とにかくサツガイ=サンを読む会(3)
はじめに
! 注意 !
既読前提重点
趣旨については上記リンクをご覧ください。
なお、前回分は上記リンクです。今回は4部シーズン2、『フリージング・フジサン』までのサツガイ=サンを眺めていきます。今回の前半は1話当たりのサツガイ=サン濃度がそう高くないエリアを読んでいくため、サクサク進みます。ご了承ください。
シーズン2予告編より
◆この頃のサツガイ=サンは地の文の描写からすると瞳の色が分かるほど顔がしっかり見えている上、フードすら被っているか分かりません。新鮮。
◆SNSにファンコミュ立てられたりしたあとファンコミュ管理人を乗っ取って初めてのインターネットに興じる構図、あまりにもややこしい。この携帯はブラスハート=サンのだろうか。
◆まともに取り合うと面倒だが機嫌を損ねるわけにもいかない相手を適度に取りなす能力の高いセト=サン。本忍もいっぱしの高位存在だろうにさらに上が来るとこういう疲れる役目をせざるを得なくなる様子が見て取れ、微笑ましさがあります。そしてサツガイ=サンの飲食描写はここが初(※この後も酒類とエメツ以外は口にしない)。酒とエメツの組み合わせは頻繁に嗜んでいるのでどうやらアルコール好きのもよう。
◆携帯から目も上げずにタノシイの話をしたり急に笑いだしたりする所もサツガイ=サンの良い所にカウントされる。
◆「他人の目をじっと見るのは怖い / 他人に目をじっと見られるのは怖い」という認識自体がそもそも無さそうな若干人間らしからぬ挙動、ラブリー。
『エリミネイト・アナイアレイター』より
◆この回のサツガイ=サンは回想シーンにつき、受肉前の状態を観測できます。
◆「微かだが無視できない」という表現は逆に言うと「そこまでワンソーに凄まじく近いわけではない」ということでもあります。『オラクル……』の書き方だと父祖とサツガイ=サンを完全に同一視する見方が多く出そうだし、その辺をちゃんと説明するべく書かれた一文かもしれない。
◆己の意図が通らなくても笑ってしまうサツガイ=サン。箸が転んでもおかしいお年頃だろうか。
◆サツガイ=サンの笑いは基本的に上位者目線からくる笑いのようで、サツガイ=サンが上位者で良かったと思わずにはいられない。
(追記)と思いきや「何もかもを貶め」に自己の存在まで含まれていたことにあとから気付いて、恐れおののくと同時にまた好きになってしまった。
『ライフ・アフター・デス』より
◆この後ちょいちょい口癖めいて出てくる疑問形語尾の「かね」が初登場。興味深そうに繰り返しておいて即「ま、いいか」と投げてしまうサツガイ=サンのこの無責任ふわふわ性には大変な中毒性があり危ない。
◆目利きめいたコメントからすると受肉してから酒が趣味になったのか、あるいは物理肉体の舌が肥えていて経験値を引き継いでいるのか……とまで考えたものの、正直サツガイ=サンは全然詳しくなくても適当に詳しいムーブをしそう。
◆食べ方がうるさい所、しっとり落ち着き気味なこういう会話ができるのに相変わらず笑い方が爆笑な所、何の脈絡もなく話題が飛ぶ所、気軽に一生のお願いを行使する所など、S2のサツガイ=サンの旨味を全部乗せした数え役満の如きツイート。
◆「彼は闇の中で微笑んだ。」!?微笑むとかできるんですか?いつもあんなに元気よく哄笑してるのに………………その微笑みはなんで………………えっそのはい……はい。今読み返しても毎回狐につままれたような気分になります。おそらくかなり「ギャップ萌え」という単語がさすのに近い感情になった。あとゾーイちゃんが凄まじく重要な存在であることが仄めかされており、不穏さが高まる。
◆ブランデーを啜るのが下手クソ。
『カウンシル・フジミ』より
◆ここまでゾーイちゃんと順調に心の交流を進めていただけあり、マスラダがかつてなく言いづらそうなのが印象的。
◆自分のルーツについて話そうとしたら急に仇の話をされて、親しい相手が第三者に向ける憎悪を目の前で浴びる羽目になったゾーイちゃんはかなり災難。マスラダも悪気があるわけではなく、不本意な形でただただ全員ちょっと傷ついてしまうというコミュニケートの哀しさがあります。
『ベリアル・アンダーカバー』より
◆カシマール=サンのサツガイ=サン体験は久しぶりにポジティブな感想。そしてクラン単位の接続が飛び飛びになるほどサツガイ=サン体験は強烈なものだったらしい。もしコリとかシとかの接触者がいてもこうなったんでしょうか。
◆そしてカシマール=サンが名前を挙げただけなのにも拘わらず気配を探知する超反応センス。ほぼ「噂をされてくしゃみする」とかの域のような気がする。
『ドラゴン・インストラクション』より
◆この幻視がサツガイ=サンの影響なのはほぼ確実ですが、肝心のサツガイ=サンはザルニーツァ=サンたちの前には登場しません。この部屋に出現しようとしてやっぱり止めたのか、あるいは偶然近くの廊下などを通り過ぎただけなのかは不明。
◆カシマール=サンが急に活性化して一悶着あった後のツイート。シンウインター=サンがザルニーツァ=サンに情報開示をしていないせいで行き違いが生じており、トップがワンマンだと大変。
◆カシマール=サンのサツガイ=サン体験には「暖かさ」も付随していたようで、これまでSoC内で多くみられた「寒い」という感想とは真っ向から対立します。サツガイ=サンの持つ温度は常に一定で、接触者のソウルの温度次第で相対的にどのようにでも感じ取れるということだろうか。
