2022年 修了考査勉強法の一例
内容を忘れる前にまとめます。予備校はCPAです。
合格発表前の手記のため、信頼性がどれ程あるのかは不明なのでご注意。
近年の超難化傾向と比較し2021年・2022年は易化したと思われます。とはいえ、いつ難しくなるかは分からないため難化ベースで学習するのがベターでしょう。会計関連の試験は受験性を振り回すのが得意ですからね。
ただ、最終的にどれほど力を入れて学習するかは、各々のキャリアプランとリスク許容度を加味して決定すればよいと思います。
私はこの1回で確実に決めたいと思っていたのでそこそこ対策しました(総勉強時間400h)。最低限の対策で受かりたい方には適合しない内容ですので、ご留意ください。
全般
全般的な試験の印象
・母集団に特徴がある。論文合格後のため実力にほとんど差異が無い→点数の差は学習時間の差が大きい(&ケアレスミスで大きな差がつく)
・合格点が固定ではない、かつ母集団に実力の差が無く団子になりやすい→ほぼ相対試験。絶対試験だと思って油断していると足元掬われる可能性有。
・学習時間の体感の目安は300hで合格が安定するライン。各々の事情により加減算するイメージ。(事業会社や金融事業部のため監査をより厚く勉強する、短縮のため思い出し作業を軽くする、直前期に家庭の事情で時間が取れないので多めに勉強しておくなど)
・300h以上勉強してたら、問題との相性や運などのせいにしていいのかなと思う。逆に、300h未満だと抜け漏れややり残しが出るため出題によって点数にブレが出そう。ただし、多くの人は300h未満ではないかなと思う。
・ケアレスミスの勘は取り戻す必要性が高い(月ズレ、利息法or定額法、年度など)
・答練ベースでは網羅性が心配。テキストベースの方が安定する。
・論文時代に既知のものは、なるべく思い出しておく。準備していないと当日に閃くかどうかの勝負になってしまい安定しない。
答練の位置づけについて
・答練の目的:①問題を解く感覚を思い出す ②インプットの補強 ③的中した場合の保険
・①については、時間を測って記入・提出することで達成できる。逆に言うと、感覚を思い出せたら毎回時間を測る意味は薄い。
・②については、特に直前期に回転することで高い効果を得られる。試験休暇前に覚える箇所などの加工を済ませておく。
・③については、答練の的中率自体は高くないもののバッチリ当たると差が出てしまう。保険としてある程度は頭に入れておくべき。ただし、難度の高い物は捨ててもよい。時事系もそこまで大量に出題はされない。ほどほどで良いと思う
・過去に良く聞いた「直前期に答練を回転したらOK」という言説は、もはや時代遅れなので注意(なお、修了考査は近年変更が激しいので、体験談などもここ2,3年の物以外は陳腐化していて使えないと思った方が良い)
学習の流れ(イメージ)
・予備校を選んですぐに申し込む
・まず過去問を解いて出題形式を把握する
・税務が重いので早めに着手
・会計の計算も早めに。
・その次に、IFRSや監基報の暗記
・ITと職業倫理は焦らなくて大丈夫だが、直前期に回転できる状況にはしておくこと
・答練は9月中旬ごろから配布される。(夏休みに学習時間を稼ごうと思っても答練は手元にない状態なので注意)
・遅くても夏休みには学習を開始しておき、答練はスタート同時に手を付けたい
・暗記の比重が高い(試験範囲的にも、差がつく部分としても)ので、試験直前にどれだけ詰め込めるかが勝負の分かれ目。試験休暇前に暗記教材の仕込みを終えておいて、休暇期間にひたすら回転&平行して暗記箇所以外のメンテナンスをするのが理想。
・科目の優先順位は、税務>>会計≒監査>職業倫理>IT>経営 の印象。監査は対策しない人も多いが配点が大きいのと暗記で勝負できる部分が多いので優先度を高めて良いと思う
当日について
・可能であれば近くのホテルなどに泊まると良い。上述の通り、実力差はあまりない試験なので当日のコンディションが合否に与える影響が大きい
・記述の分量がかなり多いので、筆記用具は予備も含めて入念に準備を。実際、私も当日インクが切れて結構焦った。休憩時間に交換しておくべきだった。
