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運命のヒトによせて

※サムネイルは、日髙竜太さんのInstagramのポストから拝借しました。


 はあ~。どえらい。
 HIGHER EX公演での日髙竜太さんとのアカペラと、ボーカル4人のフルカバーで腰を抜かしていたというに、ひとりカバーとは。
 ということで、加納嘉将さんにしかできない「運命のヒト」というものを考えたくてついだらだら文章を起こしている次第です。
 個人の感想レベルで、シンプルキショ感想文をTwitterに放流するのが怖くてnoteに書き留めてるだけなのでそんな大層なことは書いてないです。ふつうにキモい文章がちょろっと綴られてるだけです。

 あと、これを書くために諸先輩方の公式Youtubeでも拝聴したのでメモ用に貼っておきます。比較文学をやったことないので安易に取り上げるのもドキドキですが、先輩の文脈をふまえないとと思ったので……。


 公演時もでしたが、彼らのカバーが原曲じゃなくてオーケストラバージョンをわざわざ採用していたというの、先輩方に詳しくないオタクは後で知ってびっくりしました。歌声に合わせて採用されたんだろうか、たしかにオーケストラのほうがしっくりきて、説得力があって歌詞が入ってきやすいのが驚きだった。
 原曲を拝聴するとグループの色に合うR&Bで、失恋をふと想起する雰囲気にとても合っているなあと思いました。自分用のメモですが、AINE ISRAELの「Unperfect love」に似てたのでまたゆっくりそれぞれ聴きたい。

 私は嘉将さんの歌声の好きなところに、音が奥のほうからグッと出てくる感じ(多分「ヒーカップ唱法」)とか、前の音と次の音の依存関係が綺麗な感じ(多分「ポルタメント」)とかがあって、これがオーケストラver.の荘厳でゆったりとした雰囲気にすごく合うんですよね。今回は曲調が原曲より緩やかになっているので、そのぶんひとつずつを聴かせていただける。
 持ち味の歌声が純粋に好きなんですが、やりたい歌いかたたくさん詰め込んでいる豊かさがこのテイストに本当に合ってると個人的にじっくり聴くことができました。

 かなり安易な物言いをしてしまうと、今回の嘉将さんのカバーは「ひとりオーケストラ」状態なんですけど、技術屋さんの嘉将さんにとってそれが全然遜色なく・曲の大袈裟さに負けることなく聴き込めて、さすがの手数の多さよ……と感嘆しっぱなしです。5分間の深い恋の歌に、5分間ぶん殴られ続けてた。
 そして、個性的な低音域の持ち主なので、高いストリングスと低い歌声が調和しててほんとにびっくりする。足りているはずなのに、足りなかった音が嘉将さんの歌声でハマるまである。ライブに行くたび声量や歌いかたに圧倒されるんですが、ご自身全部を使って音を表現している人なんだなとこのカバーで改めて実感しました。オタク仕草になってしまいますが、歌手になってくれて本当にありがとう。

 オリジナルの歌声は当然上手くて(冷静に「当然上手い」って言える歌唱なのすごいな)、曲の良い意味での「さらっと」感に合わせてそこまでゴリゴリと歌に癖をつけていることなく、たとえばBGMとして聴くにも良し、たとえば想いながら聴くも良し、のバランスの良さがあるなあと聞き馴染んでいました。私が知見がなく悔やまれるのが、これが先輩方のオーケストラver.だったらまた違った聴かせかたがあったんだろうなと。
 そんな私とは違って、嘉将さんの記憶には先輩への憧憬があって自分なりに落とし込んでこのオーケストラでのカバーを生み出したんだと思うと、諸先輩方のパワーや事務所の歴史の重要さを知るわけです。安易に「継承」と真似してしまいますが、けっこう重い。
 これもまた、嘉将さんの歌声と曲の持つ情景と、選んだアレンジと作られた動画と全部が今この状態だからできることなのかもしれない。

 私は年長組のオタクなので、自分にとっての「運命のヒト」はどうしても竜太さん・嘉将さんのアカペラが思い出になっちゃって、今もまた聴きたいなあとすがりたくなることも正直にあります。
 でも、ボーカル4人でのカバーやおひとりでのカバーといったように、「運命のヒト」ひとつの曲に対してBALLISTIK BOYZのなかだけでもたくさんの<意識>がはたらいていて、その意識それぞれによって物語が編纂されることが知られる。先輩に尊敬の念がある人が集まったからこそ、オーディションの文脈があるからこそ、それを一人で解釈するからこそ、本当にいろんな価値の提案ができる。
 カバーってただ自分様に歌うのではなくて、意義や味があるんだと教わったような、そんな一曲になりました。新しい価値観を教えてくれる、バリっていいな。
 また大事に再生させていただきつつ、少しでも多くの人に、このカバーが届くことを願っています。

(あとめっちゃわがまま言うならガチオーケストラとこの歌声をいつか聴きたいです。いつか叶いませんかね。)


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