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『ロストタイム・カプセル』企画書

キャッチコピー:君といるたび、失われた時間(とき)は増えてゆく。


あらすじ:
11歳の頃、輝元慧(てるもとけい)は当時のクラスメイト・巻上(まきがみ)マイに誘われてタイムカプセルを埋めた。『空から赤い流星群が降り注ぐ時』にそれを掘り起こそうと言われたが、一体どういう事かと慧は困惑せずにいられなかった――。
16歳になった彼は空から降り注ぐそれを見て、そんな過去の約束を思い出した。
マイがカプセルから取り出した、青く光る石。それに触れると、何と彼らは記憶を引き継いだまま11歳の頃に遡った。
彼らはループを繰り返しながら、悲しい終末のない世界を目指す旅へ出た。

第一話あらすじ

「タイムカプセルって知ってる?」
5年2組の教室で、輝元慧はクラスメイトの巻上マイに、一緒にタイムカプセルを埋めようと持ちかけられる。
とりわけ仲がいいわけでもないし、去年の遠足で酷いことをしてしまったにもかかわらず、何故?と彼は困惑しつつも、その提案にのることにした。
カプセルを埋める当日、いつ掘り起こすのか尋ねると、マイはこう答えた。
「赤い流星群が地上に降り注ぐ時」――。

5年後にやって来たそれは、即ち終末の時だった。
16歳になった慧が約束の場所へ急ぐと、マイが先に待っていた。
マイがカプセルから取り出したのは、青く光る石だった。
「私と二人でやり直すか、ここで全てを諦めて終末を受け入れるか、選ぶのよ」
そう言われた慧は、石にそっと手を差し出した。
すると、赤く染まった空を覆い尽くすように、透き通った青い光が彼らを包んだ。
「ああ、また増えちゃった――」
マイが最後に言った言葉の意図が分からないまま、慧は意識を失った。

「タイムカプセルって知ってる?」
彼らは5年前にループしていた。

「また一緒にやろう」
「ああ、やろう」
二人はあの悲しい終末のない世界を探すべく、時間を超えた果てしない旅に出た。


第二話以降
小学5年生に戻った慧は、加澤颯太、保志水巡を中心に友人たちと共に楽しい日々を過ごしていた。
ある日、総合学習の授業で『10年後のわたしへ』というテーマで手紙を書くことに。「10年後はもう……」と、あの赤い流星群を思い出して複雑な気持ちになる慧。その中で、マイは同じ理由で泣き出してしまう。そのすすり泣きを聞き、慧はマイを傷つけたことを思い出して帰り道に謝罪する。
「ほとんど忘れてた」と微笑んだマイだったが、清々しい気持ちになった慧だった。
だがその背後から、不穏な視線が2人を狙っていた。

マイと同じ中学へ行くために、慧は以前行っていた中学受験を受けないことにした。中学生となった慧はある日、母親から、人より少し特殊な能力を持つ血筋である『星筋』について知らされ、彼ら輝元家もその一族であることを知る。この星筋の能力は自覚がないと発動せず、同じ星筋であるマイが、慧の母親にそのことを告げるよう仕向けていたのだった。

慧の星筋能力:奇跡
生涯の中で一度だけ、本来あり得ない奇跡を起こすことができる。
発動した後は能力を失う。

自身の能力を知った慧は、再び終末の日を迎えた。
約束の場所へ急いだ慧だったが、そこにマイの姿はなく、代わりに、すでにカプセルが掘り起こされた形跡があった。(タイトル:「ロスト・タイムカプセル」)

呆然と立ち尽くす慧は、白髪の男に背後から殴られ、意識を失ってしまう。
そのショックで慧は、自身の前世の記憶を取り戻した。

慧の1度目のループは、マイにとって3度目のループだった。
マイの2度目にループした世界では、慧は星筋の能力『奇跡』について知らされなかった。
慧は終末の日に白髪の男――保志水巡に殴られた際に命をおとしてしまう。
慧を失ったマイは涙ながらに一人でループを遂行し、記憶を引き継がない慧のもとへ向かった。(ここで第一話の冒頭へ繋がる)

奇跡的に一命をとりとめた慧は、3度目のループを既に完遂していた。
目の前にはマイではなく、巡の姿。(ここで自分を殴ったのが彼だと知る)
青い石を持ったのがマイ→巡となったため、ループ地点が変更。


