見出し画像

あの頃の私でいられているかな。

20歳の時、
大切な方が突然亡くなられた。

その方はお菓子作りが好きで、
普段は別の仕事をしていたのだけれど、
週末私の勤めていたケーキ屋に手伝いにきてくれていた。

お金はいらない。
お菓子作りが好きなのでお手伝いをしたいとその方が店を訪ねてこられた時、
店は人手が足りなくて
オーナーはすぐにオッケーを出した。

週末は結婚式場からのウェディングケーキやプチガトーの注文を承っていて、通常の業務も勿論忙しく、その方の登場は私たちを助けてくれた。

店の開店前からお昼までのお手伝いでいたが、その方とは作業をしながら色んなお話をしました。

お菓子の型の話や、好きなお店の話。

友人の結婚パーティのケーキを作らせもらうんですと嬉しそうに話されて、どんなケーキを作ろうかアイデアを出し合ったり。

お菓子作りに関しても、まだまだ技術や知識の乏しい私なりに、質問されたら何でも答えた。
その方のお菓子作りに対する想いがとても熱く、何でも吸収されていく姿を見てこちらも一生懸命に向き合いたかった。

暖かい陽ざしが気持ちの良い日曜日のお昼過ぎ、

「また来週も宜しくお願いします。」

「お疲れさまでした。」

と店を後にされたその方は、
その後もう会うことは出来ませんでした。

28歳。

なんて若いんだろう。

まだまだやりやい事、たくさんあったのに。

色々聴かせてもらっていたのにな。

告別式に行かせて頂きましたがその方を慕う生徒さんや親御さんの長蛇の列が、その方の人柄を現わしていました。

後日、ご家族が店へと挨拶に来てくれ時、

「よくヨシミさんの話をしていて、ずっとヨシミさんが憧れだと言っていたんです。」とご存命の際のその方の言葉を教えてくれました。

大したこと教えてあげること出来なかったのにな、そんな風に想ってくれていたんだなと、これから自分はどんな人間になりたいか、この言葉のお陰で考えるきっかけとなりました。

その方が亡くなった28歳までに
自分は何が出来るんだろう、

何かあるごとに考えて、

どうにもならなくてやさぐれた時、
悲しみの中から戻れなくなった時、

今、私はあの人が憧れてくれていた頃の自分でいられているかなと問い続けた。

もう会えないけど
存在や想いは感じることは出来て、

それは時に進む道を教えてくれたりもしました。

だから私が28歳の時、
今の店を作れたことは
その人のお陰でもある気がします。

時間が有限であることも、

次の日が来るなんて
誰にも保障されていないことも。

かなり真剣に考えていて、

色んな事があったけど、
きっとこれからもあるんだけど、


私は楽しむ為に生まれて来たって
思おうと決めたときから、
世界は優しくなったような気がします。

私が楽しんでいることで、
あの人も喜んでくれているかなと

最近またよく思い出します。

だから店の閉店に関して、
悲観的な声をもう聴くのを止めました。

そんな方々は、
まだ進みたくないのかなと思って、

またご縁があったら会いましょう。

一緒に楽しい未来を見られる方達と
作り上げる時間を大切に。

2021年の目標に掲げます。

いいなと思ったら応援しよう!