杜野凛世を追う ~G.R.A.D.に寄せて~
どうも。放クラPのTK(@TK_HoCliP)です。
自分が完全に心を奪われている杜野凛世というアイドルのこれまでの歴史ついて自分なりに読み直してみます。主観マシマシでございます。P→杜もいっぱい出てきます。
特に、彼女について語る上でG.R.A.D.のコミュは非常に重要であるため、本記事ではこれを主軸とした解説になります(自分がG.R.A.D.大好き人間だからという話もある)。まだ読んでない人は凛世G.R.A.D.とLanding Pointを読んでから本noteを読んでいただきたいです。本文の引用多めで「ここはこう読めるね~」みたいな国語っぽい書き方なので…
内容の都合上、enza対応版シャニマスのネタバレ(マイコレ凛世まで)を無限に含みます。ご了承ください。
(打つのが疲れるため、以降は文中でW.I.N.G.をwing、G.R.A.D.をgrad、Landing PointをLPと表記します)
①初期(W.I.N.G.と【十二月短篇】まで)
杜野凛世を語る上で欠かせない要素の一つに恋があります。
シャニソンの方でもアンケートにかこつけて理想のデートコースの話を聞き出そうとしていましたが、enza対応版ではそんなもんじゃありません。
彼女のアイドルとしての人生はスカウトを告白と勘違いしたことから始まっています(冷静に考えて凄い設定だなこれ)。
そのため、本当に初期の彼女は超ストレートに告白紛いのこともしていました。
一目惚れをしたプロデューサーの傍にいるためにアイドルを始めた凛世ですが、アイドルとして活動するうちにプロデューサーだけではなく自分を応援するファンの期待にも応えたい、という気持ちを持つのがwing編となっています。
一方で、この頃の彼女は積極性や欲を大きく欠いています(詳しい話はgradの項目に)。そのため、自分の我儘を抑え込み、プロデューサーに対して異常なまでに奥手になっています。
②G.R.A.D.
彼女にとっての大きな転換点の一つ目です。gradはその解釈が非常に難しく、多岐に渡る話だと思います。先人さま達の解釈もぜひ読んでほしいです。
1.ほんよみ
gradの準備と同時並行で彼女は一つのネットドラマを受けます。その台本の練習の一環として、『あ』だけの練習をプロデューサーと、『あ』以外の練習をレッスントレーナーと行っていきます。
2.she
二度目の引用ですね。すみません。
gradに向けて練習する上で彼女はレッスントレーナーから「まるで機械みたい」だと形容されます。そして、彼女はこの言葉が引っかかってしまいました。
ここまでが序章です。
3.「あ」のない少女
この章でも彼女は「振りは丁寧で超完璧」と言われますが、一方で何か足りないものがあることも察してしまいます。
そんな中プロデューサーが彼女の練習を見に来ます。その時のパフォーマンスは人の心を動かせるエモーショナルなものでした。
ここまでの引用である程度分かるように、この台本では
・少女αがアイドルじゃない凛世(以降、少女凛世)
・少女βがアイドルの凛世(以降、アイドル凛世)
・博士がプロデューサー
・話自体が凛世とプロデューサーの歴史
の比喩として用いられています。少女凛世はプロデューサーの前の、アイドル凛世はステージの上や仕事をしているときの凛世です。
この場面を凛世とプロデューサーの視点から考えてみましょう。
凛世目線ではプロデューサーの前もステージの上も同じように心を込めていると考えています。無論これに嘘はないでしょう。彼女がプロデューサーやファンの期待に応えたいと考えているのはwingで確認した通りです。
そのため、凛世視点では少女凛世とアイドル凛世、両者の違いが判らず引っかかっています(上に記したように彼女は「あ」を心を込めることと考えている)。
では、何故ステージ上では「あ」がないのか。そもそも「あ」とは何なのか。これはまだプロデューサー目線でしか語られていません。
「あ」はダンストレーナー曰く「表現したいという欲」です。プロデューサーの前でこの欲がある、と解釈すれば彼女のアイドルとしての起源から必然的に、「あ」は「プロデューサーに好いてもらいたい」という欲でしょう。
そしてこの欲に彼女が気付かなかった理由は彼女自身の自己の抑圧によるものと考えられます。詳しくは後ろのLPで出てきますが【凛世花伝】などでもこれは触れられていますね。彼女は「プロデューサーと共に過ごしたい」という思いを何度も、何度も抑えていました。
勿論、ステージ上の彼女がアイドルとして劣っているというわけではありません。ファンの期待に応えるために頑張る、というのはシャニマスに限らず他のアイマスでもよくある話です(シンデレラと765くらいしかわかりませんが…)。
