公子は本当に仕事してないのか?

執行官第11位『公子』タルタリヤは本当に仕事をしていないのでしょうか? 調べてみました!
……これはともかくとして。

※3.2までの全部のネタバレがあります


稲妻のイラストレーターの資料写真撮影イベントの前提に、宵宮とタルタリヤの伝説任務が指定されて「???」の嵐を巻き起こして数日。
博士がポイした研究所前で撮影するだけだよ説、テウセルが稲妻に密航してくるよ説、稲妻のギャル(※宵宮)とスネージナヤのギャル(※タルタリヤ)とチェキできるんだよ説などが飛び交いましたが、一番近いのが強いて言うなら最後のやつでびっくりしましたね。ご本人登場とは思ってませんでした。

謎境一騎以来マジで1年ぶりの登場にも関わらず、なぜか袋貉を追いかけていたので、「この人は一体何をしているんだ……?」と思った旅人も多いでしょう。まあ、直近のファデュイの皆さんは「アランナラを捕獲しようとする博士」「キノコンで軍隊を作ろうとするエルヒンゲン」とかなので「袋貉を追いかける公子」は並べてもそんなにおかしくない気もしますが(そうかな)、やはり存在が面白すぎたのか、魔神任務からのこれまでの経緯がイジられだしてしまいました。

曰く、

  • 魔神任務:成果ゼロ、オセル復活の影響で璃月とスネージナヤが断交

  • 伝説任務:おもちゃ屋

  • 謎境一騎:散兵の手がかりなく手ぶらで帰還

とのことですが、本当にそうなのか??? ボブは訝しんだ。

反論が簡単なところからいくと、「伝説任務でファデュイに得がない」はそんなに問題あるか? という気がします。魔神任務進行の条件になっている神里綾華や宵宮の伝説任務と違い、タルタリヤの伝説任務はやるかやらないかプレイヤーに委ねられています。そこでファデュイに利益が出る成果を挙げるのは普通にストーリー把握に不親切じゃないですか……? メタ的な理由の責任をキャラに押し付けてるだけじゃないですかね。他のキャラの伝説任務でも、本編に登場する組織が大きな利益を得るようなシナリオ運びにはなっていませんし(被るはずだった損をゼロにできた、という話はある)。

次に、謎境一騎で「散兵の手がかりなし」ですが、スメールで博士と散兵が合流している理由が何も説明されていないので、公子が役に立っていたか立っていなかったかを判断することはできないんじゃないかなと思います。
理系で論文とか書いたことあると分かると思うんですが、「これを検証したところ効果がなかった」は「無駄」ではなく「効果がないということがわかった」なんですよね。
「散兵がいないということが分かった」が役に立ってるのか立ってないのか、確定してないんじゃないですかね……いやまあ「いない」って報告してるかどうかも分からないんだけど……

さて問題の魔神任務です。
リアルタイム更新系コンテンツあるあるですが、層岩巨淵実装で「スネージナヤと璃月が断交したこと」「その影響で調査隊として送られたファデュイの兵士たちが死んでいること」が明らかになってから、魔神任務での公子の挙動に関して「なんてことしてくれてんだ! この無能!」というような論調をちらちら目にして好戦的な気持ちになった方もいるのではないでしょうか。
わたしは「あ??? やるか???」と思っていました。

ということで、魔神任務の公子は仕事してない無能ではなかったですよという、魔神任務のテキストを読めれば誰でもわかる事実を改めて確認していきたいと思います(ちくちく言葉)。

前提のおさらい

璃月の魔神任務周辺の経緯を時系列順にまとめます。

  1. 岩神と氷神が「全ての契約を終わらせる契約」を結ぶ。
    契約で両者が得たものは以下。
    氷神:岩の神の心
    岩神:お前自身の手で答えを明らかにするといい(まだ分からない)

  2. 層岩巨淵で異変が起き始め、封鎖される

  3. 「淑女」が璃月とスネージナヤの双方に益のある貿易協定を結ぶ
    「雄鶏」配下の部隊が層岩巨淵の調査に派遣される 

  4. 魔神任務本編

  5. 璃月とスネージナヤが断交、淑女の結んだ協定は破棄
    層岩巨淵に派遣された先遣隊は取り残される

  6. 旅人が層岩巨淵を調査

1の位置は4の前ならどこにでも移動する可能性があります。
うーん、見事に「みんな色々頑張ってたのに公子が暴れるから……」という感じがしてきますね。まあ、起きたことだけ見ればそうなりますし、おそらく璃月の一般人や先遣隊の一般兵の視点ではそれが事実でしょう。
しかし我々は璃月の一般人や先遣隊の一般兵ではありません。1と4の情報を握っているからです。

魔神任務は誰の筋書きか

本編中の発言を参考にすると、素直に考えるなら岩神が書いた筋書きです。

皆さんの証言

淑女:ふふっ……水面下の暗流を集めて、極限になるまで圧をかけて、爆発させる。まさに彼(※岩神)が望んだものでしょ?

