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とにかくサツガイ=サンを読む会(2)
はじめに
! 注意 !
既読前提重点
趣旨については上記リンクをご覧ください。今回は4部シーズン1後半のサツガイ=サンをとにかく眺めていきます。前回記事では『ヨグヤカルタ・ナイトレイド』まで読んだのでサツガイ=サンさえいれば『アセイルド・ドージョー』から入るところですが、『アセイルド・ドージョー』のサツガイ=サン含有率はほぼ皆無(強いて言うなら神器と父祖くらい)だったため引用できる所がありませんでした。奥ゆかしいドージョーの風景やリアルニンジャの神話的バトル、アモクウェイブ=サンの顔出しなどを話題にできないのは残念ですが、あくまでこの記事の目的はニンジャプレゼンではなくサツガイ=サン観察行為です。ご了承ください。なお、今後のノーサツガイ=サン回は特に注釈なくスキップしていきます。ご了承ください。
というわけで今回は『ストーム・イナ・ユノミ』から行きます。
『ストーム・イナ・ユノミ』より
「サンズ・オブ・ケオスは……なんていうか……」アモクウェイブは遠い目をした。「共有……かな……体験のね……。サツガイね。そう。情報を交換したり、連絡を取り合って、一緒に旅行をしたり……バーベキューをしたり。いいだろ」「いいです」「気楽な関係で、お互いに支配も被支配も無くてさ」17
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) December 28, 2016
◆アモクウェイブ=サンは喋りがふわふわで雑な所、趣味の邪悪活動に余念がない所、ジツ2つのシナジーが厄介な所など「SoCらしさ」がコテコテに固まった造形で良いです。あとこの言い草を見るに多分アモクウェイブ=サンはSoCを飲みサーだと思っている。サツガイ=サン情報交換がメイン活動なのに部室には全然寄り付かず合宿とコンパにばかり欠かさず来る虚無ウェイ一留二回生めいたアトモスフィアが……(個人の感想です)
トラップマスター。大仰な仕掛けを用いたニンジャだったが、肝心のサンズ・オブ・ケオスとサツガイに関する真新しい情報は無かった。ニンジャスレイヤーに勝利の高揚は乏しい。なかでも今回のイクサの徒労感は大きかった。 1
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) December 31, 2016
◆シュギ・ジキのためのギミックめいて素早く退場したトラップマスター=サンですが、新情報を漏らさなかった所は高く評価したい。
サツガイという謎めいた存在は独自の価値観のもとでニンジャを選別し、目の前に現れ、ニンジャソウルに由来しない力を授ける。判明しているのはそれだけだ。サツガイ接触者達にも、サツガイの正体やその意図を知る者は今のところ見当たらず、与えられた使命や預言も無い……。 3
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) December 31, 2016
◆思考や判断が介在する行為ではなくただ賽を投げるような現象としての選別、遥かに良いです。
サツガイは与える者なのか。ではなぜアユミの命を奪った。そしてマスラダを。マスラダはアユミを守れず、なおかつ、死を免れた。その瞬間の記憶は砕けている。八つの乱れ刃のスリケン。「ううう」ニンジャスレイヤーの足取りが緩まり、立ち尽くし、俯くと、地面がぐらぐらと揺れているように思えた。4
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) December 31, 2016
「貴様を殺す」ニンジャスレイヤーは言った。「死に際に、貴様の知っている事は喋らせる」「サツガイになんて、会えるものか」アモクウェイブが言った。「あいつは……そうだなあ……寒いなあ……寒いよ、今でも背筋が凍る」コトブキがカウンターに向かってゆく。「強烈な体験だったよ。マジで」 10
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) January 9, 2017
◆「美」、「冷たく苦しい」ときて「寒い」との証言が登場したことにより、ちょっとずつ浮いた存在感が出はじめてしまう故メイレイン=サン。多数決ならこのあたりから負け始める。
ジツを注ぐほどに、この店に残されたニンジャスレイヤーの「存在」の再現度は強まってゆく。それとともにカラテはアモクウェイブのものから「存在」の情報により近づいてゆく。(アモクウェイブ=サン……)サツガイの音声記憶がトランス状態のアモクウェイブのニューロンに木霊する。 3
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) January 12, 2017
(遠慮する事は無い!躊躇うのか?)サツガイはからかうように問う。アモクウェイブは後ずさる。(その、本当にやらないといけないですかね?)(何故。お前が望んだのだろうに)(いや、やはり、ちと……)(MWAHAHA!BWAHAHA!)腕が伸び、アモクウェイブの手首を掴み、引き寄せる。4