ですが、現時点の彼女には「どういうアイドル(自分)になりたいか」という像が明確に存在していません。
例えば灯織だったら「誰かに好きになってもらって、自分のことも好きになりたい」果穂だったら「皆を元気にできるヒーローみたいなアイドルになりたい」、小糸だったら「誰かの居場所になれるようなアイドルになりたい」、美琴だったら「パフォーマンスで感動させられるアイドルになりたい」、だからアイドルになった、といったように大部分のアイドルには明確な理想の像がある、もしくはwingを通してそれが形成されます。
一方で凛世は「一目惚れしたプロデューサーの隣にいる」ためにアイドルになっており、この部分が欠落していると言えます。他の多くのアイドルにとって手段であるアイドルになることが、彼女にとっては目的にすり替わってしまっています(アイドルでいる=プロデューサーの傍にいる、であるため)。
では、その後生まれた「プロデューサーやファンの期待に応えられるアイドルになりたい」という感情はどうかというと、これは確かに像の一つとも言えます。しかし、この感情・意思は受動的なものであり、能動的とは言い難いです。
更に、問題はこの違いも現段階ではプロデューサー目線でははっきりと見えてこない点にあります。
彼がプロデューサーである以上、彼の目を通した凛世は「表現欲のあるアイドル」として映ります。
では今までのステージで気付かなかったのか、という話ですが、彼女はwingの頃から「アイドル優等生」と明言されており、gradでも「予選は楽勝」と太鼓判を押されています。このことから今までのステージでは能動性の欠如が問題となることはなかったと考えられます。
更に、よりメタ的に解釈するのならば、そもそもプレイヤーである我々が指摘されるまでこの差に気付かなかった以上、我々の分身であるプロデューサーがステージ上の異常に気付くはずもありません。(初期からずっと追っていたプロデューサーさんは気付いていたかもしれませんが、ちょうどgrad追加前位に始めた自分は気付けていなかったので、そういうことにしておきます)
以上を簡潔にまとめると、
・少女凛世とアイドル凛世の違いである「あ」は「能動的な」欲
・凛世もプロデューサーも少女凛世とアイドル凛世の違いが分かっていない
→この理由は、
〇凛世はどちらも期待に応えるという「受動的な」欲で動いてはいるから
〇プロデューサーはそもそもアイドル凛世を知りようがないから
ということになります。「あ」以外の音、については後述します。
で、ようやく台本の話に戻るんですが、そう考えると博士はプロデューサーで話自体が二人の歴史で納得できると思います。
コミュで言うと『she』の台本がwingからgradと読み取れます。
また、この『she』と『「あ」のない少女』で書かれた台本部分から、凛世の恋の在り方に変容があることが再確認できます。
台本の「初めは拾ってくれた博士を好いていたが、博士と話すうちに二人の想いはさらに深まった」を凛世視点で解釈すると、「初めはスカウトしてくれたプロデューサーに一目惚れしていたが、いつしか広い世界を教えてくれる彼に本気で恋をするようになっていた」とでもなると思います。美しすぎるだろ…ありがとう。
ですが台本をちゃんと読むと「互いの想いは(中略)深まった」とあります。「彼女の想いは」ではありません。わざわざこんな書き方をするくらいですので、博士、すなわちプロデューサーの視点も考察する必要があるでしょう。
4.閑話 ~【水色感情】と「博士」~
grad以前のプロデューサーの視点を考えるうえで重要になってくるのが【水色感情】『B2.人の気も知らないで(inst)』です。というかgrad以前の彼女のpカードは大半彼女目線ですので、これくらいしかありません。
本コミュではプロデューサーがある曲の名前を思い出せないところから始まります。その後、部屋に迷い込んだ水色の蝶を凛世と逃がすときに、その曲が凛世とカフェで聞いたレコードの曲(文中でその音は「んーんーん」と書かれている)だと思い出すのが概略です。
このコミュに限らずですが、凛世のコミュにおいて赤は少女凛世もしくは恋そのもの、青はアイドル凛世もしくはプロデューサーの例えとして用いられます。
本コミュでは「水色の蝶=アイドル凛世」ととらえて良いでしょう。そして迷った蝶をプロデューサーや凛世が外に逃がすときの会話を選択肢ごとに見てみます。本イベントでは回想が混ざるため、そこは省略させていただきます。
───窓から放そうか
───驚いてるかな、この蝶
───なんて蝶かな?
