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今日あったこと〜家を借りる〜

わたしは現在別居婚(週末婚)をしている。夫は山で暮らし、わたしは平日職場のある町(実家)で過ごし、週末に山の家(婚家)へ行くという暮らしをしている。わたしの職場のある町あたりにそろそろ二人で住みたいので、家を探していた。

紆余曲折があり、今日はアパートの内見の予約をしていた。
もともと「一軒家を貸主と直接契約で借りたいな〜いい感じの空き家ないかな〜」と探し始めたのではあるが、そんな都合のいい家は見つかるはずもなく(空き家はたくさんあるが、貸すのではなく売りたい人が多く、さらにはお片付け未了ですぐどうこうできない状態の家が多い)、このままでは一生住む家は見つからなそうだ・・・もうアパートでもどこでもいいか・・・などと妥協してみたり紆余曲折を経たりした結果、アパートの内見をすることになっていた。
わたしはアパートでも別にいいが、夫は家に関してこだわりが強い。一軒家がいいとか、庭(土があるところ)がほしいとか、住宅が密集していると嫌だとか、山に近いところがいいとかである。見つからなすぎて一時はアパートでもいいやと思った夫であったが、いざとなるとやはり自然が豊かで土地が広い一軒家でないと嫌らしく、アパートに決めることはほぼないと思われるが、とりあえず予約しちゃったし見てみようということでわたしの町に内見しに来てくれた。

内見の時間まで1時間ほどあったので、そんなに田舎で山の近くな場所がいいなら我が町で最も山近い地域を案内してやる💢!!と思い、浦大町という地域を案内した。わたしの町は小さい山がひとつしかないが、その山と隣接した地域である。少し高いところにあって見晴らしがよく、山と田んぼに挟まれたところである。駅からも遠く、コンビニやお店等はない。山の入り口にあるお寺に車を停めて、近隣を散歩する。ぼろぼろの廃墟が目白押しである。わたしは廃墟に興奮するが、住めるわけではない。
ぼろぼろだ〜とかお墓だ〜とか言って通りを歩ききって戻ってくる道中、大きいお家で作業しているおじさまがいた。第一村人である。夫が「どうも〜」と挨拶をする。わたしも軽くそちらを見やる。ん!なんか知っているようなお顔である。わたしの実家の町内会長だ!声をかけてみる。
「どうも〜!わたしです。ここらへんに住みたくて空き家を探しているんですけど、いいところないですか?」
おじさまの答えは「ないねえ〜。空き家はいっぱいあるけど、どれもかなり直さないと住めないよ。あすこもあすこもあすこも空き家だけどね。」「この家も空き家で今まさに片付けしているところだけど、来年か再来年、ほごそう(取り壊そう)と思ってる」
夫が「見せてもらえないですかね?」と頼むと、「参考までに見てみる?いいよ」と家にあげてくれた。昨年までおじいさんが住んでいたとのこと。中には無数の畳が壁に立てかけられていた。ほかにも台や布団類や食器類など、きれいに分類され、まさに片付けられの最中である。家の中は相当広い!わたしはお風呂場を見てみた。めちゃくちゃきれい!数年前にリフォームしたものと思われる。風呂のモデルが新しい。白くてきれい。一気に住めそう感が増した。台所もとても広い。台所は広いに越したことないと思うので、最高である。リビング的なお部屋にはエアコンもあり、ストーブもあり、なんと床暖もあるようである。こんな快適そうなお家を、ほごす?!なんで?!
夫も好感触なようで「まじで借りたいんやけど」という。ここは意見が合ったので、おじさまにお願いしてみることに。「ここ、貸してもらえないですかね?」
おじさま「う〜〜〜〜ん。おすすめしないなあ。広すぎるもん。本家の長男の家だから盆や正月に親戚が集まれるようにすんごい広いんだもんね。二人暮らしには広すぎるよ」
この返答に、本心では貸したくないのかどうなのか気になった夫は「あまり人に貸したくはない感じですか?」と聞く。するとおじさまは「そんなことはないよ。全然。ただで住んでくれていい。」
?!やった〜!
貸してくれる気はありそうだ。
おじさまによると、今日の午前中に無数の畳をクリーンセンターに持っていて処分するつもりだったらしい(畳は1階分も2階分もすべて取り外され50枚ほどあった)。しかし、突然雨が降って来て、クリーンセンターへの搬入を断念したそうなのだ(搬入できるのは午前中のみ)。その午後に我々がやって来て「住みたい」などと言ってきた。もし雨が降らなかったら、畳はすべて処分されていただろう。奇跡的である。住むとなったら畳を元に戻せばいい話である。

アパートの内見の時間がせまってきたので、失礼して、アパートへ向かった。不動産屋さんがいて、お部屋を見せてくれた。2階。壁紙真っ白。台所、洗面台、エアコン、ピンポン押してきた人を画面に表示するやつがまっさらの新品。窓から見える自然は豊か。普通に住めそうだが、夫の感触はよくない。狭くて何もできなそう、とのこと。あと、秋田にいてアパートに住むって変な感じ。学生みたい。とのこと。

内見を終えて、先ほどの広〜いお家に戻ってみたが、おじさまは帰られていた。我がもののように外からジロジロ見て、改めていいなあと思い、退散。そのうちにおじさまから電話がかかってきた(さっき電話番号交換した)。「家内とも話し合ったけど、貸すのいいよ!また別日に本当にこの家でいいかよくないかチェックしにおいで」とのこと。なんていい人。なんてラッキー。数日後行くことにした。
奇跡が起こったな〜と思った。
前日わたしは夫と家探しのことで電話をして正直ブチギレていた。家の条件のことで齟齬があって。それで怒りにまかせて我が町で最も山近い地域をいきなり案内したのだ。その怒りがなければ、もっと平らな地域とか、山の近さで言うと次点な地域を先に案内していて、おじさまと出会うことなく家探し散歩が終わったかもしれない。それではまだまだ家は見つからなかっただろう。これは奇跡としか呼びようがない。


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