"Feelin' Good"は続くよいつまでも
2024年8月24日、日産スタジアムで行われた藤井風のライブ"Feelin' Good". 幸運にも初日に参加することができ、同日に生配信された映像のアーカイブを、全く飽きることなくほぼ毎日見続けて&聴き続けている。実はライブに行くまで、しばらく風くんの音楽から遠ざかっていたのだが、ライブを経た今、改めてその魅力に取り憑かれている。ライブで観るとその曲がもっと好きになる現象はこれまでもあったけれど、その度合いが過去最高のような気がしている。風くんの音楽の魅力が最大限に引き出された、素晴らしいステージだった。
私はライブとなるとやたら記憶力が高くて、演出とか演奏の細かい部分を割とよく覚えているのだけれど、今回は連日アーカイブを観続けているため、自分の記憶の大部分が上書きされてしまったように感じている。でもあの日あそこでたしかに自分が感じたものがある。それを覚えていたくて、久しぶりにライブレポを書くことにした。相変わらず独り言多めの自己満レポですが、よろしければどうぞお付き合いくださいm(_ _)m
開演前
開演の約15分前に着席。スタンド一階後方、ステージの真向かいの席。スクリーンもよく見えるし、スタジアム全体を見渡すことができる良席。改めて会場の大きさと、観客の多さに圧倒される。事前にXでネタバレ把握していた中央の芝生ピアノを双眼鏡で確認。あそこの席の人たち羨ましい〜!キィ〜!でもここに来れただけで幸運なんだから贅沢言わない!と自分に言い聞かせ心の中で高速指パッチン。時折スクリーンに映し出される観客達。ウィンディーちゃんを掲げている人が映る。同行者の友人が、みんなのウィンディーちゃんが空に舞い上がって大きなひとつのウィンディーちゃんに…などと言い始めるので、じゃあ私も掲げるか、マイウィンディーを…とサコッシュにぶら下げていたウィンディーちゃんに手を伸ばすと…
…………ない。
ウィンディーちゃんがいないっ!パニックになりながら席の周りを探してみたがやっぱりいない。でもなくした場所の心当たりはある…。席に近い入り口に辿り着くまでに、かなりの人混みをかけ分けて歩かないといけなかったので、ウィンディーちゃんが取れないように気をつけていたのだけれど、最後の最後、入り口の奥に見えた景色に興奮して、早く席につきたくて急いで歩いてしまったので油断した…あの時人混みに巻き込まれて取れてしまったんだ…ああもう私のバカバカバカ!!!
しかしウィンディーロスでしょんぼりしている暇はない…まもなくライブが始まる!気持ちを切り替えて、友人と登場の仕方を予想してみる。多分真ん中のピアノに行くよね、でもどうやってあそこまで行くんだろう。地下道なんてないよね?まさか客席の間を歩く!?アリーナ後方にテントがある。あそこから出てくるんじゃない?HEAT神戸のサプライズみたいにまさかサックス持って登場!?などと話しながらその時を待つ。
オープニング
定刻になってもライブは始まらず。友人と一曲目予想などをしていると、ランドリンのCMのあと、映し出された客席に風くんが座っている!驚きの映像に「えっえっどーゆーこと!?」と混乱していると、違う服を着た風くんがピッチに登場する場面に切り替わり、さっきのは何だったの!?と頭の処理が追いつかない!そうこうしてる間に風くんは客席の間を通りピアノへ。
いや、ちょっと予想はしてたけど、まさかほんとに客席入場するとは…この規模で…柵も何もない中で。
summer grace
驚きと感動ですでに胸がいっぱいになっている中、美しいピアノの旋律がスタジアムに響き渡る。free liveの始まりを思い出さずにいられない演出に、友人と手を取り合い泣く。時に優しく、時に力強く奏でられるgraceのメロディー。このピアノが大好きなんだ…。free liveのあの日から、ここに来るまでの3年間を想う。あーなたにあえてーよーかーあーったー😭
ジャジャジャジャッジャージャッジャッジャジャジャジャッ
リズミカルな和音の連打。一層強くなる打鍵に胸が高鳴る。いよいよ始まる!
スクリーンにfeelin' go(o)dのMVの衣装を纏った巨大な風くんの姿が映し出される。幻想的なSEが流れる中、呪文を唱えるような風くんの声を聞いていると、まるで魔法をかけられているような気持ちになる。ここはカゼーズワンダーランド?テーマパークでアトラクションが始まるのを待っている時のようなワクワク感…一体どんな世界に連れて行ってくれるのか…期待で胸がはち切れそうだ!
feelin' go(o)d
風くんがステージに上がると、ライブのタイトルでもあるfeelin' go(o)dから幕を開ける。ダンサーさん達のミュージカルのような動きが楽しい。ラスサビではダンサーさん達に合わせてノックノックダンス。一緒に踊るの楽しい〜!