自分はこれを改めて読み直したとき、この頃から既にプロデューサーが凛世に心を惹かれていた、と感じました。
すべての選択肢で一貫してプロデューサーは迷った蝶を逃がす、つまり恋に落ちた凛世を大人として諦めさせようとしています。それでも迷いたい、好きでいたいと言う凛世に尚も主張を曲げていません。
しかし、
・「窓から放そうか」では凛世が離れた後で一緒に聞いた曲、つまり過ごした日々がフラッシュバックする
・「驚いているかな、この蝶」では自分を追い越して進んでいく凛世のことを考えて、一緒に聞いてた曲がもの悲しく感じられている
ということから、凛世の恋に報いなかった結果彼女が離れていくことに対する未練を感じられます。
更に言えば、「なんて蝶かな?」でも水色ではなくブルーって感じだ、と明言されています。
一般に水色と聞くと空や水、青春のような清々しい印象を覚えると思います(ノクチルチル~)。凛世は蝶を見て「美しい水色だ」といった旨のことを言っていることから、この別れのことも青春の一幕のような、清々しいものと捉えようとしているのではないかと思います。実際には名残惜しそうにしているにも関わらずです。この辺りは前述したプロデューサーに対する欲の抑圧からくるものでしょう。
一方で、ブルーと聞くと重さや悲しい印象を覚えると思います(feel blueとか言うくらいですし)。プロデューサーは蝶を見て、その別れに対する悲しみを感じていることが再確認できます。
以上が自分が「互いの想いは深まった」で強調したかった点だと考えています。じれったいですね。
5.she/she
時系列的にこの部分はgradと対応します。
grad予選、プロデューサーは彼女が心を動かせていないと思っていることを聞きます。これを踏まえて、プロデューサーは彼女にオフをとるように言います。
迷いを打ち明けようとする凛世ですが、プロデューサーは「無理に言わなくても良い」「落ち着いてから話してほしい」と言います。ここと「あんな言葉をもうけっして聞かなくてすむように」という部分はコミュ内でも並行して描かれています。
このコミュ内でプロデューサーは博士に対して次のように語っています。
「博士はどうかしてる」、成程確かにその通りです。彼は自己中心的な欲や嫉妬で少女の声を奪ったのですから。博士と重ねて描かれているプロデューサーの思惑は詳細には描かれていませんが、一度じっくり考える時間を与えたい、休ませている間自分もどうすれば悩みを解決できるか考えたいといった類の善意で動いていると考えるのが自然です。一見すると彼の中で整合性はとれています。
ですが、凛世はプロデューサーの前とステージ上の違いが分かっていません。その違いがプロデューサーの存在にある以上、プロデューサーと距離を取り話す機会を設けないことはその違いに気づく機会を奪うことになり、悪手となりました。
ここでのプロデューサーは「凛世のためだ」と言いながら彼女の事を考えない、独善的な思考により行動してしまっています。
初期のコミュではアイドルたちを誘導する完璧な大人として描かれていた彼ですが、実のところ完璧な大人なんて存在しません。特にgrad以降に出るコミュでは誘導が上手くいってないものも散見されます。
彼の独善的な判断により、彼女がアイドル凛世に欠けたものの存在を深く意識したことで、彼女は自分の中の少女βの存在をはっきりと認識します。これが台本の最後の部分です。
6.いたかった
コミュに入る前に台本の解釈をします。
ここでは少女αと少女βの心の内が語られます。
少女α、少女凛世が寂しい理由はそのままですね。愛する1週間もプロデューサーから離れているからです。
少女β、アイドル凛世が苦しい理由もそのまま不足しているものがわからないからです。ですが、博士の心の中にいるのはオリジナルの方だと知っていた、の説明にはなりません。もし前述の理由だけなら「彼女には『あ』がなかったから」とか書けばいいだけの話です。
自分は前述した、プロデューサーの目を通した凛世は「表現欲のあるアイドル」として映る、と合致すると思います。プロデューサーは直近のパフォーマンスや会話を踏まえ、アイドル凛世の不調を気にしてオフを出していますが、実際にはプロデューサーが凛世の好きな相手である以上、彼は表現力のある少女凛世しか見ることができない、ということが今一度確認できます。
また、この台本から「あ」以外の音はプロデューサーの目に留まるような所作(パフォーマンスに限らず会話、立ち振る舞いなどを含む)であると考えました。
プロデューサーは、アイドル凛世のパフォーマンスを見ていながらその実、少女凛世の欲を見ている。しかし、少女凛世が『she/she』で出していたSOSや、それ以前からしてきた恋愛対象へのアピール、彼女の悩みは見落としていたり彼女に隠されていた。