・東京の会場はコロナ対策の影響で大型施設になると思われる。回収に20分弱かかり、その間は離席も学習も出来ずに待つしかないので休憩時間は短い。(2022年はパシフィコ横浜ノース)
・自分が分からない所は周りも分からないので、何か書いたかどうかで大きく差がつく。空欄は作らず、とにかく諦めずに書きまくること。
・解答用紙には既に受験番号が印字されたものが配布される。自分で名前・受験番号は記載しない(恐らく例年通り)
・微妙に論文と認められている用具の範囲が異なるので注意。公式HPをチェックしておくこと。(置時計・ストップウォッチはNGなど)
・肩こりや腱鞘炎の対策に湿布があってもいいかも
愚痴
・所詮ペーパー試験なので実務の実力とはほとんど関係が無い
・ペーパー試験は短期のメモリ勝負or計算力(≒劣化エクセル)でしかない。一度、論文式試験をパスしている人々にほとんど同じ能力を問いているので非常に意味が薄い試験。
・結局、監査品質の担保のための対外的なアピールがメインの目的である。
⇒実務がどうとか、補修所の意図がどうとか、そんな狂言に付き合う必要はない。ペーパー試験としての対策をすることが大切だと思う。
また、修了考査ごときでは実力なんて測れないので、何度も落ちている人を見て実力的に云々などと言うのは根拠のないレッテル貼りだと思う。感性を令和版にアップデートすべき。
その他
・本当は職業倫理の暗記項目のまとめ教材を自作していたので、それを売りにでも出そうと思い宣伝目的で本noteを書き始めました。
が、倫理規則の改定が想像以上に大きく販売は一旦諦めています。なので、モチベーションが低くなってしまい雑多で適当な文章になってます。途中まで書いてたのとフォロワーさんに応援されたのでせっかくなので公開しました。
合格が決まった後に気が向いたら改訂ver作って売り出すかもしれません。
会計実務(300点)
※各科目の()内は配点。1200点満点。
出題傾向・近年の動向
・連結が頻出。集計力が問われる問題は減少傾向
・論文の頻出分野が中心だが、短答論点も出題実績あり。
・IFRSもほぼ必ず出題される。こちらは理論が中心
やったこと・やるべきと思ったこと
論文期の記憶が全くなかったので厚めに対策した。IFRS対策は標準的なレベルに留めた。
・予備校のテキストの全ての例題を2周(網羅性+改正論点のチェックのため):60h
・答練は普通に解くのを2周、概要を思い出せるかを試験1週間前に1周:30h
・IFRSは講義+テキスト4~5周程度:20h
・出来れば論文期の理論も軽く回せておければ安心だと思ったが捨ててしまっていたので断念
・開示の出題も多い。典型的な開示は暗記しておくと安心(実務でも役立つ)。プロネクサスの開示例の目次を見て、開示の内容を思い出せるかチェックする等をしておきたかった。
・時間があれば各基準の設例を一通り洗っておきたかった。
個別論点等
・社債やストックオプション等で基礎的な問題もいくつかサービスで出されるが、忘れていると解けない。網羅的に思い出しておくと吉。
・税効果の会社の分類の辺りは超頻出なのですべて完全に理解して暗記も完璧にして臨むこと。
・連結や組織再編も頻出なのでC論点まで手を伸ばしておいても良い。
・理論は監査論でも応用できる可能性があるので、巷で言われるほど重要度は低くないと思う。(減損兆候の要件など)
・IFRSは試験的にはほぼ理論の暗記。過去には研究費の資産化の要件を全て書けという問題も出ている。GAAP差が学習のメインではあるが、それ以外のところも目を通しておくと良い。
・IFRS金融商品は高難度なので最低限でも良いと思う。収益も範囲が膨大すぎるのでJGAAP+αで十分。
税務実務(300点)
出題傾向・近年の動向
・論文の時よりも範囲が広い(CPAだとテキスト5冊)
・事業税や組織再編税制など、分野まるごと出題されたりされなかったりするため、対策が薄い箇所が本番で出題されるとダメージが大きい。網羅的に学習が必要。
・ただし、理論はあまりにも範囲が広いので対策はほぼ不可能。答練で出たものと講義で触れられたもので十二分である。
やったこと・やるべきと思ったこと
論文の頃から苦手意識があったので厚めに学習した。
・講義を消化&翌日に復習:40h程