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) January 12, 2017
◆サツガイ=サンは遠慮されたら余計からかい交じりにグイグイ来るということがこのツイートから判明するので、つまり我々がサツガイ=サンに遭遇した時の行動は申し訳程度の初手遠慮が最も効果的。ていうかからかうように問うサツガイ=サンがぐいぐい来る……!?なんと……
指先がサツガイの開かれた衣の中の虚無に触れた。アモクウェイブは究極の孤独の前触れとでもいうべき怖気を感じた。それは冷たかった……冷たかった。(やめろ!やめてくれ!)(MWAHAHAHAHA!見届けるがいい!)(AAAARGH!)腕の付け根まで引きずり込まれる。濁った白目を剥く。5
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) January 12, 2017
◆アモクウェイブ=サンは他人を大事にしない割に孤独嫌いなところが端々から見受けられ、妙にリアルなSNS好きの造形をしている。
(呪われしアカシ・ニンジャ・クランの者よ!嗚呼、何を得たのだ!?)(AAARGH!)薄汚れた路地裏、アモクウェイブは孤独の痛みに吠えていた。やがて彼は孤独と孤独の奥底で、ひとつの力に触れた。手繰り寄せ、引きずり出したそれはジョルリ・ジツだった。彼はもう独りではなかったのだ。 6
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) January 12, 2017
◆なぜか『ストーム……』のときだけ悪役高笑いができそうな口調のサツガイ=サン。路地裏でジツを引く描写があるのが実際良いです。何気ないごみごみした風景に怪異を置くと画面が異様に映えてたまらない。
「話せ……!」「アバーッ!奴の、奴の名は……!」アモクウェイブは内側から燃え始めた。その身体が微かに震え、声が染み出した。「奴の、名は……ブラスハート……」「ブラスハート。覚えたぞ」ニンジャスレイヤーが呟いた。「何処だ」「知らない……奴は用心深く……」身体が砕け、火を噴いた。27
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) January 12, 2017
◆アモクウェイブ=サンがかなりの難敵だったのは事実ながら、単騎突入からの創始者暴露爆発四散はSoCにとって相当痛手だった感。
『ザイバツ・シャドーギルド』より
アトモスフィアの理由をエゾテリスムらは既に知っている。サツガイに二度接触し、二度にわたり力を得たのだ。ブラスハートが虚言で飾るニンジャでない事はもともと明らかだが、実際目にする事で、あらためて事実が裏付けられた。「ようこそ遠路はるばると。美しい都でしょう」「微睡んでいるな」 2
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) March 12, 2017
◆エゾテリスム=サンとデシケイター=サンが密談していたらブラスハート=サンが首を突っ込みに来たシーン。この3忍は会話の質感からして明らかにこれまでのSoC会員とは格が違っており、少なくともバーベキュー会にはあんまり来ないだろうという根拠のない確信があります。
ブラスハートの目はどこを見ているかもわからぬ。デシケイターは咳払いした。「実在していたとは、というところですな!あの用心深いブラスハート=サンがこうして直接においでになるとは。我々としてもサツガイの情報については是非得たいところ……」「あれは啓示だ。探すなどと、おこがましい」3
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) March 12, 2017
◆サツガイ=サン出現座標をアダナス社の解析にかけまくっているにも拘わらずこういう変な部分で崇めるような表現を使ってくるブラスハート=サンは、ティピカル狂信勢より分かりにくいだけで大概こじれた人のような気がしてならない。
「私には一度の接触で十分です。我がジツ、サツガイの力、そしてこのデジ・プラーグという都。それが無限に力を引き出す。無尽蔵の力が私に集まる。貴方以上の力が」「見解の相違だな。お前は畢竟、ニンジャに過ぎない」ブラスハートは言った。「ヌンジャに至る道はひとつだ」 9
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) March 12, 2017
◆「ヌンジャに至る」という発言により急にサツガイ=サンの正体が定まってくる重要な箇所。
オヒガンと卑近世界を重ね、破損させて、命を収奪し、エメツ資源を生み出す。命は力になり、資源はカネになる。全てがエゾテリスムのもとに集まる。サツガイとの接触がそれを可能にした。彼にとって、サツガイとの接触は、眩しい「全知」の瞬間だった。一瞬の全知が、哀しみを残し、去った。 6
