とにかくサツガイ=サンを読む会(2)
はじめに
! 注意 !
既読前提重点
趣旨については上記リンクをご覧ください。今回は4部シーズン1後半のサツガイ=サンをとにかく眺めていきます。前回記事では『ヨグヤカルタ・ナイトレイド』まで読んだのでサツガイ=サンさえいれば『アセイルド・ドージョー』から入るところですが、『アセイルド・ドージョー』のサツガイ=サン含有率はほぼ皆無(強いて言うなら神器と父祖くらい)だったため引用できる所がありませんでした。奥ゆかしいドージョーの風景やリアルニンジャの神話的バトル、アモクウェイブ=サンの顔出しなどを話題にできないのは残念ですが、あくまでこの記事の目的はニンジャプレゼンではなくサツガイ=サン観察行為です。ご了承ください。なお、今後のノーサツガイ=サン回は特に注釈なくスキップしていきます。ご了承ください。
というわけで今回は『ストーム・イナ・ユノミ』から行きます。
『ストーム・イナ・ユノミ』より
◆アモクウェイブ=サンは喋りがふわふわで雑な所、趣味の邪悪活動に余念がない所、ジツ2つのシナジーが厄介な所など「SoCらしさ」がコテコテに固まった造形で良いです。あとこの言い草を見るに多分アモクウェイブ=サンはSoCを飲みサーだと思っている。サツガイ=サン情報交換がメイン活動なのに部室には全然寄り付かず合宿とコンパにばかり欠かさず来る虚無ウェイ一留二回生めいたアトモスフィアが……(個人の感想です)
◆シュギ・ジキのためのギミックめいて素早く退場したトラップマスター=サンですが、新情報を漏らさなかった所は高く評価したい。
◆思考や判断が介在する行為ではなくただ賽を投げるような現象としての選別、遥かに良いです。
◆「美」、「冷たく苦しい」ときて「寒い」との証言が登場したことにより、ちょっとずつ浮いた存在感が出はじめてしまう故メイレイン=サン。多数決ならこのあたりから負け始める。
◆サツガイ=サンは遠慮されたら余計からかい交じりにグイグイ来るということがこのツイートから判明するので、つまり我々がサツガイ=サンに遭遇した時の行動は申し訳程度の初手遠慮が最も効果的。ていうかからかうように問うサツガイ=サンがぐいぐい来る……!?なんと……
◆アモクウェイブ=サンは他人を大事にしない割に孤独嫌いなところが端々から見受けられ、妙にリアルなSNS好きの造形をしている。
◆なぜか『ストーム……』のときだけ悪役高笑いができそうな口調のサツガイ=サン。路地裏でジツを引く描写があるのが実際良いです。何気ないごみごみした風景に怪異を置くと画面が異様に映えてたまらない。
◆アモクウェイブ=サンがかなりの難敵だったのは事実ながら、単騎突入からの創始者暴露爆発四散はSoCにとって相当痛手だった感。
『ザイバツ・シャドーギルド』より
◆エゾテリスム=サンとデシケイター=サンが密談していたらブラスハート=サンが首を突っ込みに来たシーン。この3忍は会話の質感からして明らかにこれまでのSoC会員とは格が違っており、少なくともバーベキュー会にはあんまり来ないだろうという根拠のない確信があります。
◆サツガイ=サン出現座標をアダナス社の解析にかけまくっているにも拘わらずこういう変な部分で崇めるような表現を使ってくるブラスハート=サンは、ティピカル狂信勢より分かりにくいだけで大概こじれた人のような気がしてならない。
◆「ヌンジャに至る」という発言により急にサツガイ=サンの正体が定まってくる重要な箇所。
◆ここのところ2人連続で「寒い」系の証言を残していた中、エゾテリスム=サンの感想は「全知」。
『カロウシ・ノー・リモース』より
◆殺忍テレフォンショッキングの流れではなく、完全なる偶然でマスラダに見つかってしまう運の悪いエッジウォーカー=サン。
◆エッジウォーカー=サンからはサツガイ=サン体験の感想は特に伺えません。下手に考えすぎずジツが増えたことだけ喜んでいれば、体験自体の異質さに囚われずに済むのかもしれない。いやでも今なんか楽しげな怪異がお召し物のお胸をはだけさせてその服の間から手を突っ込むように導いてきて……みたいな状況を深く考えないで済むことあるのか?ウーン
