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ウィル・スミス ビンタ事件を見て思ったこと

アカデミー賞での一幕が物議を醸している……のだろうか。

映像を見て思ったことは、
ウィルはマジで怒っている。
ウィルの奥さんはマジで不快な表情をしていた。
司会のクリス・ロックは自分では面白いことを言ったと思っている。
セレブばかりのギャラリーの反応は分かれている。

ウィルは映画のワンシーン(演技)のような平手打ちを食らわしている。(食らった側はあまり痛そうではない)

これをどう捉えるかはかなり分かれるのではないだろうか。

しかし、そこにその人の価値観が透けて見える。

自分はどう思ったか。
ウィル・スミス最高。

これは色々な側から主張が可能だと思うし、この一事だけを扱っても映画が一本撮れるのではないかと思う。
それだけ物凄いドラマがあると思う。
もちろん、その後の展開も含めて今後どこに落ち着くかでそのドラマは広がっていく。

この事件は単純なのに、ポリコレ的に複雑にしてしまっているに過ぎない、と自分は思う。
それだけ窮屈な世の中になってしまっているというのが現代のつまらなさなんだと思う。

ウィルがマジで殴打したなら別だが、ほぼノーダメージのような張手で、映画のように食らわしたのは粋にすら感じた。

笑いのネタにしていいことと悪いことがある。
しかし、笑いとは実は残酷で、人の容姿や出自や障害をネタにすることが無差別の観客に対し優越感を喚起するので、負の笑いとして成立してしまうところがある。
それこそが普遍的で、人間の残酷性を物語っている。
それは文学の世界では十分描かれてきたし、それを踏まえれば場をわきまえて使うべき笑いのネタだと思う。
公共の、しかもアカデミー賞という世界が注目する舞台で使用する類のネタではないだろうと思うが、それも時代がある。
現代でそれがまだできるのだとしたら、アカデミー賞とは何なのか、が問われる。
アメリカの笑いについては分からないので何とも言えないが、差別はそう簡単に是正されないし、本質的には人は差別するものだから無くすことは無理だと思う。

今回の件で問われるのは、あのジョークは有りか無しか、だと思う。
ウィルの行為は抗議のパフォーマンスレベルで暴力とは言えないと思うし、それを暴力として語ってはいけないと思う。
彼は色々なことを鑑みて自らの行いを否定してしまったが、それは間違いだと思う。
ボコボコにしてしまったら別だけど。

念願のオスカーはく奪を恐れて否定してしまった、それもまた、弱さなのかもしれないけど。
どうせなら最後まで貫いて欲しかった。
権力とはそれほどまでに人の信念を砕くものなのだと、思い知った事件だった。