◆シンウインター=サンはサツガイ=サンの手を借りるつもり満々な割に「絵空事めいているので説明するのも面倒」とザルニーツァ=サンへの説明放棄を速やかに言い訳しており、そういうところが非常に良いニンジャですね。「ただとにかく強い」の一点で雑に片づけてしまえるがゆえに言い訳も含めいろいろな所が雑。特に自他の感情面の取り扱いが極めて雑。良い造形です。
◆物理肉体があるとガチャガチャも引けないということが実は初めて明示されるツイート。逆に言えば、S2のサツガイ=サンにはちゃんと物理胸元が存在する。
◆「自分の意志でサツガイ=サンとコンタクトを取る」という実は凄まじいことをやってのけているカシマール=サン。第三の目は持たないはずの彼が、ブラスハート=サンを超えるほどに探求を進めているのは実際謎多き部分です。ブラスハート=サン主導の解析ログはアダナス社が保持している筈なので、オマーク関連のビジネスに際して資料を取引している可能性は高そうです。
◆黒いトリイを一瞬目撃しただけでゾーイちゃんの行く末が真っ暗であることを見抜けるザルニーツァ=サンは賢い。
◆やはりサツガイ=サン解析に関わる電子データは過冬も所持している様子。
『フリージング・フジサン』より
◆肘を乗せられる高さに置いてあるテレビ(テレビ台込み)は一般のご家庭では大きい部類ですが、凍てつく悪のヤクザの首魁が本拠地の居室に置くサイズとしてはだいぶ控えめな印象があります。シンウインター=サンはいつも点けているテレビのスカム番組にも全然興味がないんだろうなと思い返さずにはいられない、さりげない良描写です。
◆「言わなかった?」のくだりは一見すると適当ふわふわ発言としか取れませんが、カシマール=サンが「時が満ちたり」との伝言を残していたことを考えると、もしかするとコトダマ空間内で本当に言っていた可能性がある。
◆褒めればいいという問題ではなく、微笑ましいです。
◆シンウインター=サンは神話存在と相性が非常に悪そうな一方、あまりにも畏れや信仰に疎すぎて逆にサツガイ=サンからは面白がられている節があり、塞翁が馬ってこういうときに使うことわざなんだなあと思いました。というかサツガイ=サンにも他者への好悪という概念があって選り好みしたり依怙贔屓したりしているという事実に心がいっぱい。
◆脈打つハッポースリケンは2019年12月現在この1つしか登場していません。リアルニンジャを起こして回っているはずのサツガイ=サンが、逆であるリアルニンジャの封印にこれを使っている以上、再登場の可能性も低いと思われます。貴重。
◆まさか生きているうちにサツガイ=サンの遠慮が見られるとは……
◆ややカクついた動作がどうしても浄瑠璃人形めいている気がしてならないですが、『アルター……』でも肉体に不慣れと言っていたのでそういう何かの発露かもしれません。
◆この時のサツガイ=サンは総じてウキウキしておられる。
◆まさか生きているうちにサツガイ=サンの照れ顔差分が見られるとは……
◆「洞窟の影」はプラトンのイデア論の比喩です。真にこの世にあるのはイデアであり、我々人類が知覚する事象は全てイデアを照らしたときにできる影めいたものにすぎないとの例え。にしても、いろいろ考えた挙句にその思索を「どうでもいいな」の一言で投げ捨ててしまうサツガイ=サンのらしさがラブリー。
◆ついにサツガイ=サン自身の口からヌンジャ真実の一端が語られます。影といえば3次元の実体を2次元の平面に微分したものであり、つまりサツガイ=サンたちは4次元存在であるところのワンソーを色々な方向から3次元に投影した存在ということか。
◆普通に読んだだけでもう凄まじい文ですが、主語が「俺達」なのが輪をかけてたまらない所です。これまで散々気ままに振舞ったり自我のある挙動を示してきたサツガイ=サンが、己の自我をしっかり知覚したうえで「何故これが存在するか分からないからこれに意味はない」と考えている。不意打ちで大きな空洞と会話しているような感覚を叩きつけてくる。遥かに良い…………
ちなみに記事作成者はこの1ツイートを読んだ途端、それまで「割と好き」程度に収まっていたサツガイ=サンへの諸感情があまりの虚無さと可憐さを食らって一気にバグり、『アルター……』を読むときの心構えやニンジャスレイヤーという小説への向き合い方などが大惨事になり、我慢できなくなった結果として絵が上手くなったので、今こんな訳の分からない記事を書いていることも含めほとんど全ての事象がこの台詞のせいです。
◆ザルニーツァ=サンが自分の意志で止めたり叫んだりするより前にまずシンウインター=サンを見てしまうのが哀しい。
◆ここにきてやっと黄色の上衣が初登場。宇宙を覗くようなフードの中身が大変美麗で神話的アドバンテージがある。そして二人称「そなた」はここでしか採取できない大変貴重な二人称です。
◆ウキヨをニンジャにしたり色々とやりたい放題の一幕。このサツガイ=サンの言いぶりからすると、これまでのジツ付与もただジツだけ追加していたわけではなくソウルごと移植していた可能性がある。
◆サツガイ=サンから見てもやっぱり当たり外れの概念があったのかと分かるツイート。この「色々と試してくる」が例のアルター事象なことを思うとこの軽さは空恐ろしいです。
ここまで来ました。シーズン2前半のサツガイ=サンは以上です。『アルター・オブ・マッポーカリプス』のサツガイ=サンについては下記の記事に続きます。
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