頭痛のしない音はないんだった。
耳に異物をつけたまま、各駅停車に揺られる。
再生リストをしばらく眺めて、頭痛のしない音楽なんて存在しないんだと思い出した。左右から頭蓋骨内に放り込まれ続ける分解不能なプラスチック。なくなれば、どこか口寂しい。胸に秘めた青写真が砂まみれになって埋め立てられていく。窒息。
金属弦の振動が鼓膜を傷つけて、豊かさとはこれだっただろうかと沈んだ。それでふと地球もひどい扁桃痛なのかと考えたら笑えてきた。
逆ブラックホールだから、ホワイトノイズも仕方ないかと思ってイヤホンを外し、車窓から外を見たら寂しかった。