英語のボキャブラリーをどうやって豊かにするか
日課のごとく古賀史健さんの文章をよんでいたら、そういえばこの話、英語のボキャブラリーにも同じことがいえるなぁと思いました。
「英語の単語帳とにらめっこしてみるけれど、なかなか頭に入ってこない。」
だれもが経験したことがあるんじゃないかと思います。そして仮にその単語帳をつかってなんとか記憶におしこんだとしても、気がついたら忘れている。わたしはそれを記憶力が悪いからではなく「自分のことば」じゃないから覚えられないんだと思っています。
そして単語帳に飽きがきたら、こんどは「机上の勉強で身につかないなら実践だ!」といって英語で会話する機会をふやしてみたり、脳内の考えごとをできるかぎり英語でしてみたりしますよね。そうすると気づくんです。いかに何もでてこないか。たとえ単語テストが満点だったたとしても、じっさいに話そうとしたとたん、肝心のことばがぜんぜんでてこない。
多くの人はこれを「ボキャブラリーが少ないから」とか「もっと会話練習しないとなぁ」と言うでしょう。しかしわたしが思うに、それは本質的な問題ではなく「そもそも自分がなにを話したいのか?」というところまで考えなければ、古賀さんが言うところのボキャブラリーというのはきっと身につかないんですよね。それは英語だろうと日本語だろうと同じだと思うんです。
唯一ちがうのは、実際にはなしたり脳内で考えたりするときに、自分の意見や考えを語れるだけの「ことば」(英単語)をもち合わせていないこと。ここがつまり勝負どころで、「自分で考えるため」に辞書を引き、自分の口で語れるようになる。そしてそれを誰かに話す、もしくは書いてみる。そうしてはじめて英語のボキャブラリーは豊かになっていくんだと思います。
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わたしの話をすると、わたしは現在マレーシアの語学学校でプライベートレッスンをうけています。授業の前日までにディスカッショントピックを決め、それに関連するいくつかの文献や資料を読むのですが、そのなかで使えそうな単語やフレーズを拾いつつ「わたしはこう思う」「ここが日本とマレーシアの違いかな」といった考えや仮設をあらかじめ用意するようにしています。すでにディスカッションしたものでいうと、貧困やジェンダー、教育、SNSなど、もっぱらわたしの「関心ごと」や「これまでグルグルと考えをめぐらせてきたトピック」ばかり。
そして実際の授業では、そのトピックについて事前に準備していた単語やフレーズを使いつつ、自分が思うことを述べたり、マレーシアにはどんな事情があるのか、といったことをひたすら先生に質問します。そして授業後は、先生の話の中にあった初見の単語やフレーズをメモに書きだす。そのメモを見ながら、今のわたしならこれらを使ってどう話すか?と壁に向かって話すなり、文章にしてみる。機会があれば(ときにはむりに作ってでも)他のともだちにも話してみる。
という風に、いっかいのレッスンを通してわたしがやっているのは、自分の「関心ごと」や「これまでグルグルと考えをめぐらせてきたこと」、つまりわたしが「たくさん考えていること」についての単語やフレーズを整理しながら、さらに自分の考えを深めていく、ということになります。こうして得たボキャブラリーは、単語帳で得たボキャブラリーよりずっと記憶にのこりやすいんですよね。
なにが言いたいかというと「わたしはこれだけ英語のボキャブラリーがある!」というより「わたしはこれだけ英語で語れるものがある!」というほうが理想的だなぁと思うわけです。
市販の単語帳や教材で英単語を覚えようとしている人は少なくないと思います。もちろん、TOEICやiELTsなど、特定の目的によっては効率的な場合もあるので、そういった勉強方法がダメだと言いたいわけではありません。
ただ、わたしにとって市販の単語帳をめくっていくことは、散らかったままの部屋(=頭の中)に、わたしが今必要としていないおもちゃ(=ことば)が次々に投げこまれていってるような気がして。そうじゃない方法を探した結果がいまの勉強法になった、という感じです。
単語テストが100点でなくてもいいから、自分の口からでることばを、綴っていくことばを大切にしたい。そうして培ったことばがあって初めて「ボキャブラリーが豊かになったなぁ」と言いたいんです。