◆「完全なる偶然」からかつてなく重要な情報が大量に出てくるという運。第4部はメインストーリー関連部分にランダム、確率、理不尽、そういうものが多い。
『ソウカイ・シンジケート』より
◆マスラダの中でのサツガイ=サンの認識が「アユミを殺した」だけではなく「自分を生かした」なのはかなりサバイバーズギルト的感情に見えるものの、そこで復讐する方にモチベーションを持っていけるのはやはり物語の主人公にされるだけあるなと思います。タフ。
『ウィア・スラッツ、チープ・プロダクツ、イン・サム・ニンジャズ・ノートブック』より
◆しばらくぶりの貴重な本人登場シーンです。黒いトリイと荒野がこのとき初登場ですが、サツガイ=サンといえば黒トリイの図式が脳内で完成されすぎており意外な初出の遅さにビビる。
◆実は効果音の「キュン」も初出。あくまでスリケンが飛ぶだけであり、スリケンを投げて飛ばすとかいう手間はできるだけ取らない所にサツガイ=サンらしさを感じる。シーズン2で顕著ですがサツガイ=サンはどうやらカラテがそこまで好きではないようで、戦闘めんどい感がこの辺りからちょっと滲み始めます。
◆地の文に半角カナが入るのも相当珍しいので、サツガイ=サンがどんだけ飽き飽きしていたのかが察せられる。まあ出現の度にモータルがバグるんだからバグってるモータルはもう飽き飽きでしょう。
◆「その者」が"that guy"だったのでは?みたいな疑惑が拭えない。
◆ここの佇み方世界一きれい……というのはさておき、デシケイター=サンの乾いた感性と「デシケイターは眼前の光景を持て余した」という2情報からサツガイ=サンの神話めいた不条理さを際立たせる名文ですね。にしてもここのサツガイ=サン佇み方あまりに世界一……スッと立つ非生物的な影の周りに肉のごたごたを撒き散らした死体が夥しく転がってるところとかコントラストの良さが非常に……はい。
『オラクル・オブ・マッポーカリプス』より
◆この時点でのブラスハート=サンは一人称「私」ですが、この後すぐ「俺」に切り替えるのでちょっと貴重。
◆主人公の決め台詞が「知っているか」と「だいたい分かった」だったりサツガイ=サンが口癖的に「知らない」を多用したりと、第4部では知る/知らないというのが要素として強調されがち。
◆「神」からの「あれ」呼ばわりからの「殺すべきものではない」を見る限り、サツガイ=サンを人格ならざる存在として見ているのは確実そうなブラスハート=サン。
◆サツガイ=サンが確率統計である程度計れてしまう存在なの、極めて不遜なワクワクがあります。サツガイ=サン解析業者がニンジャ世界のどこかにいるという恐るべき事実。サツガイ=サン解析業で生計を立てたい。
◆裏技みたいなことをやるブラスハート=サン。
◆ブラスハート=サンはどういう訳かジツではないものばかり引いています。しかもたった2連で最終目標が視野に入ってしまった。相当な豪運なのか、引く能力が本人の願望を反映しているのか、なんにせよかなり得しているのは確実。
◆初読時この頃のサツガイ=サンはイメージカラーがほとんど黒でした。砂色の上衣はシーズン2もよっぽど終盤になってからしか出てこないので、それまではエメツとか影とかの色に引きずられました。ところでエメツって漢字表記すると「壊滅」になるんだろうか。
◆ブラスハート=サン自身は「啓示がくだる地がわかる」と述べていましたが、読む限りでは「祝福対象ニンジャが誰なのかわかる」の方が正しそうです。座標が合うだけで遭遇可能ならケツァルカトル=サンをあえて生かす意味はないはず。ところで呼吸器に重大な外傷があって息が本来通るはずのない隙間からひゅうひゅう漏れてる現象はとても良い。
◆致命傷を負ったら即座に爆発四散するニンジャが多い中、致命傷により呼吸器がおかしくなって息が止まったあとようやく爆発四散するブラスハート=サン。最期の笑いも含め、場面に合わせたスローで重い描写が不気味で非常にセクシーです。
