
CHIA Plot Setting (その3)
(この記事は 2021年6月 くらいの情報です)
いいかげん最終回。
Plotting を続けていくうえで、現実的にどうしていくのがいいかを考えていこうと思います。
前の2回はこちら。
考えるべきこと
余りパーツを利用してとりあえずの環境を組むのであればともかく、ある程度まじめにやるつもりなのであれば、最初に考えなきゃいけないのは
・HDD を使うのか
・SATA-SSD を使うのか
・M.2-SSD を使うのか
っていうことでしょうか。
とは、専用機なのか兼用機なのか。
デスクトップなのかノートなのか、など。
ストレージはそれぞれメリットデメリットがあるので、再確認します
HDD で Plotting するメリット・デメリット
SSD ではなく敢えて HDD で Plotting するメリットとデメリットをまとめると次のような感じになるかと思います。
■ メリット
・安い
NVMe が 2TB とかで購入して 2.5-3.5万円くらいするのに対して、HDD 2TB なら中古で 2500円くらいからあります
しかも、どうせ並列 1 Plot しか作らないので 500GB とかでも十分で、 1000円とかでも入手できます(速度がどうかという問題はあるが)
中古を探す手間はかかりますが、5並列分でも 1/4 以下で揃うでしょう
・長寿命
SSD は TBW による寿命がありますが、HDD は相当長持ちです
これはメンテナンス要否だけでなく、長期運用するのであればコスト的にも優位です
・柔軟性が高い
1台 = 1Plotting 単位で増設/撤去が行えるのもメリットかもしれません
■ デメリット
・場所をとる
HDD はかなりの場所を食います
特に外付け HDD の場合は顕著です
さらに電源(AC アダプタとかトリガーケーブルとか)と配線の山…
・熱い
SSD は熱いですが、HDD も意外と熱いです。台数が増えると結構馬鹿になりません
てゆーか WD Red Plus 熱いのなんとかしてください
・うるさい
人によっては気にならないかもですが、たまにカリカリゴリゴリ結構うるさいやつがいます。最近のは割と静かなのですが、ちょっと前のはうるさいです
また、発熱の多い HDD の場合ファンを付ける必要があり、その音も気になるかもしれません
他にも、USB3.0 の 2.4GHz ジャミング問題とか、Windows で遅いストレージにアクセスした際にプチフリする問題とか、細かく色々あるので、普段使いしている PC での多並列 HDD Plotting はお勧めできないかもしれないです。
Plotting 専用機で放置運用するのであれば、数が増えれば増えるほど HDD のメリットが出てくると思います
SATA(2.5")-SSD で Plotting するメリット・デメリット
SATA(2.5")-SSD を使う場合のメリットとデメリットは HDD と M.2 の中間ですね。
■ メリット
・(HDD よりは)速い
SSD のメリットはランダムアクセスが速いことで、HDD よりは圧倒的に Plotting の 1st Cache に向いています
個体としても、インターフェースとしても、NVMe の SSD よりは相当遅いですが、実経験としては SATA-SSD がほぼほぼ 100% で使われるのに対して NVMe は(速すぎて)遊んでいる時間が多く、スペックほどの差はでないように感じます。NVMe の半分くらいの速度という感じです
・追加電源がいらない
USB で繋ぐときに USB からの給電で動くというのも大きなメリットだと思います
ただし、前に書いたようにケーブルの質などには注意です
セルフパワーの Hub に接続するのを推奨
■ デメリット
・(速度に比して)高い
NVMe 程じゃないですが、高いです
そして、NVMe 程速くはないです
コストパフォーマンスとしてはあまりおいしくないと考えられます
・寿命が短い(TBW が低い)
どの製品も、NVMe の SSD よりも同容量でも TBW が低い気がします
ざっと見ている印象なので「気がします」ですが
M.2(NVMe)-SSD で Plotting するメリット・デメリット
M.2 はメリットとデメリットが明確です。
■ メリット
・小さい
M/B 上に載ってしまうサイズなので実質的に場所をとらないも同然です
また、配線不要なのも大きなメリットです
・速い
NVMe なら 3GB/s~5GBs とかのスケールです
10GbE や USB3.1 Gen2 で RAID 駆使しても上限 10Gbps = 1GB/s とかなので、いかに速いかって話です
ただし、SSD のところで書いたように、処理の関係で実際には並列で 700MB/s くらいしか出てない気がします(環境による)
■ デメリット
・高い
1TB だと2並列しかできない(3並列いけるって話なんだけど、実際に溢れて止まったことがある)ので候補は 2TB で 5並列になると思いますが、そうすると1枚2.5~4万くらいします
・挿せる数に上限がある
USB で繋いではもったいないので M/B 上か PCIe ボード上に挿すことになります。ので USB のように気軽に増やすというわけにはいきません
・TBW による寿命
総書込量による寿命があります。がんがん減っていきます
現実的には気にしないでもいいです(後述)が、気になりますよね
2nd Cache はどうする?