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) March 22, 2017
◆ここのところ2人連続で「寒い」系の証言を残していた中、エゾテリスム=サンの感想は「全知」。
『カロウシ・ノー・リモース』より
『やけに帰りが遅いが、まさか、おっぱじめてねえだろうな』「悪いがその通りだ」『ブッダファック!』エッジウォーカーとの邂逅はお膳立てされたものではない。全くの偶然に、サツガイの残り香を持つニンジャとすれ違ったのだ。千載一遇の機会。逃すわけにはいかなかった。『バカ野郎!』 23
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) April 5, 2017
◆殺忍テレフォンショッキングの流れではなく、完全なる偶然でマスラダに見つかってしまう運の悪いエッジウォーカー=サン。
サツガイにフドウテンセイを与えられて依頼、ケチなヤクザ・ヒットマンだったエッジウォーカーの仕事ぶりはがらりと変わった。暗殺の下調べ、位置取り、懐柔……そんなものは何も要らなくなった。スタイルが変化し、過去の自分は遺棄された。ただこのジツがあれば不意を突き、殺せた。無敵だった。22
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) April 9, 2017
◆エッジウォーカー=サンからはサツガイ=サン体験の感想は特に伺えません。下手に考えすぎずジツが増えたことだけ喜んでいれば、体験自体の異質さに囚われずに済むのかもしれない。いやでも今なんか楽しげな怪異がお召し物のお胸をはだけさせてその服の間から手を突っ込むように導いてきて……みたいな状況を深く考えないで済むことあるのか?ウーン
「奴の居場所は……知らない……」ジゴクの炎に自我を焼かれ、エッジウォーカーは朦朧と、己の知る答えを垂れ流す。「だが奴らは連絡を取り合っていた……あの三人……ブラスハート……エゾテリスム……デシケイター……特にカラテやジツに長けたあいつらは……サツガイの秘密を……きっと……」15
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) April 14, 2017
◆「完全なる偶然」からかつてなく重要な情報が大量に出てくるという運。第4部はメインストーリー関連部分にランダム、確率、理不尽、そういうものが多い。
『ソウカイ・シンジケート』より
時計塔……会合……エゾテリスム……デシケイター……ブラスハート。ブラスハートは正体の知れぬニンジャ。だが、デシケイターは違う。デシケイターは「表の顔」を有している。デシケイターを辿るのだ。そこからブラスハートを……そしてサツガイを。アユミを殺し、マスラダを生かした男を。 29
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) May 25, 2017
◆マスラダの中でのサツガイ=サンの認識が「アユミを殺した」だけではなく「自分を生かした」なのはかなりサバイバーズギルト的感情に見えるものの、そこで復讐する方にモチベーションを持っていけるのはやはり物語の主人公にされるだけあるなと思います。タフ。
『ウィア・スラッツ、チープ・プロダクツ、イン・サム・ニンジャズ・ノートブック』より
荒廃した地平には超自然の嵐が渦巻き、黒いトリイはカンファレンスルームの中央まで続いている。ビーチ。荒地。トリイ。デシケイターは苦笑した。今日はノードラッグだ。彼はトリイをくぐって進み出た者を見た。「うん?」その者の顔は黒い闇で、判然としない。一歩一歩踏みしめるような歩み。 8
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) June 1, 2017
◆しばらくぶりの貴重な本人登場シーンです。黒いトリイと荒野がこのとき初登場ですが、サツガイ=サンといえば黒トリイの図式が脳内で完成されすぎており意外な初出の遅さにビビる。
キュン。キュン。キュキュン。その者が一歩歩くたび、奇妙な澄んだ音が鳴り、会場の人間をめがけ、一枚ずつスリケンが飛んだ。「アバーッ!」「アバーッ!」「アババーッ!?」スリケンは過たずその一人一人を殺してゆく。デシケイターは何故か平静だった。彼は思った。非ニンジャだし、当然だな。10
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) June 1, 2017
◆実は効果音の「キュン」も初出。あくまでスリケンが飛ぶだけであり、スリケンを投げて飛ばすとかいう手間はできるだけ取らない所にサツガイ=サンらしさを感じる。シーズン2で顕著ですがサツガイ=サンはどうやらカラテがそこまで好きではないようで、戦闘めんどい感がこの辺りからちょっと滲み始めます。
「……」その者は立ち止まり、なにか思案した。「アイエエエ……」「ア、アイエエエ」「はははは」「アハハ……」「スゴイ、スゴーイよォ……」まだ数名の生き残りがおり、半数は発狂していた。キュキュキュン。飽きたのか、全員を殺す枚数のスリケンが一度に飛んだ。「「「「アバーッ!」」」」」11