◆サツガイ=サンのイメージカラーがますます黒に偏る。姿は視認できるにも拘らず色が分からないフードの非現実世界感がすごい。
◆EMP、つまり電磁パルスはパルス状(いきなりピークに達して瞬時に減衰する)の強い電流を指すそうで、電気を流したときとか放射線が大気を通過するときとかに出るようです。個人的にここのサツガイ=サンは、元の存在格に保持されているエネルギー量が多過ぎて出現時に恒星風めいたエネルギー放出を起こしてしまったものとして読みました。サツガイ=サンに長時間曝露するとニンジャでも健康被害が出そう。サツガイ=サンに長時間被曝して健康被害が出たい。(個人の感想です)
◆サツガイ=サンの選別ってもしかすると「モータルにだけスリケンが飛ぶ」ではなく「モータルにもニンジャにもスリケンが飛ぶがニンジャなら確実に対応できる速度だからOK」なのかもしれない。
◆首を傾げるサツガイ=サンは実際よく見られるので、多分そういう癖があるものと思われます。
◆ここの地の文では一応「ニンジャ」と書かれている。
◆一瞬「ウフッ……」とむせかける辺りが完全にツボった人のそれで非常な微笑ましさがあります。あと受肉前とはいえ一応ちゃんと手を叩いたりできる程度には人型のご様子。
◆さすがに爆発四散後肉体再構成は相当な世界観揺さぶり事象では?と思いきや、実はエッジウォーカー=サンのジツが遠くないことをやっています。上層メンバーを知っている一方でその目的やら内情は知らなかったエッジウォーカー=サンは、もしかすると一方的にブラスハート=サンから解析されたりしていたかもしれない。
◆作中時系列で言うとサツガイ=サンの荒野はこの後しばらく(『ドラゴン・インストラクション』#4辺りまで)登場しなくなるので、そのあたりにも受肉による影響が色々あったのだろうと推測できます。
◆一応地の文だと「サツガイは」とされているものの口調が完全にブラスハート=サンなので怖いし、初めてフードが外れた途端これなので怖いし、発言内容がちょっと執念深すぎて怖いし、名指しでカツ・ワンソー呼ばわりなので怖い。この1ツイートひたすら好きな要素の塊。
◆ここで急に口調がふわふわになったような印象のあるサツガイ=サンですが、受肉前の口調が分かるシーンはさほど多くないため、口調が変わったとまで言ってしまえるかは微妙なところ。ちなみにこの時点でブラスハート=サンの外見を乗っ取っているものの、S1時点では「よく似ている」としか描写されません。S2終盤では「ブラスハートの顔」と明言されるので、物理肉体が馴染むまでは姿かたちにも微妙な違和があったのかもしれません。
◆何もかもに対して雑対応な所がサツガイ=サンの良い所。
◆アユミ真実(パート2)でついにアユミを殺したのが誰なのか示されてしまい、サツガイ=サンがそこまで直接的な仇でもないことが少し明らかになります。ただこの復讐はマスラダがマスラダの納得のためにやっているので事実がどうとかではない。
◆たまには運動もしようかな程度のテンションに見えるこの台詞、復讐者への態度にしては心構えが軽すぎて素晴らしいと思います。そのままのサツガイ=サンでいてほしい。でもわざわざ我々人類風情が願わなくてもサツガイ=サンはサツガイ=サンのままでいてくれるので助かる。
◆戦闘に対するモチベーションがそれほど高そうには見えないサツガイ=サンですが、いざイクサになってみると所作の慎重さや丁寧さを地の文に強調されがち。
◆ここでサツガイ=サンがよろめいたのは物理肉体に負荷をかけすぎたせいか、あるいはブラスハート=サンの残渣がまだちょっかいをかけてきているのか、単にさっき爆発四散した身体がぼろぼろだったのか、判断材料が少なく悩ましい所です。少なくとも肉体を面倒に感じている辺り、これまでの実体はやはり物理肉体ではなかったのでしょう。
シーズン1後半のサツガイ=サンは以上です。シーズン2前半のサツガイ=サンについては下記の記事に続きます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?