花
エガちゃんのポーズを決めるとそこから沈黙の数分間。え?どーした?まだ動かない。長いよwマイケルなの?などと友人とツッコミを入れているうちに、花のイントロが始まる。こちらもライブ初披露曲。間奏のTAIKINGさんのギターがエモくて切なくてたまらん!ダンサーさんのキレッキレのダンスに釘付け!
「あちいのにほんまにありがとう。」
第一声。やっぱりそこ、気にしてくれてたよね…優しいな。友達に語り掛けるような口調にほっこり。心の距離が一気に近くなる。"let me hear your voice"(みんなの声を聞かせてほしい)というMCののち、ガーデンのハミングを促す。7万人のんーんーんー。beautifulいただきましたっ!風くんに褒められると嬉しいな。でもけっこう長いなんーんーんー。
ガーデン
音響の問題か、現場ではコーラスの声があまり良く聴こえなかったのだけれど、配信アーカイブを見たらその素晴らしさに感動!原曲のデジタルクワイヤちっくな厚みのあるコーラスも好きだけど、ライブにおいてはやっぱり生の歌声が良い!おふたりのオーガニックで温かみのある歌声が、太陽が植物を照らすように、演奏に柔らかなエネルギーを与えていたように感じた🌱
特にない
お久しぶりの特にない!4拍目で指パッチンorクラップするところを、2拍目でも音を鳴らしてしまう人が多くて、それをシーッて止めて、正しいやり方に導く風先生の手腕よ!7万人のclap and snap. みんなのネガティブな気持ちがスタジアムの空に消えていく…
指パッチンしながら、無くしてしまったウィンディちゃんのことを考える。大好きだったウィンディちゃん。まだ数週間しか一緒に過ごせていないのに…でも帰ってこない、それでも私の大好きなwindy…(突然の花花)
さよならべいべ
ちょっと、会いに行きます。といってガレージで腰に何かを巻きつけた時はいよいよ空を飛ぶかと思ったよね!ワイヤーあったっけ!?と思わず上空を確認してしまった。しかし結果はチャリで来た!風くんがステージを降りると、アリーナ席を移動する人の波が…大丈夫なのかと冷や冷やしながら、近くに来てくれるのを待つ。音ズレとか色々あったけど、ひ〜れぇスタジアムで少しでもみんなの近くに来ようとしてくれる、その心意気に感動!
interlude
暗転。クールなビートに合わせて点滅する照明。"where've you been, I've been looking for you, you, you"繰り返されるフレーズがきらりのサビの英詩だと気付く。このあとはきらりだな!どんな服に着替えるんだろう、とワクワクしながらビートに身を委ねていると、スクリーンにジャケット姿の風くんが突然現れる。ジャケットをゆっくり脱いだり振り回したり…。こ、これは、レイバンタイム再び!私はレイバンタイムは爆笑してしまった派なのですが、友人はブッ刺さり派だったので、思わず「こーゆーの好きでしょ?」と確認w私は「またかっこつけてんな〜w」と笑いながら眺めていたのだけれど、風くんが車に乗り込んだ瞬間、あれ、私も好きかも…ってなって、最後の目線にやられた…
しかし、風くんの声って本当に唯一無二のカッコ良さがあるな…。SE的な使われ方をしても、声の存在感がすごい。あの日からずっと脳内で鳴り続けてるキャスティンコー…
きらり
始まりましたきらり!もう無条件に盛り上がる、ライブの定番きらり!みんな大好き、きらりや!そういえばきらりといえば間奏で地名を言うのがお決まりだった気がするけど(よこはま〜たそがれ〜とか、よよぎ〜ふぁいなる〜とか。パナスタの時はすいた〜すいたすたじあむ〜って言ってたな)今回はなかったな…。こなれたソロダンスに見惚れてしまい気付かなかった。ダンサーさんとの椅子ダンスもかっこいい!というか、ヘッドセットのマイク使うの初めてだよね?今まで手持ちマイクで歌いながら踊っていたのに…ついにここまで来たか…!あれだけ激しく踊っても一切歌声がブレない。どれほどのトレーニングを積み重ねてきたんだろう!あっぱれ!
キリがないから
懐かしいイントロが流れ一気にテンションが上がる!お久しぶりのキリがないから!すっかりレア曲になってしまったけど、広い会場に映えるだろうなと思っていたので演ってくれて嬉しかった!スクリーンには巨大なアンドロイド、その下で踊る風くんのロボットダンスもキレッキレでびっくり。いつも割とよくカクカクした動きしてるけど、それとは明らかに違うキレの良さ。「未開の地〜」のロングトーンのフェイクがめちゃくちゃかっこいい!