そんなことを表現したのがこの台本です。
ここは正直こじ付け的な解釈になってしまっている気もしますので、いい解釈が思いついたら追記していきたいと思います。
コミュに戻りますと、苦悩の中逃げるように海へ来た凛世とそれを追うプロデューサーが描かれます。
「あ」がないからプロデューサーの元には戻れない、つまるところ欲が見つからないからアイドルではいられないという凛世に対しその欲、ひいては感情を出すのを躊躇っているだけだから出してもいいんだというプロデューサー、その言葉を聞いて凛世は次のように答えます。
ここですが、こちらのブログの解釈がとても参考になりました。
このブログで重要だと感じた解釈の一つに「タイトルは『いたかった』であり、『_いたかった』ではない」という点があげられます。
たしかに『she/she』では凛世は「_いたい」と言っているため、本当に最初から「あいたい」と言おうとしていたのならここでも「_いたい」とすれば良い話です。すごい納得いきました。
ですからここは彼女が自分の感情と向き合ったことで初めて欲に気付いた、と読めます。プロデューサーの隣に居たい、傍を離れて心が痛い、何が足りないのかわからず心が痛い、そういった様々な感情を抱えた痛み、これらをその感情の原因であるプロデューサーに見せることで、迷惑をかけたくない自身の抑圧という鎖から解放されたのでしょう。
そして彼女は堰を切ったように自分の心の内を吐き出しました。今まで悩むことがあってもできるだけ口にしなかった彼女の大きな成長です。うれしい、迷惑じゃないからいっぱい話してくれ。
7.he
じゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
キレそう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
この台本、「凛世をプロデューサーが追いかけなかったら」という世界の話すぎます。凛世が欲に気付けず少女凛世の恋が死に、プロデューサーもその仕事をやめてから凛世が自分の中にあった欲に気付く、みたいな…誰も幸せになってねえ…
ですが、実際の凛世とプロデューサーは違いました。
プロデューサーは凛世を追いかけた(=少女たちを失わずに済んだ)、少女凛世は「いたかった」「あいたい」という自分の感情を伝えられた(=「あ」以外の音で自分の「あ」を伝えられた)、アイドル凛世は表現欲の存在に早くに気付けた(=まだ出せないが、自分にも「あ」の音が出せることに気付いた)のです。台本とは大きく違う未来を歩み始めています。
このコミュでは、結末に関する凛世とプロデューサーの問答があげられています。テーマは「なぜ『あ』だけが残されたのか」。
ここの解釈も上に引用した考察が参考になりました。
会いたい、という欲は様々な想いを抱えた痛みをプロデューサーに見せることでようやく言えた言葉である、という解釈、非常に美しく繋がっています。
凛世は、この台本を少女凛世自身がプロデューサーに対する欲を最後まで捨てなかったことで素直に感情を出せるようになった、と解釈したのでしょう。
一つ気になる点として、これはその後の独白含め凛世視点の解釈であり、質問したプロデューサーは「なぜ博士が『あ』を残したか」という博士目線の理由を訪ねています。そのため、なぜ博士がそうしたかの解釈も必要です。
自分は博士とプロデューサーの違いを再度強調する書き方をしていると考えました。
「自分のための言葉」という表現ですが、これを凛世が話していることもあって「自分」のさすものが非常に曖昧です。「自分」を「博士」と捉えた場合は博士が博士自身のために残したと、「彼女」と捉えた場合は博士が彼女のために残したと、全く違う文章に読めます。
前者は作中後半で自己中心的に描かれた博士視点であり、後者は「凛世が自身と向き合い、彼女の中にある『表現したい』という欲を知ってほしい」というプロデューサー視点の願いだったと読めます。
そう考えると、『she/she』でプロデューサーが「声が聞こえないからって、心が見えなくなるわけじゃない」「むしろ_」と言っていたのは単に博士が心を奪ったことに対する批判だけではなく、「凛世は一人であっても自分の中の欲に気付ける、むしろ自分がいる方が見えなくなってしまうかもしれない」という思考を表した言葉なのでしょう。プロデューサー視点では、彼が練習を見に来てからより思いつめたようになっていたことから、このような誤解をした可能性は高いです文章のダブルミーニングが多すぎるだろ…。
ただ、実際にはプロデューサーと話すことで解決しました。『いたかった』で凛世が自分に会いたかったのを知って、プロデューサーがどう考えているかが最後に記されています。