・テキストを回転(6周程度):60h程
・答練を2回転+軽く2回見直し(CPAもTACも):60h程
法人税
(主に総合問題について)
・出題範囲にそれなりに偏りがあるので留意
・問題を解く前に中小企業かどうかの判定をすること。修了考査は中小企業の方が良く出題されている。
・部分点が非常に取りやすいので、力を入れて学習するのが吉
・留保と社外は絶対に外さないように暗記の精度を高く
・租税公課は毎回出題されるが、論文期と問われ方が異なる(加減算のみではなく調整項目も覚える必要がある)&問題の与えられ方が種々あるため慣れること(仮払は一旦全て減算するなど)
・法人税の仮計から納付税額を求めさせる問題のほぼ必ず出るので、そこに絡む箇所は深く学習しておくとハネる余地がある。(所得税控除、寄付金、繰越欠損など)
・税率や切り上げの桁数などもきちんと暗記しておく。近年は与えられることも多いが問われてもおかしくない。(無駄な試験たる所以の一つ)
消費税
(主に総合問題について)
・細かい分類はあまり出ないが、1個でもミスると連鎖的に外すので暗記を丁寧にする必要あり
・一方、R4では連鎖的に失点する形式ではなかった(非常に良いことだと思う)
・課税事業者の判定は頻出。中間納税も抑えておいて損はない。簡易納税は簡単なものが解ける程度で良いと思う。
・インボイス制度について時事問題として出題可能性があるが、対策はほどほどで良い気がする(あまりにホットな話題は出題しにくいと思われる)
所得税
・出題自体は良くされるが範囲の割に配点がかなり小さい傾向。
・コスパ悪だが、何もやらないのは怖い。論文期に触れていたものを軽く思い出せていれば良い
・所得控除や税額控除周りの拾いやすい所はカバーしておいて損はない
・何故かTAC答練では鬼のように住宅ローンに関する出題があった。個人的にはあまりにも実務的かつ内容も複雑なので深入りは要らないかと
地方事業税
・出題頻度は低いが、対策してないと大事故が起きる。大問で出題されても対応できるように準備しておくこと
相続税
・近年出題頻度が上がっている。財産評価以外は覚えることはそこまで多くない。税額計算までの流れは完投できるように対策すること
・財産評価(土地・株式等)は税務第一回の考査より難易度が低い傾向。余力があれば、考査の復習もするとよい
組織再編
・深入りすると非常に難しい。基本的な仕訳の形、要件の暗記、繰越欠損周りをある程度に抑えておき、事故が防止できていれば十分だと思う
・TAC答練は特に難しい問題を出す傾向にあると感じた。(解説を読んでもよく分からないものもあった)
連結納税・グループ通算
・主に理論。こちらも深入りすると大変なので基本的なものを抑えるので十分だと思う。
・どちらも覚えること自体は多くない印象。
監査実務(300点)
出題傾向・近年の動向
・理論部分よりも要件を聞かれる傾向(≒監基報の要求事項)
・作文と言われることも多いが、暗記が出来ていれば吐き出して終わる問題がほとんど
・監基報の穴埋め問題も出題される
・応用問題は実務での手続きを書ければ事足りることも多い(逆に、事業会社の監査経験が無い場合は対策の必要がある)
・応用問題はどうせ皆何かしら書ける。差が出るのは監基報の暗記の精度。
やったこと・やるべきと思ったこと
・答練は軽く3周程度。記述はせずにキーワード・論旨が出せるか
チェック:15h
・知識の網羅性が心配だったのでテキストを軽く通読(1.5周弱):10h
・CPAが試験の1,2か月前くらいに監基報の暗記用教材を出してくれたのでそれをひたすら回転。4周くらい:15h
・講義は息抜きにつまみ食いした程度
・頻出の箇所については要求事項だけでなく適用指針にも手を出したかった。(CPAの教材は要求事項のみ)
個別論点等
・会計上の見積もりが頻出。実際、実務でも大事なので普段から意識しておくと良い。逆に、監査報告論(特に適正意見以外の論点)は出されない。論文式の頃とは出題傾向が割と異なるので注意
・経営者確認書の記載事項や監査役とのコミュニケーション要否など、他論点でも横断的に問いやすい所は特に意識すると良い
・監査報告書など、雛形があるものはある程度暗記しておくと安心
