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SaMD(プログラム医療機器)を中心とした市場について


MedTech(Medical×Technology、メドテック)

「MedTech(Medical×Technology・メドテック)」は、診療・診断・治療支援領域などの医療分野においてAI、IoT、XR(VR:仮想現実、AR:拡張現実、MR:複合現実)、5G、4K/8Kなどの最新技術を活用し、新たな価値を提供する製品やサービスを指します。医療分野以外でも様々な産業や業種で、同様なトレンドがX-Tech(クロステックまたはエックステック)として進展しています。

AIを活用したSaMD(Software as a Medical Device:医療機器プログラム) は、2020年に初めて上市されて以降、その製品数は増加しています。放射線画像や内視鏡領域を中心に広がりをみせ、近年では対応する診断機器および対象疾患数は拡大、参入企業も増加傾向にあります。

一方、AIを活用したSaMDへの薬事承認制度の審査フロー、法整備などの改革が進み、診療報酬の枠組みにおいてもAIの利用に関するインセンティブが与えられるなど外部環境の変化がみられます。

また、2023年に社会的に注目された生成AIは誤情報の生成やその管理などの課題はあるものの、医療領域での生成AIを活用した新たな製品およびサービスの開発が進められています。技術革新のスピードが早まるなか、デジタル技術の活用は生産性、医療の質の向上に寄与することが期待されます。

普及期に入った診断支援AIシステム市場

AIが広く医療機関に普及するためには、導入・利用におけるインセンティブが重要であり、近年では診療報酬の枠組みのなかでその動きがみられています。

2022年度診療報酬改定では、AI利用・管理が画像診断管理加算3の施設要件として加えられ、1つの転換期となりました。続く2024年度診療報酬改定では、画像診断管理加算3および4が新設され、地域の中核病院・がん拠点病院などにも診断支援AIシステムの導入が進むものとみられます。

全体的なAIの利用・管理だけでなく、大腸癌・ポリープなどの病変をAIの支援により検出し内視鏡手術を実施した場合の保険点数も付与されることとなりました。

AIが社会的に注目される中、このように診断に対してAIの役割が評価され始めていることに加えて、医療機関や医師のAIに対する関心が高まったことで、診断支援AIシステムの導入が広がりを見せており、市場は普及期にシフトしています。

特に単純胸部X線画像でのAI利用は拡大しており、大規模病院に加えて健診施設やクリニックへの導入も進んでいます。遠隔読影支援サービス事業者でも診断支援AIシステムを導入し、読影の精度の向上や効率化を進める動きがみられます。

市場展望


政府は、医療領域でのAIシステムの開発推進・普及のため、医療データベースの構築、診療データの活用、AI導入へのインセンティブの設定などに取り組んでいます。生成AIに関しても国産LLM(Large Language Models)モデル開発の支援やガイドラインの策定が進められており、AIの社会実装に向けた取り組みは本格化しています。

2024年度は医師の働き方改革が本格的に実施され、医師の業務負荷の低減、効率の向上が求められる中で、診断支援AIシステムを活用することで、医師の働き方改革に寄与できる可能性があります。

参入企業の多くは数年以内に新たな製品上市を見据えており、SaMD等の医療機器ではなくヘルスケア機器としての展開を検討するなど活用領域、利用目的も多様化しつつあり、製品数の増加が見込まれます。

さらに、電子カルテデータや臨床検査、放射線画像、心電図等の様々なデータをマルチモーダルに解析することで、患者の状態予測および治療後の予後予測をする診療支援AIシステムの開発も進められています。すでに複数の企業や医療機関で実証実験が実施されており、実用化に向けた動きもみられます。

生成AIが社会的に注目され、医療に特化したLLMモデルの国内開発も進められ、様々な疾患やシチュエーションに対応したAIの開発が進む見通しです。

このように、診断支援および診療支援AIシステムは、将来的には多様化していくことが見込まれます。2028年度の診断・診療支援AIシステム市場規模(事業者売上高ベース)は264億円に拡大すると予測します。

〈※以上の内容は、2024年1月~3月に渡って弊社が実施した調査(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3541)を基に記載しました。内容は調査時点のものです。〉

DTx

デジタルセラピューティクス(Digital Therapeutics, DTx)は、「治療補助等のために用られる医療機器としてのアプリケーション(測定用デバイスと一体となっているものも含む)」です。

日本では2023年12月時点で3製品が医療機器製造販売承認を取得し、うち2製品が上市されています。

アプローチ(療法)も幅広く研究開発が行われています。認知行動療法を始め、食事療法や運動療法など従来療法のデジタル化、そしてニューロフィードバック(脳波をリアルタイムで測定・確認し、音や画像などでフィードバックする療法)の活用、独自ビデオゲームの活用など、様々なタイプのDTxが開発されています。

2023年11月時点で研究・開発が開始されている国産DTx製品数は76(弊社推計)、対象疾患として多いのは、糖尿病、うつ病・不安障害、がん、慢性疼痛、心疾患です。

DTxの将来


国内でも多数の研究・開発着手済み製品があり、またSaMD(Software as a Medical Device)など制度面の整備も進んでいます。

弊社では、2020年代後半にはDTx上市製品数は数十にまで拡大すると予測しています。

DTx開発企業はDTxから派生したnon-SaMDサービス(非医療機器アプリを用いたヘルスケアサービス)の開発・展開をしている場合も多く、そちらの展開も本格化する見通しです。

2030年代もDTxの上市は継続し、糖尿病以下上位5つの対象疾患などでは多数のDTxが利用可能になると予測しています。また上市製品の増加に伴い、DTxの医療機関・患者への普及が本格化する見込みです。

〈※以上の内容は、2023年10月~12月に渡って弊社が実施した調査(https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3458)を基に記載しました。内容は調査時点のものです。〉


☆弊社ウェブサイトでは、様々な市場調査結果のサマリーを公開しています、ぜひご覧ください!


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