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【ネタバレ注意】『サイバーパンク エッジランナーズ』

間違えて開いた人のため、本題に入る前に気持ち改行スペースを置いておく。
最終回までを見た感想というか、は〜んって思ったところを書くだけ。
時間も遅いから寝たいけど、寝たら感じたことが薄くなってもったいないかな、と思い立って取り急ぎ並べただけなので推敲とかはあまりしていない。
なので次の日の自分が読んだら「こういうことを言いたかったんじゃないな〜」と思う箇所もありそう。




このアニメは良かった。
平凡に生きてきた主人公がディストピア世界の闇に触れアウトローに生きることになる、って点でブラックラグーンみたいな話を想像して観てたら結構違った。結果的には結構似通った部分もあるなと感じたが

ざっくり感じたことの大枠・大ジャンルとしては

人生ってそんな大したことはない。
人間は何者にもなれないし、夢なんて叶わないし、ましてや世界なんて変わらない。
人間は最期にはあっけなく死ぬ。

書くとチープなのだが、この作品はこれに加えてもうすこし先に人差し指を伸ばしてきたような感触を得た。

作中で語られる「どう生きるよりどう死ぬか」という綺麗な言葉に惑わされがちだが、主人公には結局「彼自身のための」目的が最後までなかった。ここが本作品で最高なところだ。


普通、主人公や語り部には目的や意志がある。例えば竈門炭治郎。彼は鬼に家族を殺され復讐を決意する。そのため鬼の情報を集めるべく鬼狩りを請け負う部隊に所属し邁進する…
めちゃくちゃわかりやすい。主人公に確固たる目的や意志があることで物語というのは進展する。しかしデイビッドにはそれが全くない。彼が彼自身のために成したいことはなにもない。遺言でも開き直っていた。


母のために学校に入り、メインのために仕事をし、最後はルーシーのために自分を犠牲にする。全てを他人に押し付けていた。

ラストシーンでルーシーは月に行ってデイビッドとの思い出を想起し軽く笑みを浮かべる。ここは完全に解釈だが、僕は彼女が納得し悲しみを乗り越えたとは到底思えなかった。デイビッドの存在は心に色濃く影を落とし続け、真に乗り越える日はおそらく一生こないのだろうと。彼がやったことは「なにかを成した自分」になりたい空虚に生きる若者特有のオナニーそのものだ。あのとき彼にそれしか選択肢がなかったとしても、彼が生前唯一「愛」という目的や意志を持って触れ合えた存在に最大の呪いをもたらし続けることとなった。

最低だ。そして最高なのだ。人間というのはこういうもんなのである。

そんな、他人の夢を叶える自分という悦に浸っていた彼がどう死んだのかというと、噂で語られていた程度の存在「アダム・スマッシャー」とかいうぽっと出にボコボコにされるのだ。前々から名前は出てたとはいえ、これは典型的な最悪のデウスエクスマキナだ。

これが本作に対する唯一の不満っちゃ不満だったが、よくよく考えればこれもまたリアルな人生だ。人生とは初見殺し・理不尽の連続だからである。どこまで行っても大海を知らぬ蛙であり、偉大な存在に押しつぶされ続けるのが人生だ。母に愛され、上司や同僚に慕われ、愛し合う恋人もできた物語の主人公が、世界に壮大な何かをもたらすでもなく、ふっと現れた思い入れもないやつによって数少ない仲間と一緒に殺されるのだ。

真のリアルな人間譚としてこう思うところまで完全に計算して脚本したのなら、本当に一本取られた。

負けたけど、代わりに彼女とファルコを逃してあげられた。何者でもなかった自分を使って彼女の夢を手伝えて大満足。俺はな〜んも負けてない。なあお前、俺はもうやること終わったから。ははは。

このアニメは良かった。

2022/10/04 17:00追記
そもそもデイビッドは
「人生とは何を成すべきなのか、何が正しいのか、自分は何をしたいのか」
を贅沢に考えることすらままならない、リスクを背負って自身を改造するほか道はないこのディストピアにおける若者の象徴だった、みたいなことを考えている。


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