・今年についてはCPAの答練が結構的中していた印象。だが、監査実務の答練は時間配分が把握できればOKで、学習範囲の抜けが無いかをチェックする目的で解けば十分かと思う
経営(IT) (100点)
出題傾向・近年の動向
・ほぼ暗記。構造的な理解が問われることはほとんどない
・穴埋め問題や記号問題も多い。一般的な用語も出がち。サービス問題のつもりだろうが、外すと差がついてしまうので逆に神経を使う。
・IT57号、46号、47号からの出題がほとんど。近年は、IT52号(次世代監査)、34号(情報セキュリティ)も。
・問題数は少なく記述量も少ない(せいぜい2,3行のみ)傾向にあるので、事故る可能性も低くない。IT57号は全て抑えておくべき。逆に、答練だけを回転する学習は危うい。
やったこと・やるべきと思ったこと
・CPAの講義は質が低かったのでほぼ使わなかった。
・テキストをざっと通読:8h
・IT57号、46号、47号の暗記(基準を印刷し暗記ペンで暗記。4周程度):15h
・答練を軽く2周:7h
・息抜きに、IT52号(次世代監査)、34号(情報セキュリティ)を軽く通読
・答練はほとんど上述の基準をそのまま聞いているだけだったので回転する必要性は薄いと思う。用語問題は当日何が出るか全くわからないので、出題された際の保険程度に覚えておいた。
・IT52号(次世代監査)、34号(情報セキュリティ)は回転できる程度にしておきたかった。テキストには未記載だが近年出題頻度が増している。
・リモートワーク関連の報告書も、監査実務でも出題可能性があるので対策をしてもよいと思う。ただし、意外と数が結構あるので手をかけすぎない程度に。
・経営ITの合計200点で足きり判断になるため、足きりのリスクはかなり低い。最低限対策できていればOKとも思う(また、ここで足きりくらった話はあまり聞かないので過度な心配は不要かなと)
・時事問題の対策はやるとしても趣味レベルで良い。それよりも税務。
経営(IT以外) (100点)
出題傾向・近年の動向
・第一問で経営分析系(流動比率など)が出る。死守したい。生産性分析もカバーは必須。
・それ以外はあまりにも範囲が膨大過ぎて対策は不可能。税務をやろう。
・強いて言うならコーポレートガバナンスは手を出してもよい。また、テキストに載っている例題(≒論文期に触れたことのある論点)は思い出しておいても良い
・IT以上に問題数が少ない傾向にある。事故リスクが大きい。ただし、ITで書いた通り過度な心配は不要。
やったこと・やるべきと思ったこと
・テキストを軽く通読&例題を解く 3h
・答練を軽く2周程度 4h
(記録を見たら想像以上に勉強してなくてビックリしました)
・論文時代の経営の財務管理の教材があってもよかった(捨ててた)
職業倫理 (100点)
出題傾向・近年の動向
・言わずと知れた足切り用科目。きちんと対策すること
・会計士法第一条など、小学生のテストのような穴埋めや丸暗記が求められる。一言一句書き出せるようにしておく
・答練は1回のみ。網羅性が低すぎるので、答練を回すだけの学習は論外である(答練はやらなくてもいいくらい)
・テキストのみでも不安。原文を印刷して何回か通読・暗記しておくと良い。
・2023年試験から改定後の倫理規定が対象になると思われる。予備校側も手探りになるはずなので、ますます自分で原文を当たりに行くべき。また、改訂の影響で過去の体験談(本記事も含む)などが適合しない可能性があるので注意。
やったこと・やるべきと思ったこと
・講義 1h
・答練 1h
・テキストで暗記 12h
・原文通読など 5h
・試験休暇前に少々準備できていたとはいえ、もっと時間かけてもよかった。
個別論点等
・非監査業務の独立性について、記述させる問題が超頻出だった。変更がある所なので今後どうなるかは分からないが対策を厚くして損はない
・セーフガードの適用なのか、禁止されているのか、NGの程度のレイヤーを精度高く暗記する
・インサイダーが2022年に出なかったので来年も対策必須。(3年周期で出題されており2022年が当たり年だった)
・来年以降は改定後なので何が出るのか分からない。対策を厚くして損はないと思う。