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宮下新知事とはじめての論戦――「100年先の青森」をみすえて教育を考えるためにも、教育の政治的中立性と行政からの独立が大事

宮下知事が就任し、はじめての県議会が始まっています。
県議にとっても、改選後はじめての定例議会となります。
開会日の昨日、副知事と教育長の任命について議案が審議されました。会派を代表して私が質問に立ちました。
私にとっては、宮下さんとのはじめての論戦でした。宮下知事にとっては、はじめての県議会での答弁となりました。

日本共産党県議団は、今回、副知事の任命と教育長の任命について、従来の態度を見直しました。
副知事についてこれまでは、知事の政治姿勢を補完する役割ということで判断し、その知事の政治姿勢が容認できないことをもって反対してきました。しかし今回、まだ新しい知事の具体的な姿が分かりません。分からないのに「容認する、しない」は言えません。人物評価として反対する理由はないので賛成しました。
教育長については従来、教育長という制度が教育の独立性を損なうものだという制度論をもって反対してきましたが、今回、それを見直しました。それは、行政から独立した教育委員会としての役割の発揮に期待するからです。ただし知事が、政治的中立性を軽視するのは困ります。そこで知事が教育委員会の政治的中立性をどう考えているのか、ということを確認し、態度を決めました。
知事からは「極めて大事だ」という答弁だったので、これを了として賛成しました。

新しい知事のもとでの新しい県議会です。
日本共産党は、宮下県政のとりくみの一つひとつを県民の利益にたって判断して対応します。最初から、「与党だ」「野党だ」という枠を決めて対峙するつもりはありません。
まあ、その姿勢自体は、これまでの三村県政と変わらないんですけどね。
その積み上げの結果、県政全体の評価はうまれてくると思っています。

昨日の質疑の録音をおこしたものを紹介します。
注意点は末尾に記しています。

【2023年7月6日 青森県議会】
〇吉俣議員
日本共産党の吉俣洋です。質問します。
議案第11号「青森県教育委員会教育長の任命の件 任命の考え方について」
提案されているのは風張知子さんです。教育長として適任だと判断した理由をお聞きします。
 
〇宮下知事
教育行政はわたくしが最も重視する分野のひとつであり、百年先の未来を描きながら取り組んでいくことが極めて重要だと考えております。
このため、新たな教育長には、全く新しい目線で教育改革に取り組んでほしいとの思いから、教職員としての経験の有無には関わらず行政経験のある方を選任したいと当初より考えてございました。
風張氏は八戸職員として40年あまりにも及ぶ豊富な経験と卓越した行政手腕を持ち、私自身もこれまで関わらせていただいた中で、改革をやり抜く力と子どもたちを育てる優しさを持った方だと感じ、この方であれば子どもたちの未来を見据えた様々な改革が期待できると確信し、教育長として提案をさせていただいたのでございます。 
 
〇吉俣議員
現行の教育長のシステムができたのは、2015年(平成27年)4月から施行された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」(改正地教行法)です。
同法第4条では教育長について、「人格が高潔で、教育行政に関し識見を有するもの」と定めています。同改正法の通知では、これは必ずしも教職員経験者と限らず幅広く考えていい、となっていますが、ともかくも「教育行政に関する識見」をもっていることは必要です。
教職員経験があるかないかに関わらず、知事は、教育行政に関する風張さんのどういう識見を評価したのでしょうか?
 
〇宮下知事
風張さんのこれまでの経歴を少しだけご紹介申し上げると、例えば八戸市のポータルミュージアムの館長ですとか、文化・スポーツ部長ですとか、新聞社メディアの常務をやられたということがございます。ミュージアムの開設準備室長や館長ということですから、生涯学習的な要素を含む行政経験をお持ちだということ。また、文化・スポーツ部長ということですから、文化とスポーツはまさに教育の一環でありまして、こうしたところにたずさわれてきました。また、新聞社の常務と言うことで、報道を通じて客観的に青森県内の教育行政について見られてこられたというご経験もあると言うことを踏まえての任命ですので、どうぞご理解いただきたいと存じます。
 
〇吉俣議員
分かりました。
わが党はこの間、この改正法にもとづく教育長の任命について、教育の独立性を脅かすという制度への評価をもって反対してきましたが、今回、この態度を見直すことにしました。
もともと改正地教行法の立て付けは、一般行政と教育行政の関係について矛盾した規定をもっています。すなわち一方では、教育行政に対する一般行政の関与を強める規定があり、その一つが「スーパー教育長」とも言われた教育長の新設です。しかし他方で、教育行政が一般行政から独立した権限をもつことを保障する仕組みもあります。この両面をとらえたうえで、賛否については、教育長を任命する知事の基本姿勢を確認して決めることにしました。そのひとつが、教育委員会の政治的中立性の担保です。
お聞きします。
地方教育行政の政治的中立性の確保について、知事はどのような認識をもっているでしょうか?
 
〇宮下知事
わたくしは地方教育行政の政治的中立性については極めて重要なものというふうに認識しておりまして、適切に確保されていくべきものと考えています。
その上で、県における教育学術及び文化の振興を総合的に推進していくためには、知事と教育委員会が地域の教育の課題やあるべき姿を共有して、それぞれの職責を果たしていくこともまた必要であろうかというふうに考えています。従いまして、総合教育会議における協議等を通じて、教育委員会と充分に意思疎通を図りながら、より一層民意を反映した地方教育行政の推進に私自身を取り組んでまいりたいと思いますので、ご理解を賜りたいと存じます
 
〇吉俣議員
「政治的中立性について極めて重要」「適切に確保されるようにしたい」という答弁でした。従って、これを評価して、私たちこの議案を賛成したいというふうに思います。
政治的中立性の確保がなぜ大事かと言うと、文科省にホームページに解説がありました。それは、教育というのが個人の精神的な価値の形成に直接影響を与える営みであり、この教育の中立性は、次世代における我が国の公正な民主主義の維持に関わる問題だと、されています。
知事から先ほど、百年先の青森と言うことがありました。百年先の青森ということと、文科省の方のように、次世代における我が国の公正な民主主義ということ、いずれも重なり合うものだと思います。その前提には、政治的中立性、あるいは教育委員会の独立と言う問題があると言うことを指摘しておきたいと思います。 
新任の教育長が、その自覚で責務にあたってもらうようにお願いします。
 
なお、もう一件の副知事の任命についても態度表明をしておきます。
わが党はこれまで、副知事人事について、三村県政を補完する役割を担うという点で反対してきました。しかしいま、宮下県政の具体の姿が分からないこの段階で、県政評価と一体に副知事人事の賛否を考える条件がありません。人物評価として反対する理由はありませんので賛成します。
以上で終わります。

【テープ起こしの注意点】
・この全体は、Wordのトランスクリプト機能を使い、それを修正しています。
・私の発言部分は原稿をもとにしてつくっています。
・正式なものは、今後、県議会HPに掲載される動画か議事録で確認ください。

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