「ねえ、僕の髪黒い? 僕の目黒い??」
巡は自身の星筋の能力・透過について語る。

巡の星筋能力:透過
自身を透過させられる能力。ただし、一定数使うごとに自身の色素と周囲の記憶も薄くなってゆく。つまり限界まで使うと、全ての人々に自身の存在を忘れられる。

透過能力によってマイと慧の会話を盗み聞きしていた巡は、彼らの行動を「無駄なこと」と否定し、海へ投げ入れようとする。
が、「約束したんだ」と強い語気で言う慧が石を奪い取り、マイのもとへ急ぐ。

(ここからマイ視点)
「タイムカプセルって知ってる?」
とマイに語りかける慧。(冒頭シーンとの対比)
慧同様タイムカプセルの話に乗るマイ。

巡に盗聴される可能性を考えた慧は、マイを自宅に誘いそこで詳細を話す。
赤い流星群のことを話す慧に思わず声を荒らげるマイ。「どうしてあなたが知ってるの!?」
言うべきでなかったかとドキマギする慧だが、対照的に「わかる人がいてよかった」とマイは涙する。

(マイの回想)
父は錬金術、母は未来予知能力と、星筋の中でもエリートな家庭に生まれたマイだったが、彼女自身は何の能力にも目覚めなかった。そんな中で母の能力で星の終末を知った彼女だったが、自身では何も出来ず無力感を抱いていた。

混乱を招きかねないと判断した慧は、前の世界の石のことはマイに話さず、カプセルに埋めることに。
5年後、終末の日に計2つの青い石が出てくることになる。
その並ぶはずのない2つの石をくっつけ合わせ、より強い光によって空は再び晴れ渡り……と思いきや、結局それは幻にすぎなかった。

中学1年に戻った慧はそれに気づき、失望。
(ここでループ期間が短くなり、視点も慧に戻る)
何度ループを繰り返しても終末を逃れられず、徐々に希望を失いつつあるマイと慧。
もはや何度目かもわからないループで、慧はいつぞやマイが言っていた言葉「また増えちゃった…」の意味に気づく。

ループする度に増えていく、失われた世界の記憶。無色透明のカプセルに閉じ込められたそれは、一つひとつ彼らの中に蓄積されていく。
一度ループを完遂してしまえばその事実を取り消すことは出来ず、カプセルを破壊することも自分の外へ出すこともできない。
ただそれらを両手いっぱいに抱えながら、果てしない旅を続けるしかないのだった。
本来居るべきでない時間軸を、幾度となく渡り歩きながら……。(ここでタイトル『ロストタイム・カプセル』回収。)

その次のループに入ろうとする前、慧もマイも、精神的にすり減っていた。
「もう、終わりにしない?」と言い出したマイ。
「……俺も、少し考えてた」と慧。

互いに薄々気づき始めていた事実に、とうとう触れることに。
何度やり直したところで、あの赤い流星群を止める術などどこにも無かった。
あの終末は、星が生まれた時から既に決まっていたことで、誰が何をしようとそれを変えることはできない。

「でも、あなたの話に乗ったこと、後悔していない」
「君のお陰だよ、マイ」
と、遥か昔に棄てられた世界でのことを思い出す慧。
「あんなに酷いことしたのに、俺を選んでくれたからだよ」
と、遠い世界でマイに誘われたことを語る慧。
「それは、きっと――」
と、ずっと抱えていた慧への想いを告白。

無言で手を握る慧。
「君にだってできるはずだ」
真っ直ぐにマイを見る慧。
と、ここで初めてマイの星筋の能力が発動!

想像/創造: 使用者がイメージしたものをそのまま具現化できる。ただしその代償に、一定量使うごとに寿命が削られる。

突然2人の周りに、満天の星空が広がる。
「これは?」と驚く慧。
「せめて最後くらい、綺麗なものを見たいでしょう?」

2人は空に手を伸ばし、それぞれ抱えていた小さな透明のカプセルを空に放った。
全てを清算した上で、これまでの自分らの旅路を愛しみ、肯定しながら、澄み切った青の中で静かに息を引き取った。

※実は巡に殴られて生還したのは、能力のお陰ではなく、本当の奇跡だった。
慧の能力『奇跡』がマイに作用したことで、彼女は能力に目覚めた。
マイが思い描いた星空が具現化されたことで、赤い流星群を阻止していた。が、2人はそれに気づかず、最期まで、彼らだけが見る幻だと思っていた。

『ロストタイム・カプセル』企画書 以上

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