ここで出てきた「耳を澄ませられる自分でありたいって思うよ」ですが、grad以前でも似たようなことは語られていました。
少女凛世が自分の気持ちに素直になり、アイドル凛世が表現欲を持ったことで成長したように、gradでプロデューサーも成長したとするのなら、凛世の心に敏感であろうと能動的に動こうとし始めている点でしょう。
凛世はアイドルとしてどのような表現欲を持つか、プロデューサーは能動的に凛世のことを気にかけよう、という意識を持つことを課題としてgradは終わりました。
彼女はようやくアイドルとして羽ばたき始めたのです。
③【われにかへれ】と【ロー・ポジション】
この二つの共通点はプロデューサーの成長だと考えています。限定pSSRに重要なやつ入れないでほしいですね、本当に。億光年とかかきミルとかピトスとか。
成長点を以下に上げていきます。
1.【われにかへれ】のあらすじ
撮影のため、数日間二人で地方に泊まる凛世とプロデューサー。夢のような現実を形に残そうとする凛世ですがプロデューサーはというと…
うーん、無能!w↑
数か月前のgradで「これからはちゃんと凛世のことを見ないとな」とか思ってた人の行動じゃないだろこれ… 自己肯定感が低いとかで擁護できる範疇を超えてます。
無能はこれ書いた時の僕です。両者とも歩み寄りが足りなかったよね、って話がGRADなので、プロデューサーからの歩み寄りがない状態でコミュニケーションできるわけないでしょ(2024/10/18追記)
特にこの頃までの凛世は思い出を形に残そうとする傾向が強いです(この傾向は【さよならごつこ】まで見られる)。以下の考察が参考になります。
そんな彼女の気持ちを無碍にしてしまった結果、少しは自分の感情を表に出せるようになった彼女は悲しさと怒りを露わにし、部屋に閉じこもってしまいます。バスでこっそり撮った写真しかプロデューサーとの思い出を残せていないのですから当然です。
2.何でも聞くこと、分かった気にならないこと
『こもれ 日』で泣き疲れ眠ってしまった凛世に対し、各選択肢でプロデューサーは次の様に独り言を言います。
gradで感情を出していい、といったにも拘らず彼女の好意や思い出を作りたいという願いを無碍にしたことを深く反省しての言葉です。
そして起きた凛世に対して次の様に約束します。
プロデューサーの「なんでも聞く」という決意の強さはコミュタイトルからも読み取れます。『こもれ 日』というタイトルと内容を見たとき、自分は天岩戸神話を思い出しました。太陽である天照大御神が引き籠る有名な伝説ですね。
あの神話では、楽しそうな外を見ようとした天照大御神を外に引きずりだしていましたが、本コミュでは泣き疲れて眠り、返事をしない凛世を心配してプロデューサーが自ら戸を開けています。神話では天照大御神が戸を開けるのを受動的に待っていたのに対し、プロデューサーは能動的に戸を開いているのです。
更には凛世の要望を聞いて蛍を見に行く最中、次の様に口にしています。
無論、初期の頃に伝えていた彼女の愛情表現を聞き逃した、という解釈もできますが流石にこの文脈でそんなこと言われたら冷めるので、自分は「凛世を分かった気になって、その本心を尊重しなかったことに対する後悔」と解釈しています。半分くらい自戒みたいなもんなんで、ここの解釈は本当にフィーリングです。
ともあれ、プロデューサーは「どんなことでも気になれば聞く」と宣言したことで、これ以降のコミュニケーションは大きく変化していきます。
3.【ロー・ポジション】のあらすじ
街のファストフード店で偶然学校の友達と間食をする凛世を見つけたことでプロデューサーは、凛世のアイドルじゃない時間の存在を意識します。
このカード、流石に【われにかへれ】を踏まえてるだけのことはあってプロデューサーは凛世のことをかなり気にかけてるんですよね。宴席で役に立てなかったと言う凛世に「大人の世界を怖がって欲しくないだけ」と言っていたり。上に書いた「アイドルじゃない時間を大切にしてほしい」というのも彼女のことを気にかけてることがよく伝わるのでとても好きです。
特に『春雪』が顕著です。お互いがお互いの事を思ってゆっくりと流れる時間が本当に好きです。
同様に、凛世も少しずつ感情を抑えなくなってきているため、明らかに喋り方が初期から変わっています(これ、流石に声優さんとアイドルがより一体化してきたための変化とかではなく、意図的にそう演技しているように感じられますね)。二人とも成長してんだワ。
ついでに、凛世がプロデューサーについていくだけではなく、共に隣を歩みたいという考え方になっているのも成長が感じられて好きです。
ローポジ好きすぎて全然関係ない話しちゃった…!