鍾離:神と共にある璃月、次の時代に入る準備はできただろうか? 俺はそれを観察する時間と、そして決意するきっかけが欲しかった。
だから偽りの死を計画し、「公子」、仙人、璃月七星を巻き込んだ…

鍾離:そちらの「淑女」も…氷神との「契約」を果たす使者として、俺の要求を聞いて取引のことを誰にも言わなかった。「公子」殿にもね。

鍾離:何もかも俺の計画だ。唯一俺の予想を超えたのは…「璃月七星」が取った行動だ。

つまり、岩神は「狂言自殺して「公子」、仙人、璃月七星を巻き込んで経過観察して決意するきっかけを探す計画」を立てており、事前にスネージナヤに「そちらの公子って人をこっちの計画に組み込むんですけど、そっちサイドから氷神との取引についてネタバレされると困るんで、黙ってもらってていいですか?」と連絡を入れていた(淑女は要求に従った)、ということになります。
淑女が岩神の望みを理解しているので、多分この連絡の時に「水面下の暗流以下略したいんですけど」みたいな説明もスネージナヤ側にしています。

たまたま送られてきた公子を計画に組み込んでから連絡したのか、「そっちから人をくれ、そいつに取引のことは絶対言うな」と言ったら公子が元気に送られてきたのかは分からないのですが、まあ後者かなと思います。

前者の場合、スネージナヤは岩神と神の心を受け渡す契約を交わしておきながら、ワンチャン無料でぶんどれたらラッキーと思って公子を投げ込んできたことになるので、ちょっと人的リソースの無駄遣いですし、冬夜の戯劇を見る限り、「執行官は最悪死んでも神の心と1-1交換ならOK」という感じではなく、「一人も死んだらだめだよ……ロザリン……」というテンションだったので、ワンチャン狙いはしなさそうです。執行官各自が勝手にワンチャン狙いをする可能性はありますが、公子ははっきり「女皇の命令」だと言っていますからね。

魔神任務で公子の期待された動き

さて、以上が前提です。
魔神任務で公子が期待された動きは「岩神の心を取ってくること」ではないことは明らかです(だって契約を履行すればくれるって言ってるし)。
岩神の視点からの各勢力への期待は、本人も言っていますが、

鍾離:隠居していた仙人たちも…情報量が最も少ないのに、最大限の自制を見せた。七星と共に危機に立ち向かい、民の心を理解しようとした。

鍾離:何もかも俺の計画だ。唯一俺の予想を超えたのは…「璃月七星」が取った行動だ。
鍾離:璃月を守ってくれればいいと、仙人たちと同じ期待をしたが、まさか…
鍾離:このまま神に取って代わり、俺の「死」を利用して璃月を管轄下に置くとはな。

仙人たちには「反射でキレずに七星と協力して危機に立ち向かい、民の心を理解しようとすること」、七星には「璃月を守ってくれればいい」と期待していました(そして彼らはそれに答えた)。

つまり、岩神が死んだ状況で璃月に危機が訪れたら、七星や仙人は岩神の代わりに璃月を守れるのか? が卒業試験の課題だったわけですね。
これをやるには当たり前ですが「危機」が必要です。この「危機」は当然岩神の死のことではありません。そして、なんやかんやで上手くいかないかもしれないので、最悪でも神の心を持った状態の岩神が降臨すれば対処可能なタイプの危機でないと困ります。

パイモン:つまり、もし取り返しがつかないことになってたら、おまえは神として璃月を助けてたってことか?
淑女:当然よ、それくらい彼にとってはお茶の子さいさいだもの。

つまり、公子に期待されているのは「七星と仙人を相手に、神の心を持った状態の岩神が降臨すれば対処可能なタイプの危機(だけ)を起こしてくれる人」です。その発注を受けたスネージナヤから公子(第11位)が送られてきたのは岩神からするとかなり納得がいくでしょうし、プレイアブルの岩神本人も公子のことは「あのスネージナヤの武人」と表現しています。武人。面倒なことしなさそう(実際しない)……。
誰だって璃月に試験用の危機を起こしてくれって言われて穀物価格暴騰とか飢饉とか疫病とか起こされたら「そうじゃねえんだよな」と思うもんな……

スメールの博士の挙動を見ればわかるんですが、公子はマジで神が降臨すれば対処可能なタイプの危機しか起こしていません。
博士はナヒーダだけでは対処できないタイプの危機をメチャクチャ起こして……いやあれは危機じゃなくて神の動作確認試験ですが……

魔神任務で公子に期待された動きは、
岩神視点:岩神が死んだ状態の璃月に、最悪岩神が降臨したらなんとかなるくらいの危機を起こしてくれる
スネージナヤ視点:岩神の発注通りに暴れてくれる
です。

具体的には
・黄金屋を襲う(想定解)
・魔神オセルを復活させる(追加解)
の2点になります。本編で岩神は旅人に黄金屋に行くよう促していましたが、旅人が璃月を訪れていなければ、他の誰か……千岩軍とか七星の誰かとかを促していたんじゃないでしょうか。

