悲しい夢じゃない。いい夢だ。
姉が亡くなってからもう少しで1ヶ月。
ちょこちょこと夢に元気だった頃の姉が出てくる。
そのなかで、印象的な夢だったのは、亡くなってから1週間経った日に見たものだ。
葬式のような、結婚式のような、はっきりしないパーティーのようなものが行われている。
姉は亡くなった状態で目を閉じているが、微笑んでいて、きれいな着物を着ている。
周りには友人が集まり、楽しそうにしている。
その姉を私と姉の夫で両側から支えて、別の場所へ連れて行こうとすると、やたら軽い。
あれ?と思って足元をみると、姉が自分ですこーし歩いている。
母の元へ到着し、姉をおろすと、心なしか動いた気がした。
試しに少しくすぐってみると、こらえているが少し笑っている。
なんだ、生きてるじゃん!と思って思い切りくすぐると、耐えきれなくなったように笑い転げ、そうしているうちに、どんどん姉が子供のときの姿に戻っていくのだ。
気がつくと、私も子供の頃の姿に戻っており、いつかのように2人でキャッキャと笑い転げた。
すると姉はふと、
「あー、行きたくねーなぁ」
と少し悲しそうに、しかし覚悟したような表情で言った。
その次の瞬間に私は目覚め、途端に大泣きしてギョロ目ちゃんに夢の内容を話した。
悲しくて悲しくて、行きたくないと言った姉が不憫で、私は大泣きしていた。
なんて辛い夢だろうと思った。
すると、ギョロ目ちゃんは
「お姉さんが会いに来たんだね。いい夢だったね。」
優しく微笑んでそう言った。
そうか、いい夢か。
たしかに、お姉ちゃんは私に会いに来てくれたんだ。
そして、みんなに言えない本音を、ぽろっとこぼしてくれたのだ。
そう思うと、腑に落ちた。
昔から不器用で、強がりで、やさしくて、私のことをずっと心配してくれた。
この世でたった2人の姉妹なんだから。
なんかあったらいつでも姉ちゃんに言いなさいよ。
ぶっきらぼうに、いつもそう言っていた。
姉ちゃんも行きたくないよな。
私も行って欲しくないよ。
でもこればっかりは仕方ないね。
たくさん遊んでくれてありがとう。
いつも心配してくれてありがとう。
今までもこれからも、私の大好きなお姉ちゃんだよ。