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) June 1, 2017
◆地の文に半角カナが入るのも相当珍しいので、サツガイ=サンがどんだけ飽き飽きしていたのかが察せられる。まあ出現の度にモータルがバグるんだからバグってるモータルはもう飽き飽きでしょう。
カンファレンスルーム……荒地……?カンファレンスルーム……?……の只中に、デシケイター唯一人が生存を許され、その者と向かい合っていた。当然である。彼はニンジャで、他のクズどもは非ニンジャだ。「ド……ドーモ……デシケイター……です」「BWAHAHAHAHA!」その者は笑った。12
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) June 1, 2017
◆「その者」が"that guy"だったのでは?みたいな疑惑が拭えない。
デシケイターは自ら認める俗物であり、詩や絵画、仰々しい表現、何もかもをくだらないと考えている。投機できるか否かでしか見ていない。ゆえに彼は、荒廃した地平と連なる黒いトリイが地上の楽園と重なり合う光景、死の散乱、眼前の正体不明の存在を前に、ただ困惑し、持て余した。 13
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) June 1, 2017
◆ここの佇み方世界一きれい……というのはさておき、デシケイター=サンの乾いた感性と「デシケイターは眼前の光景を持て余した」という2情報からサツガイ=サンの神話めいた不条理さを際立たせる名文ですね。にしてもここのサツガイ=サン佇み方あまりに世界一……スッと立つ非生物的な影の周りに肉のごたごたを撒き散らした死体が夥しく転がってるところとかコントラストの良さが非常に……はい。
『オラクル・オブ・マッポーカリプス』より
「サンズ・オブ・ケオスのニンジャどもをつけ狙う存在……貴様がそうか。ニンジャスレイヤー=サン」ブラスハートは濁った目で、眼前の敵を見た。「私を嗅ぎ当てたか。そうか」「……貴様に用がある」ニンジャスレイヤーは言った。「サツガイという男を知っているな」 21
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) July 27, 2017
◆この時点でのブラスハート=サンは一人称「私」ですが、この後すぐ「俺」に切り替えるのでちょっと貴重。
「殺す」ニンジャスレイヤーは言った。「サツガイを殺す」「……殺す?」ブラスハートは不審げに目を細めた。「あれを?」「貴様が知る事を全て吐き出させる」ニンジャスレイヤーの腕先に黒い炎が走った。「エゾテリスム……デシケイター……他の連中と同様にな」 「無知とは、かくも……」24
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) July 27, 2017
◆主人公の決め台詞が「知っているか」と「だいたい分かった」だったりサツガイ=サンが口癖的に「知らない」を多用したりと、第4部では知る/知らないというのが要素として強調されがち。
「サツガイは……うむ……蒙昧な者には神の喩えでもよかろう」ブラスハートは言った。二者は睨み合い、チョップに力を注ぎ込んだ。カラテの相克によって彼らの踵は火を噴き、 足元のコンクリートに放射状状の亀裂が拡がった。「神は殺せはしない」「神?知った事か」ニンジャスレイヤーは言った。27
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) July 27, 2017
「あれは、殺すべきものではない……!」ブラスハートはニンジャスレイヤーの脇腹に拳を叩き込む!「イヤーッ!」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは構わずブラスハートの胸に拳を叩きつける!「「グワーッ!」」二者は再びタタミ三枚距離に弾き飛ばされ、着地し、再びカラテを構え直した! 29
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) July 27, 2017
◆「神」からの「あれ」呼ばわりからの「殺すべきものではない」を見る限り、サツガイ=サンを人格ならざる存在として見ているのは確実そうなブラスハート=サン。
彼はサンズ・オブ・ケオスを創設し、サツガイに遭遇するニンジャの遭遇統計を取った。サンプル数は少なくともその法則性は強く、アダナス社の演算テクノロジーが分析を助けた。既に彼はサツガイに二度目の接触を果たしている。本来祝福を受けるべきニンジャのもとへ参上し、祝福を奪ったのだ。 32
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
