ホセ・ムヒカさん
『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』
タイトル長い!
このドキュメンタリー、というには少し異質な作品は、私が大好きなエミール・クストリッツァが監督。
え?
そう、映画があるのは知っていたが彼が監督だったとは観るまで知らなかった。
さて、この作品は70分程度の短いドキュメンタリーで、ムヒカさんの人生をがっつり描こう、というスタイルではなく、何というかムヒカの庭みたいなところで、クストリッツァとふたりで談笑している中に色々なシーンが挟みこまれている。
南米ならではのラテン系音楽をふんだんに流しながら、ムヒカさんの人物像に迫る。
恐らく、この映画を観る人はムヒカさんについてある程度知っている方を対象としている。有名な方なので、それでいいのだと思う。
大統領の職を退くムヒカさんを、思い出と共に愛でる感じだ。
革命戦士でもあったムヒカさん、死線を何度も超えた人間の笑顔はとても重たい。この笑顔を得るために何を犠牲にしてきたのかを知ると、重いのだ。
弁士としても数々の名言を残すムヒカさん。
映画の最後で述べる言葉から印象に残ったのはこれ。
人類に必要なのは、命を愛するための投資だ
社会主義の達成が想像以上に難しかったと述べているが、資本主義の暴走がもたらす現代の悲劇をみるに、暗鬱な社会主義ではない、ムヒカさんが唱える理念がこれからも必要だと思う。
権力者が庶民と同じ生活をする、という単純な行為が、パフォーマンスではなく彼そのものを体現しているから圧倒的に人気があったのだと思う。
彼のような人は稀だろう。
そんな、単純ゆえに最も難しいことをできる人は貴重なんだと改めて思った。