2nd Cache はランダム性能をあまり求められないので、HDD で十分だと思います。
もちろん SSD を使えるなら SSD の方が速いですが。
最終出力先との関係で、少し容量のある HDD を使うのが安心だと思います。
あとは、特に 1st Cache が HDD の場合は 1st Cache とは別の場所に置いた方が効率は上がります。
最終出力先は?
最終出力先をそのまま Farm に使うのでない場合(最終出力後、Farm にコピーする場合)は、2nd Cache と最終出力先を同じ場所にしてコピー時間の短縮を図るのが良いでしょう。
注意すべきは、完成した Plot の Farm へのコピー時の負荷が 2nd Cache としてりようしている部分の Plotting に影響する点です。
HDD を使う場合には RAID0 にするなど、シーケンシャルアクセスの速度を稼ぐと良いかと思います。
理想的には、Farm を大容量 RAID を組んだ NAS にして直接そこに出力でしょうか。
単体の HDD でこれをやるとすぐ溢れます。そして出力先の変更には Plotting の中断が必要になることがあります。
Farm はどこに作る?
作った Plot をどこに保管するか(どこで Farming するか)も重要なポイントです。
まぁ、物理的なメディアとしては HDD 一択です。
上書きするわけではないので SMR でも OK です。
読み込み速度もそれほどなくても大丈夫。
安定して繋がっていて Scan の 5秒制限にひっかからなければ、USB3.0 に何台も繋いでも大丈夫です。
で、普通の人は素直に HDD をそのまま使うと思います。
そして、PCケース内が溢れて USB-HDD に入れるようになります。
あとは場所確保との競争です。
NAS を使うという手もあります。
大容量を一括管理できるとか、PC と独立して運用できるとか、簡単に RAID 運用できるとか、使い始めてみると意外と便利で助かります。
複数の Plotter を持っている人は特に重宝するのではないでしょうか。
この場合も、HDD 個別で使うか、RAID を作るかという二択に頭を悩ませることになります。
さらに RAID の場合 RAID5 なのか 6 なのか…(速度は求められないので 50 や 60 である必要はないでしょう)
RAID によって HDD 故障時にも Plot を失わないで済む一方、RAID 崩壊という悪夢や容量の低下などのデメリットもあるので、一概に何がいいとは言えないです。
NAS を使うと大容量の HDD が複数欲しくなるのが弊害でしょうかw
そういや、最近の HDD の品薄は Farm 用の直接の影響だけでなく、その需要を見込んだ転売屋による買い占めの影響も大きい感じですね。
オークションで店頭価格より微妙に安く出品して、高く取引されているのをよく見るようになりました。
BarraCuda とかだと、同じ中身の新品外付け HDD がオークションどころかバルクの通常価格よりも安く売ってたりするんだけどね。
HDD 本体だけじゃなくて、ケースとかケーブルとかもめっちゃ転売されてますね…春先には普通に買えたものが、ここ2か月くらいで小売り側の価格が高騰してたり品切れになったりしててツライ。
結局 Plotting 環境のおすすめは?
イチから環境を組むのであれば、おすすめは断然 M.2(NVMe)-SSD です。
M.2 を2本持つ mixroATX か mini-ITX の M/B を使い、2T の NVMe を2本つけて、起動用の SSD or HDD を1つ、2nd Cache と最終出力先の HDD (または NAS)を1つ(起動用と共用でも)という構成で 1-2時間/Plot 程度の Plotting マシンを非常にコンパクトに作ることができます。
ケース内ですべて完結するので、リモート管理するのであれば電源と LAN ケーブルくらいしかケースから生えてこないのも Good です(WiFi 使えば電源だけ!)