◆サツガイ=サンが確率統計である程度計れてしまう存在なの、極めて不遜なワクワクがあります。サツガイ=サン解析業者がニンジャ世界のどこかにいるという恐るべき事実。サツガイ=サン解析業で生計を立てたい。
サツガイは存在格が不足する生命体を排除したのち、目的のニンジャに祝福を与える。だが、サツガイ出現の直後に目的のニンジャが爆発四散していれば?……ブラスハートは手練れのニンジャであり、それを試すのは、彼にとってさほど困難ではなかった。 33
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
◆裏技みたいなことをやるブラスハート=サン。
一度目の接触で、彼はドラゴン・ニンジャの奥義を得た。二度目の接触では、いかなるニンジャソウルの力が、あるいはジツが得られるのか?否……ジツではなかった。彼は第三の目を得た。彼はオヒガンを見通し、サツガイを知り、キンカク・テンプルを知った。ゆえに、あと一度の接触で十分だった。 34
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
◆ブラスハート=サンはどういう訳かジツではないものばかり引いています。しかもたった2連で最終目標が視野に入ってしまった。相当な豪運なのか、引く能力が本人の願望を反映しているのか、なんにせよかなり得しているのは確実。
彼の懐には「髄」があった。凝縮されたエメツ結晶が。サツガイに対し、これを用いれば……だが……!「スウーッ……ハアーッ……!」ブラスハートは呼吸を深める。だがニンジャスレイヤーもその身に力を漲らせてゆく。殺す為の力を。回復を急がねばならぬ。先にこの者を排除せねばならぬ! 35
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
◆初読時この頃のサツガイ=サンはイメージカラーがほとんど黒でした。砂色の上衣はシーズン2もよっぽど終盤になってからしか出てこないので、それまではエメツとか影とかの色に引きずられました。ところでエメツって漢字表記すると「壊滅」になるんだろうか。
その濁った眼が向いた先には、致命傷を受けながら、カイシャクされず、今まで敢えて生かされていたケツァルカトルの姿があった。そしてその背後には、連なる黒いトリイと荒野が拡がっていた。ブラスハートは絶望的に笑った。彼はほとんど祈るように、スリケンを投擲した。「……イヤーッ……!」46
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
スリケンは旋回し、ケツァルカトルのこめかみを貫いた。ブラスハートは崩れるように倒れた。「ハ……ハハハ……コッ、コッ」彼の力ない笑いは、笛めいて呼吸器から漏れ出る息の音にかき消された。「サヨナラ!」ケツァルカトルが爆発四散した。荒野の黒いトリイをくぐって、影が、進み出た。47
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
◆ブラスハート=サン自身は「啓示がくだる地がわかる」と述べていましたが、読む限りでは「祝福対象ニンジャが誰なのかわかる」の方が正しそうです。座標が合うだけで遭遇可能ならケツァルカトル=サンをあえて生かす意味はないはず。ところで呼吸器に重大な外傷があって息が本来通るはずのない隙間からひゅうひゅう漏れてる現象はとても良い。
「嗚呼」ブラスハートの震える手は、なにか黒い塊を掴んでいる。「サ……ツ……ガイ」黒いトリイを進み出る影を見る。黒い塊を、そちらへ向ける。呼吸が止まり、びくりと震えたのち、血飛沫を撒き散らしながら、彼は爆発四散した。最期の瞬間まで彼は笑っていた。それは達成の笑みである。 48
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 21, 2017
◆致命傷を負ったら即座に爆発四散するニンジャが多い中、致命傷により呼吸器がおかしくなって息が止まったあとようやく爆発四散するブラスハート=サン。最期の笑いも含め、場面に合わせたスローで重い描写が不気味で非常にセクシーです。
その者は襤褸切れめいたフードを被っていた。色も、素材も、判然としない。目深に被ったフードの中は闇だった。エメツのように。ブラスハートが死に際に掲げた正体不明の石のように。ブラスハートは爆発四散したが、その石は宙に留まっている。だがそれは至極自然の現象のように思えた。 1
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆サツガイ=サンのイメージカラーがますます黒に偏る。姿は視認できるにも拘らず色が分からないフードの非現実世界感がすごい。
「……サ ツ ガ イ」ニンジャスレイヤーは呟いた。その名は大空洞で戦闘する全ての者のニューロンに刻まれた。BRATATA……TATA……TA……銃声が止み、誰もがそちらを向いた。モーターカタナ、モーターガシラは何らかのEMP障害を受けて動作を停止した。 2