4.一人の少女/男性と向き合う
前に凛世といた友達がクレープを食べに行くと聞いて、プロデューサーは凛世がアイドルではない時間があるのだと気づいたことを打ち明けます。それは凛世から見たプロデューサーも同じでした。彼女も、プロデューサーがただの大人の男性である時間があることに気づかされます。
ここでちゃんと傍にいられることが幸せだ、って言えてるのいいですよね~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
grad前なら言えてないと思うので。
ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝ ン˝
すいませんでした。取り乱して。この後の間も良いんでみんなもっかい見て…
お互いがお互いの役職にとらわれない相手を見つめたのは紛れもない大きな一歩です。特にプロデューサーは大人である以上、ある程度線引きをするべきですし今までそうしていました。【水色感情】の蝶のシーンなどが顕著ですね。
しかし、ここで彼はその線を越えます。今までアイドル凛世のパフォーマンスという窓を通して見てきた少女凛世の感情を、明確にここで直接知ろうとしたのです。
④Landing Point
残すは凛世の成長だけです。gradで、彼女の中のアイドルとしての表現欲の存在を知った凛世ですが、その在り方はまだ見えていません。
1.あらすじ
ワンマンライブと同時並行でブランドの新作披露のミニコンサートへの出演をする凛世ですが、そのステージは圧巻のパフォーマンスをしたモデルに全て持っていかれてしまいます。
後述する幼いころの教育から、芸事は競うものではないと考えようとする凛世ですが、それでも「プロデューサーもあのモデルに魅了されていたのではないか」と思います。確かに「凛世のパフォーマンスの方が悪い、ということにはならない」と言っているだけで「凛世のパフォーマンスの方がよかった」とまでは言っていませんからね。そういう捉え方もできます。
で、こんな感じで真似してがおーってしてみたら、変わった舞踏家による特別レッスンが始まりました。あらすじだけ見たらちょっと面白いなこれ。
2.芸事、手段と目的
「サンカクになる」「マルになる」という漠然としたレッスンを凛世は必死にこなす中で、プロデューサーは凛世とちゃんと話す時間を作ります。
ここでちゃんとプロデューサーが、自分にできることは少ないという価値観はそのままに、それでも悩んでることがあったら聞かせて欲しい、って言ってるのちゃんと【われにかへれ】を踏まえてていいですよね。
ここで彼女は「自分が魅力的か」、更には、「あのモデルと自分のどちらが魅力的か」と聞いてきます。
そもそも彼女が芸事は比べるものではない、と言っていたのは母の指導によるものです。
幼い頃、姉が叱られている時に聞いた「小手先で目立とうとしない」「あなたが動くのではなく、あなたが景を動かす」という言葉の意味を幼い凛世は分かっていませんでした。そのため彼女は、叱られないために完璧なパフォーマンスをすることを目標として芸事やレッスンに取り組んでいたと思われます。「凛世は凛世、鍛錬あるのみ」という言葉は彼女が芸事を極めるべき目的として捉えており、その過程を比較することに意味がないと考えているゆえに出た言葉です。
ですがダンストレーナーに「綺麗なパフォーマンスだと言われることに捉われず、自分の気持ちに正直に欲しがる」ように言われたことで、表現者としての魅力の優劣をプロデューサーに問うています。凛世はここで芸事を何らかの目的、つまるところ自身の欲をかなえる手段であると捉えるように変化しています。
俗な例になりますが、例えば「英語を文字通り完璧にする」という目標を立てた場合、試験で95点だったから他の人よりすごい、といった評価は必要のないことになります。完璧を求める以上、常に100点を出すことが必要になるからです。ただ、この「完璧にする」というのはそれだけでは漠然としていてそこから先がありません。
しかし、「外国人のパートナーを見つけたい」「いい高校に行きたい」といった何かを求める欲があれば、その点数にも意味が産まれます。この場合、他の人より英語が上手い、というのは純粋にメリットたりえます。
ですが、gradでも強調されていたようにこの世界では受動的な欲は人を惹きつけるに足りえないとされています。「アイドルとして負けたくない」という感情は相手が存在しなければ存在しえない、受動的な欲です。上の例で言うなら「アイツよりいい点が取りたい」です。一番モチベーションにならないやつですね。
