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No.14 『日東電工』 正しい終末期の迎え方
新社屋に移ると企業は傾く、設備投資に踏み切ると市況が悪化する。それなりに説得力のあるこれらの言説に加えて、個人的にはロゴマークの変更も潮目を変えやすいと感じている。パイオニアがまさにそうだった。今日取り上げる日東電工もそんな気がする。どうしても「Nitto」ではピンとこない。
ロゴマークの変更に違和感はあるが、日東電工の経営クオリティが高いことはよく知られている。少し前の日経記事を読んでさすがと改めて感じた。成長源のひとつとして、技術供与の見返りに指導料を徴収するロイヤリティビジネス分野を挙げていることである。中国企業による液晶テレビ向け大型偏光板の生産ラインの立ち上げをサポートし2022年までの5年間で150億円の収入を得るという。
技術的に競争優位にある日本のエレクトロニクス企業にとって、プロダクトライフが最終局面を迎えつつある製品のキャッシュを最大化するためにロイヤリティビジネスを志向するのが個人的にはいいのではないかと思っている。液晶パネル市場の成長率が鈍化し競争も厳しくなったとき、液晶カラーフィルターを手がける凸版印刷にそのことを提案したが、結果的にはロイヤリティビジネスの道を選ばずみずから設備投資に踏み切った記憶がある。中国や台湾、韓国メーカーに技術供与することへの抵抗感が背景にあったのだが、液晶カラーフィルターは投資を回収できずに減損や除却してPLやBSにダメージを残すことになった。
偏光板やカラーフィルターなど液晶用部材だけではなく、ロイヤリティビジネスによるソフトランディングを今から視野に入れておくべき製品として、自動車用二次電池があるように思う。二次電池は液晶用部材と同じ道を歩むことになりかねない。競争優位のポイントが技術からコストに移行したとき、中国メーカーに台頭を許す想像はそれほど難しくないであろう。おそらくパナソニックは自動車用二次電池において終局の絵を描き始めていると思われるが、本格的な回収期が後ずれしている現状を見るにつけ、かれらが想定しているよりも早く意思決定を迫られることになるかもしれない。
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