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆EMP、つまり電磁パルスはパルス状(いきなりピークに達して瞬時に減衰する)の強い電流を指すそうで、電気を流したときとか放射線が大気を通過するときとかに出るようです。個人的にここのサツガイ=サンは、元の存在格に保持されているエネルギー量が多過ぎて出現時に恒星風めいたエネルギー放出を起こしてしまったものとして読みました。サツガイ=サンに長時間曝露するとニンジャでも健康被害が出そう。サツガイ=サンに長時間被曝して健康被害が出たい。(個人の感想です)
キュン。サツガイが彼を認識したその瞬間、ニンジャスレイヤーの眉間をめがけスリケンが飛翔し、貫き、爆発四散せしめた……否。そうなる1秒前、ソーマト・リコールめいて鈍化した時間の中で、ニンジャスレイヤーのニンジャ反射神経は飛来するスリケンを捉えていた。彼はスゴイタカイビルに居た。 6
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆サツガイ=サンの選別ってもしかすると「モータルにだけスリケンが飛ぶ」ではなく「モータルにもニンジャにもスリケンが飛ぶがニンジャなら確実に対応できる速度だからOK」なのかもしれない。
スゴイタカイビルの記憶断片は吹き飛んだ。アユミがやったようにスリケンを弾いたニンジャスレイヤーは、サツガイをめがけ、荒野の中を走り込んだ。「……」サツガイは首を傾げた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは跳び蹴りを繰り出した! 8
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆首を傾げるサツガイ=サンは実際よく見られるので、多分そういう癖があるものと思われます。
「……」サツガイは手を動かし、ニンジャスレイヤーの飛び蹴りを防いだ。衝撃を受け、正体不明のニンジャはよろめき、仰け反った。ニンジャスレイヤーは着地と同時に地を蹴り、心臓を貫きにいく。「イヤーッ!」 9
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆ここの地の文では一応「ニンジャ」と書かれている。
サツガイは肩をすくめた。「俺を……殺す……ウフッ……BWAHAHAHAHAHA!」「貴様を……」「オカシイ!オモシロイ!タノシイ!」サツガイは手を叩いた。「貴様を……!」ニンジャスレイヤーは手で身体を支え、なお起き上がろうと力を込める。サツガイは宙に浮かぶエメツ塊を見る。 12
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆一瞬「ウフッ……」とむせかける辺りが完全にツボった人のそれで非常な微笑ましさがあります。あと受肉前とはいえ一応ちゃんと手を叩いたりできる程度には人型のご様子。
「……」サツガイは静止した。そのエメツ塊を注視しているようだった。ドクン。エメツ塊が脈打った。「ンンッ……?」サツガイは訝しんだ。その身体の輪郭に0と1のノイズが走った。「ンンンン?」ドクン、ドクン。エメツ塊の周囲に、霞のように、灰めいた粒子がちらついた。「ンンンン!」 13
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
キンカク・テンプルの光の下、エメツ塊を包む霞は今やはっきりとニンジャの輪郭を作り出す。爆発四散したブラスハートの輪郭を。ブラスハートはサツガイのもとへ歩み酔った。サツガイは意表をつかれたようだった。ブラスハートはエメツと共に、黒い01の流れと溶け、サツガイに吸い込まれた。14
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆さすがに爆発四散後肉体再構成は相当な世界観揺さぶり事象では?と思いきや、実はエッジウォーカー=サンのジツが遠くないことをやっています。上層メンバーを知っている一方でその目的やら内情は知らなかったエッジウォーカー=サンは、もしかすると一方的にブラスハート=サンから解析されたりしていたかもしれない。
ドクン!ドクン!サツガイは……ドクン!大きく震えた。輪郭がささくれながら分散し、また集束した。「AARGH!?」サツガイは叫んだ。「AAAARGH!AAAAAAA……」サツガイは仰け反り、うなだれた。ニンジャスレイヤーは再び大空洞の中に、己とサツガイと無数の死体を見い出した。15
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆作中時系列で言うとサツガイ=サンの荒野はこの後しばらく(『ドラゴン・インストラクション』#4辺りまで)登場しなくなるので、そのあたりにも受肉による影響が色々あったのだろうと推測できます。
「……フー」サツガイは長い息を吐き、フードを跳ね上げた。見慣れぬ男の顔が現れた。その者はどこかしらブラスハートを思わせた。「……事は成った」サツガイは言った。「カツ・ワンソーよ。どんな気分だ?不服か?だとすれば不適切だな。喜ぶべきだ……俺が心臓を与えてやッ……た……」ドクン。16