3.she、着地点と飛翔
では彼女が手にした欲とは何か、それがこれです。
どちらが優れているか問うた凛世は、その答えを遮ってこう言いました。
また解釈が分かれそうですが、自分はシンプルに「アイドルとしても、少女としても、プロデューサーに恋をさせたい」という欲だと思います。
最後の特別レッスンの課題は「空を飛ぶ」です。これは凛世が幼い頃に持っていた夢の一つのように描かれています。
「飛ぶ」は自由の比喩と考えられます。凛世は幼いながらに自由でいることを求めていたのだと思います、結構厳格なお母様のようですし(憶測入るからS.T.E.P.で凛世母との会話見せてくれ)。特に芸事は作法や所作などに厳しそうですし、そこに自由はないと考えていたのでしょう。
ですが舞踏家は手を突き上げるだけで飛んでしまいました。そこで彼女は舞踏家の言葉と母の言葉を重ねます。
ここ、同じ主語が3回も出ているので流石に同じ「リンゼ」でも違うものを意味していると思います(というか適当に読んでたら何言ってるかさっぱりです)。凛世がいま悩んでいるものがアイドルとしての欲であることから、ここで「リンゼ」が意味するのは少女凛世とアイドル凛世だと考えられます。ダンストレーナーの発言も踏まえれば、少女凛世の感情とアイドル凛世のパフォーマンスとでもいえましょうか。
また、凛世母の言葉と対応させると最初二つの凛世と最後の凛世は違うものを指すことがわかります。
これを踏まえて舞踏家のセリフを読み直すと、「パフォーマンスで魅せるのではなく、パフォーマンスで自身の感情を魅せる」と読めます。景、というのが見る側の光景ではなく、魅せる側の見ている光景と捉えれば辻褄が通るでしょうか。
ここでもあくまでパフォーマンスは手段であり、その最終目標は感情の表現であることが強調されています。
また、少女αとβがifの世界(gradの台本の結末)でお互いに完全になれずに終わったことをも踏まえると、この世界では反対に完全になれた、すなわちバラバラだった少女凛世とアイドル凛世の意思が一つになると思われます。一つになれたのはまずgradでプロデューサーが会いに来たからというのがありますが、更にステージ上で欲を魅せるためにパフォーマンスをしていいと朧気にわかってきたからでしょう。アイドル凛世として目的を探すのではなく、もともと自分の一部であった少女凛世の欲を魅せるためにパフォーマンスをしてもいいのですから。
今までの凛世は、母の言葉を「舞で感情を出してはいけない」と考えていただろうことが回想から読み取れます。
凛世より奔放そうな姉は嫌そうな顔をする様子もなく練習に励んでいました。これは母の言いたいことがわかっていたからでしょう。
確かに芸事は手段ですが、当然それが不完全であれば魅せたいものを100%で魅せられません。小手先で目立つな、あなたを見せるのではない、というのは、まず全身で完璧なパフォーマンスをできるようにしてようやく表現したいものを自由自在に表現しきれるようになる、という考えからきているのでしょう。「感情を表に出すな」というのではなく、「舞は教わった通りにやりつつも自分の感情を伝えるために舞え」といいたかったのだと思われます。
ですから凛世母は娘たちに厳しい指導をしていたのでしょう。いいお母様だ。
芸事の本質を知った彼女はようやく舞台の端に立てた気がする、と言っています。今までは無かった目的を持ったことで、ようやくパフォーマンスをすることが地に足ついたのです。
この気付きは、彼女がアイドルとして初めて舞台に足を付けた「着陸点(Landing Point)」であると同時に、これからアイドルとして羽ばたくための「離陸点」でもあるのです。
⑤最近(【さよならごつこ】から)
あ り え な い く ら い イ チ ャ イ チ ャ し て ま す
それはもうありえないくらいです。こちらが証拠写真になります。
凛世→プロデューサーの例
正味こっちは元からこんくらいくっつきに行ってたのでまあ…って感じですが
プロデューサー→凛世の例
【染光満月】の映像にこんなのがあるんですが、これも街や凛世の服に至るまで、凛世以外のすべてがほとんど灰色に映っています。プロデューサーから見えるくすんだ世界で凛世という色彩だけが光ってる感じがよく伝わってきますね。
プロデューサーもクソデカ矢印飛ばしてるの、流石に怖い…怖くない?
一応アイドルとプロデューサーだよな…?
