残飯処理班EX
日本のフードロスは523万トンもあるらしい。
人々のために作られた食べ物はその胃袋へ入ることなく、どころか飢える者の手に届くことすらなく綺麗な残飯となる。
資本主義は多くの富や夢を産んだが、その弊害とも言える影は緩く伸びつつあった。
筆者の自宅にもその影が現れつつあった。
ごく単純な理由。
『口に合わなかった』
味付けを確認する間もなくほぼ強制的に上司から押し付けられた惣菜は、冷凍庫で呪物のように暗い存在感を放っていた。夕飯を思いつかず、かと言ってコンビニに頼るほどの資金力もない筆者はその呪物と向き合う他なかった。
幸いにも量はそれほど多くなく、手羽先を簡単に焼いたようなものだったのでレンチン5分でで準備は出来た。昨日の残りの玄米を傍に据えつつ筆者はそれを一口食べた。
「うん…。お…?………いやマズいなこれ」
普通にマズかった。近年食べた肉料理では確実にワースト3に入る。普通に素焼きのアオダイショウやヒキガエルの方がマシなレベル。
かと言ってどうしたものか…。このまま捨てることは簡単だが、トリコ全巻3周読んで食材への敬意が捨てきれない自分にとってそれは避けたい事態だった。
誰か…誰か「好き嫌いせず何でも食べてくれてお腹壊さないし文句言わないし片付けも楽にしてくれるやつ」がいれば……
そう、いるんです!!!!!!
我が家の生きるゴミ箱、
ゴキちゃんズ!!!!
筆者は中学生の頃からゴキブリを飼っている🪳
初めは爬虫類の餌用兼研究対象だったのだが、マイブームになったり増えたり減ったりで今は1000匹ほどが我が家で仲良く暮らしている。
種類によりけりだが、彼らはマジで何でも食べる。特に飢えてるとそれは顕著で、腐ったみかんをあげれば次の朝には跡形も無くなり、手羽先のガラをあげれば余肉はもちろん軟骨も食べ、骨は栄養を吸われ白骨になる。
我が家のフードロス問題は彼らのおかげでほとんど無いに等しい。
こんな腐りかけの人間の時代にも、受け皿となる生き物はいる。
その希望が社会を照らし、
一家に1群ゴキブリ飼育、オフィスにカフェにホテルにも。
そんな時代が来てくれることを願いたい。(え?別にいらない?まあキモいしね…)
以上、エビの尻尾はゴキブリの羽と同じ成分と聞いてからエビの尻尾を進んで食べるようになったヨーヨンでした。