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トラブルの火種、燃え盛る前の消火活動

会議の席上には、さまざまな人が登場します。特に、建築プロジェクトの場合は、登場人物が多いため、時には、関係者同士のそりが合わなかったり、これまでの感情的なしこりが何かの拍子で突如大きなトラブルとなったりすることもあります。
こうした会議での「火種」はできるだけ早く、より正確に言うと、゛そっと“消火することが重要です。

トラブル一時預かりの効果

タイヨウ君: 例のホテルのプロジェクト、ちょっとヤバいです。設計者と施工者の見解が完全に食い違って、二人とも引くに引けない状態になっています。
キノシタ: で、タイヨウ君はどんな対応したの?

タイヨウ君の話をまとめると、
●設計者・施工者それぞれの譲れない拘りがあり、議論は平行線をたどっていた。
●昨日の定例会では、感情が爆発し、それぞれの矛盾点について言い争うという事態になった。
●タイヨウ君は、反目する二人の間に入り、その場で自らの正論で事態収拾につとめたが、上手くいかずに、火に油を注ぐ結果となってしまった。

キノシタ:結果論的に聞こえるかもしれないけど「私が一度持ち帰り、後日、提案するということにさせてください」と言えば良かったかもしれないね。
タイヨウ君:それは、時間の無駄ですよ。二人ともいい大人なんだから、飲み込むところは飲み込んでもらって、効率的に次に進めるべきだったんですよ。
キノシタ:これは僕の経験上の考えだけど、すぐに答えを出すのが必ずしも得策ではないこともあって、感情的になった時はその典型だと思うよ。
僕たちは、プロジェクトマネジャーとして、中立的な立場だし、正論だとしてもどちらか一方の意見に汲みしたと思われるのも良くないでしょ?
それに、本当に効率的なのは、プロジェクト全体で最も無駄な時間がないってことだと思うし、そう言う意味では最良のタイミングがいつかを考えてごらん?
そこで決めたことで、それが火種になって後でもめたら、それこそ時間を無駄にするかもしれない…それに、お互いプロとしての自覚があるからこそ、譲れない意見をもっているわけだし。

感情も持ち帰る

タイヨウ君:でも、結局、どちらかを選択しますよね?
キノシタ:仮に、最終的な結論は同じだとしても、ここで大切なのは、時間をおいて、一度しっかりと双方の考えをタイヨウ君が検討してみるってことさ。君だって、真面目に考えてきた案を、その場で否定されるのは嫌でしょ?
それに、技術的な事だけじゃなく、お互いの感情的なことも持ち帰って考えて見れば、みんなが納得できるような伝え方で提案できるし、その頃にはみんなの頭も冷静になっているから受け入れやすいよね。
それ以上に、僕が期待しているのはさ…、10に1つでも目から鱗のアイデアに気づけるかもしれないってこと。そうなれば、プロジェクトにとっては最高だよね。という事で、預かって考えて見るってのも、悪くないってことだよ。
タイヨウ君: そっか…僕が間に入って、意見をいったん預かることで、色々な効果が期待できるんですね。「生産効率の向上!」って、いつもいつも考えているから、どうしても目の前の効率に一生懸命になっちゃうけど、全体感の中での効率性って考えると、確かに全く景色が違うんですね…。
しかし、キノシタさん、いつも「深い」ですよね!よぉし!僕も、やってみます。

まとめ

✔ 会議の場の火種は、時間をかけてでも、お互いのわだかまりを残さぬようそっと消火する。
✔ 大切なのは、技術的なこと、何が正論かどうかだけでなく、相手の想いも含めて考えてみること。それが、時に結論そのものより重要な、「自分の考えを受け止めてくれた」という信頼にもつながる。
✔ 感情的な言葉は、その真意をくみとったうえで、とげをとった表現に変えて、相手に伝えてあげる。
✔ 拙速な答えで失うのは、信頼とイノベーティブなアイデア創出のポテンシャル

消火方法についてもっと知りたい方はこちらから


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