燃えよ
冒頭のアカペラで燃えよだとすぐに気付く。そしてスクリーンに巨大風再び。黒髪オールバック!?金髪ゆるふわヘアーとのギャップに混乱する。双眼鏡で風くんの姿を確認していると、サビに差し掛かったところで友人が爆笑しながら肩を叩いてくる。なんだなんだと顔を上げると、巨大風の顔が半分出ている。あ、MVの再現したのね!と気付く。こちらアーカイブでしっかり爆笑させていただきました!
途中の爆イケダンスタイムはアーカイブ見すぎて初見の記憶がないwでもライブが終わってその日のうちにアーカイブ見に行ってスクショした記録が残っているので、かなり強く記憶に残ったパートだったのだと思われる。燃えよの真ん中にショルキー以上の見せ場を持ってくるとは!ライブ映えがすぎる!
「ちょっと座って休んでええで」
ゆる〜いMCに心が和む。
風よ
初めて風くんのピアノと歌声を生で聴いた3年前のホールツアーで、一曲目だった思い出の曲。あの時と何にも変わらない気持ちで…というMCが嬉しかった。「暮れる…」それを聴いた瞬間、初めて生で歌い出しを聴いたときの心が震えを思い出す。(そのあと歌詞が飛んだのは驚いたけどw)スタジアムの空の下、夏の夜の心地よい風を感じながら、美しいピアノと歌声を堪能する至福の時…
ロンリーラプソディー
これまた野外の夜にぴったりな選曲…。二番に差し掛かると、スクリーン上の風くんがピアノを離れふらふらと歩きだす。でもステージを見ると、風くんはピアノの前に座ったまま…。頭の理解が追い付かずしばし混乱。君は誰なの?僕は君だよ??登場シーンといい、トリッキーな演出が多いなぁ~。
アーカイブを確認したら、サビのコーラスワークが素晴らしくて聴き惚れた!三声になったり、Emoh LesさんとARIWAさんが交互に歌ったり…孤独に寄り添うような、癒してくれるような、温かな歌声が耳に心地よく響く。
死ぬのがいいわ
湘南乃風のカバー「恋時雨」。知らない曲だったので、一瞬新曲かと思った!ピアノの弾き語りがじっくり聴ける時間があるのが本当に嬉しい。そしておなじみのティロリロリロリン…死ぬのがいいわのピアノリフが始まる。LAAT以降の死ぬのがいいわは歌い出し直前のドラムの入り方が好きなのですが、佐治さんはどんな風に叩くのかな?とそのパートに集中…「ドツドツクドッパン」く~!やっぱりかっこいい~!
しかし赤い。とにかく赤い。真っ赤に照らされたステージの後ろで、スクリーンに映し出された巨大な満月が不気味に輝いている。死ぬのがいいわを歌ってる時の風くんはもはや役者ですね。床に這いつくばり、絞り出すような声で"I always stick with ya my baby"を歌う時の表情よ…
interlude 2
ダンサーズのソロの時間。トラックがカッコよくて立って踊りたいところだけどみんな座ってるから踊れなくてウズウズ…そうこうしてる間に、バンメンさん達の渋〜い演奏が始まる…そして聞こえてくるサックスの甘い音色…キターーーーーー!!ガレージの奥からキターーーーー!!サックス風キターーー!!!いやいやいやスーツにサックスはいけん!!!色気が限界突破してしまうー!!!!
Workin’ Hard
色気に圧倒される中、高らかに鳴り響くサックスの音にWorkin' Hardのイントロのビートが重なる。なるほどー!Workin' Hardといえばサックスだもんね!こうくるかー!かっこよすぎぃー!!!
スクリーンに映し出される巨大なツナギ風。もうここからはこの映像に釘付け。アーカイブで確認したら、演奏もダンスもめちゃくちゃかっこいいのに、ライブ中はおっちょこ工場長の姿に爆笑していた記憶しかないw山田やりすぎだろー!もうちょっと演奏に集中したかったな…
damn
TAIKINGさんの軽快なカッティングギターが始まる。まさかこーれがdamnになるとはな(アァアァアァアァアァア)間違いなく私の中ではこれがベストアレンジで賞!!最後もベスト変顔で賞!!大優勝!!!
旅路
このアレンジは驚いた!パンクロック旅路!学園祭旅路!楽しすぎる!ということで無我夢中で踊りまくった!
