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DREAM THEATER『Parasomnia』続き

先日、深い意味もなくドリームシアターの新作の第一印象の記事をアップしたところ、驚くほどのアクセスがあってびっくりしました。
noteは会員でなくても記事を読めますし、グーグル検索でも表示されたりしますので、そいういうところから流入があったのかもしれません。

個人的にはこのアルバムをやや批判的に書いていますので、気に入っている人の中には不快に思う人もいるかもしれません。
が、私は思ったことを書きたいと思います。

あれから繰り返し聴きながら感じたことを書きます。
私は自分でも曲を作り、アレンジを行い、ミックスからマスタリングまでするので、どうしてもクリエイティブ寄りの観点が多くなってしまい、より個人的な好みが多分に含まれてしまうことをご了承ください。

曲の良し悪しを決める要素として、「曲」の良さは一番にあるのは言うまでもありませんが、次にミックスの”性質”が大きいと常々感じています。
それは私がミックスを本格的に行う前でも感じていたことです。
Deep PurpleやRainbowのミックスが悪くて萎えた話はどこかで書きましたが、その特徴としては”籠り”と”レンジの狭さ”があると思います。

ミキシングエンジニアにとって、ヘヴィでダークで低音多様の音楽における”籠り”の問題は避けて通れない課題と思います。
昨今の機材は優秀で、昔とは比べ物にならないほどクリアな音を簡単に作れるようにはなっています。
しかし、クリアになったことで逆に際立つのが低音処理の難しさだと思います。
このバランスがとても難しい。

今回のドリームシアターのアルバムで私が気になっているのは、このエンジニアの特徴でもある、バスドラムのペタペタ感とドラム全体のレンジの狭さです。
レンジは音域や空間の広がり具合とでもいいましょうか、せっかくポートノイが復帰して素晴らしいドラミングをしているのに、このミックスによってその魅力がかなり落ちてしまっているように聴こえるのです。
一定のパターンで突っ走る曲ならいいのですが、ドリームシアターのように緩急や歪みとクリーンが入り混じったり、他の音楽ジャンルの要素が入った音楽において、全てにマッチするミックスではないと思うのです。
でもそれは、ドリームシアター自身がプログレメタルというジャンルに自ら落とし込んで制作し、メタルユーザーをターゲットにしていることから、商業的に仕方がないことだと割り切る必要もあります。

古参のファンはメタル色が前面に出ることは、ドリームシアターの音楽性を低くしてしまっている、と感じていた人は多いと思います。
マイク・マンジーニは、メタルドリムシに見事に応えたドラマーであったと思います。

なので「アウェイク」や「フォーリング・イントゥ・インフィニティ」の多彩な作品を好む人にとってこの方向性は残念に思っていると思います。

ということで、今作の目玉でもあるマイク・ポートノイのドラムが、かなりチープに聴こえてしまうことで、曲の良し悪しよりもそれが気になってしまった、というのが初期の感想だったと思います。

私は「トレイン・オブ・ソート」のようなガチなプログレメタルも好きなので、今回の曲のレベルは及第点以上だと思います。
しかし、やはりミックスは好みではない、としか言えません。
CD、ブルーレイのハイレゾであっても大元は変えられません。
このドラムミックスは”個人的”に残念です。

とはいえ、これは時間もあまりない中で、マンジーニ時代の方向性で一度ポートノイで作りたかった作品、として受け入れ、次回作に期待したいと思います。

来日したら恐らく行くでしょう。
ライブの音は別ですから!