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆一応地の文だと「サツガイは」とされているものの口調が完全にブラスハート=サンなので怖いし、初めてフードが外れた途端これなので怖いし、発言内容がちょっと執念深すぎて怖いし、名指しでカツ・ワンソー呼ばわりなので怖い。この1ツイートひたすら好きな要素の塊。
サツガイは……ブラスハートによく似たその存在は……ひとしきり笑い終えると、やや不思議そうに己の手を見つめ、握り、開いた。サツガイは呟いた。「フウーン……オモシロイ。成る程」真鍮色の目がニンジャスレイヤーに留まった。「お前、まだ居たのか。何だっけ?お前」 18
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆ここで急に口調がふわふわになったような印象のあるサツガイ=サンですが、受肉前の口調が分かるシーンはさほど多くないため、口調が変わったとまで言ってしまえるかは微妙なところ。ちなみにこの時点でブラスハート=サンの外見を乗っ取っているものの、S1時点では「よく似ている」としか描写されません。S2終盤では「ブラスハートの顔」と明言されるので、物理肉体が馴染むまでは姿かたちにも微妙な違和があったのかもしれません。
「スウー……。フウーッ……」ニンジャスレイヤーは深く吸い、吐いた。サツガイは言った。「そうだ。お前は俺を探していたようじゃないか。俺の方では正直、よく覚えていないんだが……」「スウーッ……フウーッ……」ナラク・ニンジャが彼に力を供給する。今一度挑む為の力を。19
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆何もかもに対して雑対応な所がサツガイ=サンの良い所。
サツガイ。アユミの仇。マルノウチ・スゴイタカイビル。(カイ。私を殺して)アユミはマスラダに言った。マスラダは死ななかった。胸に穿たれた穴からは血と火が溢れているが、彼は生きていた。アユミを殺す事ができる存在として。アユミはそれをわかっていた。(貴方ならできる。今すぐ殺して) 20
— NJSLYR / ニンジャスレイヤー (@NJSLYR) August 24, 2017
◆アユミ真実(パート2)でついにアユミを殺したのが誰なのか示されてしまい、サツガイ=サンがそこまで直接的な仇でもないことが少し明らかになります。ただこの復讐はマスラダがマスラダの納得のためにやっているので事実がどうとかではない。
「カラテ……HMMM」サツガイはやや腰を落とし、構え、ボキボキと指を鳴らした。「来い。ニンジャスレイヤー=サン」「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーが仕掛ける!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」サツガイは連続打撃を防いでゆく!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!HAHAHA!」22
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◆たまには運動もしようかな程度のテンションに見えるこの台詞、復讐者への態度にしては心構えが軽すぎて素晴らしいと思います。そのままのサツガイ=サンでいてほしい。でもわざわざ我々人類風情が願わなくてもサツガイ=サンはサツガイ=サンのままでいてくれるので助かる。
KRAAASH!踏み込みながらの肘打ちがニンジャスレイヤーの腹を捉えた。「グワーッ!」ニンジャスレイヤーはキリモミ回転し、空洞の壁に叩きつけられた。「イヤーッ!」サツガイは更に入念に、大の字に叩きつけられたニンジャスレイヤーめがけスリケンを投擲した。八つの刃のスリケン……! 23
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◆戦闘に対するモチベーションがそれほど高そうには見えないサツガイ=サンですが、いざイクサになってみると所作の慎重さや丁寧さを地の文に強調されがち。
サツガイはニンジャスレイヤーをカイシャクすべく、「……ンンッ」ZMZMZMZM……その身体に震えが走った。彼はよろめいた。「肉体……!面倒な事だ!」彼は不満げに呟いた。彼は頭痛を払うかのように頭を振った。ZMZMZMZM……彼は頭を押さえた。内なる炎が大空洞を照らす……。 25
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◆ここでサツガイ=サンがよろめいたのは物理肉体に負荷をかけすぎたせいか、あるいはブラスハート=サンの残渣がまだちょっかいをかけてきているのか、単にさっき爆発四散した身体がぼろぼろだったのか、判断材料が少なく悩ましい所です。少なくとも肉体を面倒に感じている辺り、これまでの実体はやはり物理肉体ではなかったのでしょう。
シーズン1後半のサツガイ=サンは以上です。シーズン2前半のサツガイ=サンについては下記の記事に続きます。