつかる。
前に進むためにボールを後ろに投げる。
小さい人も大きい人も、速い人も強い人も、それぞれの役割を果たす。
このスポーツに魅せられてきた。
そんなおじさんたちが、それぞれの場所で「魅力を伝えたい」と思ったことが、W杯成功へと繋がったようにも思う。
いま、これほどの情熱を目の前のことに傾けられているか。
常に自分に問うていきたい。