⑥彼女の恋の行く末 ~【花は】を読む~
ここからはアイドル育成ゲームである以上、描かれることのない未来について考えていきたいと思います。前提としてお互いに想いを寄せてる前提で進めていきます。普通にオタクの妄言です(今までもだろ😡)。
まず、凛世についてです。
彼女は、プロデューサーとの今の不安定な関係を楽しんでいる様子が見て取れます。
例えば、『濡れて参ろう』では月形半平太を読む凛世との話が出てきます。殺伐とした討幕運動の最中、半平太らがどんな結末をたどるのかという問いに「知らなくてもよい」と答えています。
【杜野凛世の印象派】『たちきれぬ』で出てくるお香の話はバッドエンドを凛世が語って終わっていますが、精神的に成長した【ロー・ポジション】では結末を見なくてよい、すなわちどんな結末を迎えるとしても今を楽しみたいと考えているのでしょう。空が明るくなっている点を含め、少しずつ明るい未来へ進んでいます。
他にも、【さよならごつこ】『常盤』でコミュ名にもなっている常磐は、緑という意味以外にも永久に変わらないという意味を持ち合わせています。緑の簪は見つからなかっただけではありますが、彼女が緑ではなく赤を選んだのは、関係の固定化ではなく恋に迷い、変化する今を楽しみたいという心を暗示されています。
また、凛世は傍を離れることに対しても最近では前向きにとらえている節があります。無論、これはgradを経験したから、というが大きいです。
例えば、同じ寒さについて語っているこの二つでも、「傍から離れたくない」という考えから「離れることによってより関係性が深まる」という考えにシフトしていることが読み取れます。
ですから凛世についてですが、今の関係を楽しんでいること、離れる時間も大切だと考えていること、これを踏まえて彼女が「アイドルとしてもプロデューサーを好きにさせる」と決めた以上、自身がアイドルとして満足できるまではアイドルとプロデューサーという関係から進めることは一切ないはずです。距離が近づかない時間も大切だし、そんなあり方を楽しんでいるのだと思います。
次に、プロデューサーについてです。
彼もまた彼女の覚悟をLPで受け取った以上、アイドルの彼女を見守ることは容易に想像できます。
ここでは凛世が芍薬の花が咲くのを待っていたこと、芍薬と牡丹の違いについてが語られています。凛世曰く、芍薬は薔薇の香りがするとのこと。
薔薇の香りについてはグラビア撮影の打ち合わせの際、先方から一見するとおしとやかだからこそゴージャスな薔薇園に佇む凛世を撮りたい、と言われていました。他のディレクターからも慎ましやかだが、琴線に触れると言われていることから、これはLPまでで出てきたパフォーマンスと感情(欲)の話に対応すると思います。つまり薔薇=凛世の感情(欲)と読めます。ちょっとずつファンや業界の人にも見せられるようになってきてるのかな…
また、見分け方を伝える際に凛世が一瞬言葉を詰まらせる様子が描かれます。これは下に引用する感想にある「答えるのをためらった」というのが非常にしっくりきました。
ここも比喩だと解釈すれば、自分の中の感情、プロデューサーに好いてほしいという欲や好きだという想いを素直に伝えることを躊躇っている、今の関係からは進めたいとは思っていない、ということで上での考察と合致します。
そんな言葉に対してプロデューサーは芍薬だとわかるように覚えておく、と答えています。いつか彼女が自分でも納得いくアイドルとして花開き好意を伝えられる日が来る、そんな時にその言葉を聞き逃さないでいたいという彼の想いなのではないでしょうか。
⑦おわりに ~芍薬という花について~
長々ここまで読んでいただけた方はありがとうございました。散らかった文章だし、他の方ほど文学や思想の素養が無いので感想文っぽくて読みにくかったかもしれないです。
我が家で今年(2023)、芍薬を育てていたのでそれに絡めて少し。
芍薬の花ですが非常に蕾ができてから開花までが長いです。下に写真を載せていますが、我が家ではあの大きさの蕾から開花に1か月ほどかかりました。凛世が開花を心待ちにしていたのもよくわかります。
また、非常に多くの肥料が必要となります(冬、花芽形成期、花後の3回が多い、しかもめっちゃ入れる)。咲くのに多大なエネルギーを要するため1年目は咲かない(咲かせない)です。彼女のこれまでの苦心を思えば、まるで彼女のような花だなと自分は思います。
ついでに芍薬と牡丹の見分け方について一つ。芍薬の蕾だけ蜜が出ます。
開花する前から溢れ出る彼女の想いのようです。
巷ではシャニPの亡霊とか言われている我々ですが、それでも自分はプロデューサーとして彼女がアイドルとして羽ばたいていく姿を一緒に歩みながら見ていけたらと思います。最近の凛世のコミュでは、プロデューサーとの関係がメインでアイドルとどう向き合ってるかがあまり描かれていませんが、またgradやLPみたいなアイドルとしての話もまた見たいなあ、とか思ってます。S.T.E.P.はよ!