満ちてゆく
ライブで聴くのをとても楽しみにしていた曲。ステージの端に腰かけて、優しいギターの音色と共に、しっとりと歌い始める風くん。スクリーンに映し出された夜空に流れ星が流れる。途中、東スタンド側のお客さん達がスマホのライトを掲げ始める。ちょっとずつこちらにも広がってくる。私も慌ててライトをつけて掲げる。スタジアム全体が無数の光に満ちてゆく…風くんの目にはこの景色がどんなふうに映っただろう。
最後は風くんが墓石のそばに横たわり、長い沈黙。すると友人が「青春病?」とつぶやく。その次の瞬間青春病のイントロが!「すごい!なんで分かったの!?」と聞くと、ライブの時青春病の前に倒れてることが多いから、とwたしかに。私には全く思いつかなかった!いやさすがです!
青春病
MVの世界観を再現したような演出がエモい。野ざらしダンスを一緒にした瞬間、私も登場人物のひとりになれたような気がして胸が熱くなった。ラスサビ後、マイクスタンドにしがみつくようにしてコーラスを歌う風くん。最後のAhは声を出すのが本当に苦しそうで…それが演出の一部のようで…でもすごくリアルで…。青春のきらめきも、もがきも、苦しさも、儚さも…すべてが表現されたステージだった。
「青春もあとちょっとで終わります、このライブも」
楽しくてあっという間で、終わりが来ることが信じられない。ダンサー&バンメンさんの紹介の後の、多幸感に溢れた"I love you so much you guys"を聞いて、胸がいっぱいになる。
何なんw
そして始まるみんな大好き何なんw!グルーヴィーで、ちょっとおどけたような、リラックスした歌い方が良い(ちょっと音外れてたけどw)バラベレンは巻き舌全開のオラオラ系でこれもまた良い!みんなで声を出せる幸せを噛みしめながらこの日一番の大声で「なんなん!」を叫ぶ。
最後のMC。「ポジティブなパワーを持ち続けて、それをこの世の中に一緒にシェアしていくことが一番大事なんで。うちら仲間として、そこんとこよろしくお願いします」
ライブを通してずっと感じていたこと。それは私たちは「仲間」だということ。ステージと客席の物理的な距離が遠くても、心の距離が近くに感じられていたのは、風くんが私たちを友達のように思い、接してくれていたからなのだと思う。
大好きな友達の頼みなら、もちろん聞くし!任せてね!そんな気持ちになる。
「次の曲やらんと、俺らの夏終わらんくね?」
突然のギャル風登場。夏と言えば…あれ!まだやってなくね?
まつり
祭り囃子が始まる。なんじゃこの最高のアレンジは!いい仕事してくれるじゃないか、パーカッションふくおかたかしくーーーーーーーンヌ!!!!
「レッツディエーーーーンス!」
風くんの掛け声で篠笛パートが始まる。今年最後の盆踊りを全力で踊る。7万人のうーうっ、あっあーい。圧巻の景色だった。
最後の打ち上げ花火が終わると、チャリにまたがりもう一度アリーナを回りながらあいさつに来てくれる風くん。最後の最後までありがとう!
風くんが舞台をはけた後もバンドの演奏は続く。ヤフさんが「もう一周行こう!」みたいに手を回している。終わってほしくない…。でも、こんと思った時はすぐに来た。ヤフさんが締めの合図を送り、演奏が終了する。
こうして幕を閉じた"Feelin' Good". その名の通り、ひたすらfeelin' goodな時間だった。かつて「誰かがちょっといい気分で人生を送れたりするために音楽をやっている」と語っていた風くん(注:1)。いつも「いやいやちょっとどころじゃないよ!」と思うのだけど、今回もそう。ライブが終わってからもずーっとfeelin' so good!な時間が続いている。
風くんが伝えようとしているメッセージはずっと変わらない。でも、その伝え方が、どんどん軽やかになってきているのを感じている。それは最近の歌声からも感じるし、今回のライブの雰囲気からも感じられた(本人もインタビューで『「まつり」以降の自分のマインドとして、脱力がキーワードになって』いると語っていた(注:2))自分のライブでもあり、お客さんのライブでもあると言い、みんなで楽しもうと呼びかけ、そして風くん自身がリラックスして、ライブという場を心から楽しんでいる。それを感じたからかもしれない。と同時に、あれだけの拘りの詰まった圧倒的なショーをやり遂げるのに、どれだけの努力やプレッシャーがあっただろうとも考えずにはいられない。
さあ、次はアジアツアー。残念ながら現地参加はできないけれど、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。その進化の続きを、ファンカム越しに目撃できることを今から楽しみにしている。そして私もまたいつか、ライブで風くんに会えますように!
注:1 2020年9月22日放送 報道ステーションより引用
注:2 billboard JAPAN<インタビュー>藤井 風に導きを与えた“第三のデビュー曲”「Workin' Hard」ができるまで、より引用