また、たとえば使ってないノートPCとかがあるのであれば、USB-HDD を使っての 2-4 並列くらいの環境というのがいいかもしれません。
それでも 4時間/Plot を切るくらいの速度は出せます。
あまり1台の同時数を増やすと止めて環境作り直すときにロスが大きすぎるし、ノート PC は CPU がそれほど強くないのでこのくらいのバランスがちょうど良いでしょう。
普段使いしている PC を Plotting に流用する場合はどうでしょう。
基本的には空いている 3.5"/2.5" ベイと容量との相談になるかと思います。
2.5" ベイが開いているのであれば SATA-SSD を使えば1台で 3並列くらいはできます。
むしろこの場合は利用する PC にどの程度の余裕を残すかの相談になるかもしれない。
i7-11700K で、2.5" SSD × 2台 × 各2並列の4並列を 8スレッドで動かしてました(2nd Cache は HDD)が、2時間/Plot くらいで作れるうえに、仕事を含めて他の作業に全く支障ありませんでした。
そんなことよりも…
色々検証してきたけど、正直なところ効率の追求というよりは好奇心の充足って意味合いが強いのは否定できません。
たとえばうちでは Plotting 専用機(NVMe 2T×2)で一日 20~25 Plot くらい作ってますが、これってつまりストレージが 2TB/日 埋まっていくってことなんです。
8T の HDD が 3日くらいで埋まります。
正直、これ以上早くしても仕方ないよね…
ちょうど修理に出してた M/B が戻ってきたのでもう1台 Plotting 専用機作るかな、と思ってたんだけど、さすがにやめましたw
もちろん、できるだけ早く Plot を作った方が報酬的には有利なんだけど、試行錯誤して自分の環境に最適な設定を見つける前に手持ちの空き HDD は埋まると思います。
その先は作付面積の拡張と作付速度の追いかけっこです。
うちにはまだ 60TB くらい空き HDD があるけど、今のままでも 1か月たたずに埋まる計算です…
そしてもう購入コスト以前に物理的に限界ですw
(もちろん、居住スペースに侵食していけば増やせますが、人としてどうなんだ)
Define 6 (白) とか欲しいな…
SSD の TBW の考慮も同様のことが言えます。
みんな TBW がーとか言うし、Sabrent が 54,000TBW とかいうアホみたいな SSD 作り出したりしてるけど、ちょっと考えてみましょう。
例えば 1,200TBW の SSD があったとして、1 Plot あたり 2TB くらいの書き込みがあると考えると(1st-Cache だけだと実測で 1.7TB 程度でした) 600 Plots 作れるわけです。使いつぶすまでに 60TB 分作られます。
これを気にするかどうかは 60TB 以上のスペースを用意できるかどうか、って話を先に考えるべきだと思います。
普通の人は気にする必要のない話なのでは?と思います。
カタログスペックを追いかけても、トータルバランスが整ってないと意味が無いということですね。
結論
Chia Farming なんて金かけてやるもんじゃない(笑)
公式が一番最初に言っていた通りのことですね。
しかも今だいぶ安くなってて、値が戻る要素ないですしね。
上場前の予想の $20/XCH よりはマシですが。
空いているリソースがあるならコーヒー代稼ぎくらいのつもりでやってもいいかもしれません。
それ以上に入れこむのはおすすめしません。
ただ、真面目に始めてみると、
・日々 Plot が増えていく達成感
・HDD を追加で買うという「買い物癖」を満たす満足感
・配線や設置などを工夫する楽しさ(ぶっちゃけ HDD より金かかるが)
等々、めっちゃ楽しくなってくるんですよ。
沼ですね。ヤバい薬感あります。
自制できる人以外は手を出してはいけないかもしれません。
自制できない人の末路!
書き始めてから日がたったのでスクショとり直したら、3日で 9TB 増えてたわ!
はやく公式の Pool 始まらないかなぁ…
それでは皆様、各自無理のない範囲で良い農場経営を!