シアター コントロニカのコント作品『並行食堂』を観ます。
視聴する前の情報整理、そしてワクワク感を伝える前文
僕の推しである小林賢太郎さんが脚本・演出する舞台『並行食堂』、日本各地の劇場で9月中旬〜10月中旬まで公演されていたのですが、この度オンラインで視聴出来るチケットの販売が開始されました。
こちらの舞台、賢太郎さんとの共演の多い方々もいっぱい出ていて馴染み深いなぁと感じますね。辻本耕志さんなんかは2回ほど生で見た記憶があります。アレ、K.K.P.『TAKE OFF ~ライト三兄弟~』11周年記念トークショーと映画『回廊とデコイ』の上映イベント&トークショーの時です。ああいう舞台の為に練り込まれた台詞ではない役者の"フリートーク"が聞けるってのは良いものですね。今後もっとこういう機会が増えて欲しいなと思います。
思い出話はさておき、これから舞台を観た直後の叫びを書き連ねようと思いますが、具体的な内容は伏せるにしろこの記事全体が本編のネタバレに繋がりかねないのでご注意ください。
それでは、はじまりはじまり〜〜
ここから大雑把な感想のターン
まず第一に、こういうオムニバス形式のコントたち、特にそれぞれ違った物語に見えて何処か繋がりのある世界ってのは賢太郎さんの描く舞台が好きな人はみんな大好きなんじゃないかと思います。無論僕も大好きです。
そして今回も言葉遊びが凄かったですねぇ〜〜。語感の似ている言葉を数珠繋ぎにしていったり、カクテルの語感で遊んだり、同音異義語が交錯して行ったり。意味の知らない言葉を語感だけで遊んでいく快感は賢太郎さんの脚本じゃなきゃ味わえないですからね。
それに賢太郎さんの舞台ではちょくちょく過去のコントを彷彿とさせるモノもありますね。先ほども出した『同音異義語の交錯』というラーメンズのコントだったり、なんとなく間違った発言が最後に"実はその世界ではそういう事になっているんだ"と気付かされるのは『地球の歩き方』のオチみたいで、更にはヨギボー……いや、木魚という謎の生物はGOLDEN BALLS LIVEの『チャンスハンター』を思い出しました。なんかうにょうにょしてキモめな生物、久々に見ました。そして様々な舞台やコント公演で一回はやる役者の自由性を遺憾なく発揮させる自由時間、凄かったです。今まで観た中で一番自由でした。タイミング的に背景を演じる筈の周りの役者さんが思わず吹き出している部分が、なんとなく舞台というものがナマモノであるという実感を持たせてくれている気がして僕は好きです。
役者さんのアドリブを尊重するのも含めて、脚本と演出に回った賢太郎さんは出演する人間を良い意味で『玩具』の様に自由に扱ってるなという雰囲気も感じ取りました。役者一人一人の持っている個性を思い付くありとあらゆるキャラクターに当て嵌めて行くというのは、役者さんの事を注意深く観察して作品に投影しているんだろうなと思いました。
今作『並行食堂』のテーマについて
"並行食堂"というタイトルを見た時、最初はカジャラの『山小屋における同ポジ多重コント』の様な"時間軸の並行"をテーマにした作品なのかなと思っていました。しかし本編を観ると並行しているのは時間ではなく"世界線"だという事が分かります。所謂『パラレルワールド』を題材にした、根幹はSFの様な作品でした。しかしただのSFではなく、小林賢太郎脚本らしい生きた人間達の生活を垣間見るようなとても活き活きとした物語でした。
様々な世界線で生きる人たちを描いて賢太郎さんは何を伝えたかったのだろうかと一度考え、そして僕はある一つの推測を立てました。これは小林賢太郎という人が『多様性』について描いたのではないかと。
様々な世界線によって、常識が変わってくる。それがその世界線の常識ならば、それを認める。様々な世界線を渡ってきた竹井は最後に、とても楽しそうに思い出を語っていた所から『この世界を認める』という事を並行世界で楽しんでいたのだと思います。例え今僕たちが存在する世界線と言葉の意味が違い、価値観が違い、常識が違っても、それでもその世界線ではそれが当たり前になっているのだから、それを認めよう。そういった考えを持ってこの『並行食堂』という舞台は生まれたのではないか、と僕は推測します。あくまで一ファンの稚拙な憶測なので、あまり真に受けないでください。
終わりに
いやぁ、やっぱ推しの新しい供給ってのは良いモンですね。心が潤いました。やっぱり小林賢太郎さんは板から降りても小林賢太郎さんだなと改めて感じました。
今後のシアターコントロニカの展開、そして賢太郎さんがnoteで告知していた新作映画、更に『回廊とデコイ』の円盤化やら過去作K.K.P.の書籍化等々(後半はただ個人的な欲求)スタジオコンテナとしての賢太郎さんが発表する作品が増々楽しみになってきました。小林賢太郎さん、健康にはお気を付けつつ、新作を楽しみにしています。
そして、『並行食堂』という素晴らしい作品をありがとうございました!!!
おわり
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