黄金屋襲撃は最悪岩神が直接パンチしに行けば止まるだろうし、魔神オセルが復活したとして過去に一回勝ってる相手なので理論上勝てるはずです。完全復活じゃなくて一時的な復活ですしね。
見事なまでに「最悪岩神が降臨したらなんとかなるタイプの危機」だけ起こしてくれているので、公子は完全に期待に答えています。これを「仕事をしている」と言いますね。

まあ、本人に知らされていた業務内容と期待されていた業務内容に乖離があるので、本人は「よくも俺を騙して好き勝手やってくれたね」などと言っていますが……

層岩巨淵はどうなのよ

層岩巨淵追加で「スネージナヤと璃月が断交したこと」「その影響で調査隊として送られたファデュイの兵士たちが死んでいること」が明らかになりました。そして、スネージナヤと璃月の断交の原因は「群玉閣の事件」、つまり凝光が群玉閣を落としてオセルを倒したあの一件だ、というので、公子のせいで珍しくマジでなんの罪もないファデュイ先遣隊たちがいっぱい死んだりした感じになりました。

まあ、これに関しては責任の押し付け合いになりますし、物事の順番が分からない以上なんとも言えない部分が出てきます。
ざっと考えるだけでも3つは責任の押し付け合いができます。

  1. いくら岩神の発注と言っても、そもそも公子が暴れすぎたのが問題だ。魔神復活はやりすぎだし、七星が断交するのも当然だ。

  2. 岩神の発注で危機を起こしたのに、そのせいで璃月内でスネージナヤの人間が不利益を被るのは筋が通らないのではないか。七星への引き継ぎが甘い岩神のせいだ。

  3. 七星は確かに層岩巨淵地下の先遣隊を見捨てたが、スネージナヤとして打てる手はまだあったはず。それをせずに先遣隊を見捨てたのはスネージナヤの問題だ。

喧嘩はやめなよ!!! という感じですね。
各勢力からすると、おかしな動きはしていないので、誰が悪いとかどこの勢力が悪いとかではないと思います。

七星としては、そりゃあ断交だ断交、富者とかいうのが密貿易ルート作ろうとしたのを潰したり、天枢候補にファデュイの息がかかったやつが出て毒殺騒ぎが起きたりしてるし、これを理由に断交できたらラッキー!! 群玉閣落としただけの価値はあるぜ~~~~ってもんでしょうし、先遣隊のことを考えるなら、上の方のゴチャゴチャで死ぬなんて、ファデュイにはよくあることだけれど回避できるならしてくれよというものでしょうし、ちょっとでも大事に思うなら救出の努力くらいしてくれてもいいんじゃないか? と思うのも人情でしょう。まあ出てくるファデュイ結構覚悟決まってる系というか、滅びの美学系作品の武士のメンタルなんですか? みたいになってたりするので、「かわいそう」と感じるのがプレイヤーだけのときも結構ありますが……カタリナ……どうして……

わたしの見解でいうなら、仮に公子がオセルを復活させなくとも璃月とスネージナヤは断交していただろうと思っています。
「オセル復活+群玉閣投下までしてなければ、流石に断交しなかった」と考えるより、「元々富者などの件もあり、理由さえあれば断交したかったが理由がなかった。タイミング良くオセル復活+群玉閣投下という誰の目から見ても理由になる事件が起きたので理由にした」と考えたほうが自然です。この場合、仮に公子がオセル復活まで行わずに撤退していたとして、黄金屋の床を破壊したこととかを理由に挙げて断交していたと思います。その方が璃月にとって利益になるので。凝光デートイベントでこの件については多額の賠償金を支払っていることが明らかになっていますが、この賠償金を受け取らずに断交を突きつければいい話です。

つまり、璃月とスネージナヤが断交したのは何故かといえば、「執行官が璃月で騒ぎを起こしたからそうせざるを得なかった」ではなく、「元々璃月七星がスネージナヤと断交したかったから」ではないか、がわたしの見解になります。
そうだとするなら、そもそも璃月に危機を起こすのが公子に期待された役割なので、期待に答えたらその時点で断交します。期待に答えず璃月に何もしなければ、契約不履行で岩神の心は手に入らないので、その方が困るでしょう。何やっても責められる立場引いちゃってんなあ、という感触です。

スネージナヤ側が「これやったら璃月とスネージナヤは断交するかもしれない」「そうしたら璃月国内に残っているスネージナヤ人は困るかもしれない」「層岩巨淵に派遣している先遣隊は一生層岩巨淵かもしれない」あたりが読めていて、対処したいと思ったならやりようはあると思うので、「断交すると思ってなかった」「断交すると思ったけど層岩巨淵で飼い殺しみたいなことするとは思ってなかった」「全部分かってたけど仕方のないことだと思った」のどれかじゃないかな……と思います。まあ最後のやつじゃないかな~という気がしますが。

そうか…驚きはしたが、理解はできる。
より有意義な冒険にするために、「雄鶏」様は自ずと価値の低い資産を切り捨てる。それが「雄鶏」様の理性さ。
あのお方の直属部下として、俺たちに何も文句はない…

層岩巨淵 第九中隊臨時隊長・アントン曹長


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