
ジャンプの野球漫画「クーロンズボールパレード」打ち切りへ
私は無類の野球好きで、プロ野球観戦以外にも、野球漫画を読むのも好きです。
そして今回、週刊少年ジャンプに連載されていた野球漫画「クーロンズボールパレード」という作品が全20話で打ち切りとなりました。
ジャンプと野球漫画の相性は何故か悪く、「ミスターフルスイング」を最後に「スモーキーBB」、「バディストライク」に続く3作連続で打ち切りとなっています。
実はTwitterでもこの作品のアカンかったところを考察したツイートをしましたが、こちらにも掲載します。
そもそもこの作品のおおまかなあらすじですが、名門校のセレクションに落ちた主人公が、かつての名門校であり今では落ちぶれた黒龍山高校にスカウトされ、野球部を復活させ甲子園を目指すという話です。
では何故打ち切りになってしまったのか考察した結果、以下の5点になります。
・作品の設定が根本的に駄目
・話の根本を破壊した展開
・主人公の存在感の無さ
・監督が不在
・試合描写が薄すぎる
①作品の設定が根本的に駄目
今回のクーロンズボールパレードという作品は、名門高校のセレクションに落ちた主人公が、元名門の落ちぶれた黒龍山高校にスカウトされ野球部を建て直し甲子園を目指すという話でした。
話の根本としては全く悪くありません、ただ一番の問題なのが野球部を0から再建する展開にしてしまった、チーム作りが作品の根本になってしまったことです。
まず1話でセレクション落ち、2話で黒龍山にスカウトされるという展開は全く悪くないのですが、3話で実は野球部はまだ0人だったこと、4話以降は選手のスカウトという展開になり、いつになったら試合すんねんという流れになってしまいました。
また、スカウトする選手も名門校が敬遠した有能選手を集めるという根本は悪くなかったのですが、そのスカウトというのもありきたりな展開でした。
それが一人目スカウトとなる、消えた天才スラッガー剣の話です。
剣が野球を辞めた理由は父が倒れた代わりに実家のおもちゃ屋の経営をしないといけないからで、剣自身はまだ野球に未練があること、さらに剣と対戦し野球への想いを再燃させるという良く言えば王道、悪く言えばありきたりな展開でした。
これを4話~7話にかけて展開されますが、ジャンプにおいてはこの展開はあまりにも遅すぎました。
ちなみに魔女の守人でも4~7話にかけてゲン様戦が展開されます。打ち切り作品は序盤の展開が遅すぎないといけない縛りがあるのか!?
また、剣の話についても完全にアイシールド21の武蔵の話とだだ被りだったというのも評価が低くなった原因ではないでしょうか。
まず売れるスポーツ漫画は殆どと言って良いほど、最初からチームができており、そこに主人公が加入するという展開が多いです。
チームができているメリットとしては、先輩キャラを出せたり、チームの過去の因縁の相手を出せたりと話が広げやすくなります。
とくに先輩キャラというのは作品の柱とも言える第二の主人公とも言え、アイシールド21のヒル魔や火ノ丸相撲の部長等がいます。
だがクーロンズについては先輩キャラがいなく、0からのチーム作り、さらに野球という競技は9人いてようやく試合ができます。
主人公の小豆さんと相棒となる龍堂の他にあと7人、さらに剣の話に4話を費やす。
さらに有能な選手をスカウトという軸なので、他の選手はモブキャラにしていては話の根本を破壊するので、一人一人を描写させないといけない
剣のペース、一人4話でいけば、仲間が揃うまでに最低28話
、28話となると28週間、つまり仲間集めに最低7か月も費やさないといけません。
新連載の野球漫画が7か月も試合をせずに仲間集めだなんて許されるのか!?
読者にとってはまだスカウトするのか、いつになったら試合をするのかという思いが強くなりすぎました。結論からもう作品の根幹の設定をミスっていました。
②話の根本を破壊した展開
剣の次も傲慢な天才ショート椿の話に数話費やし、あまりのスローテンポを指摘されたのか木戸、虎本、セカンドの子と今までスローテンポが嘘だったように次々と仲間が加入
しかし黒龍山に入学した時点ではまだ野球部は7人、この時点で9人の異能を集めるという設定が崩壊気味でした。
だが突如としてあからまさなモブ部員が3人加入、内一人は野球未経験、9人の異能のはずがモブ部員を加入させてしまったことにより、これまでのスカウト話の展開が崩壊
つまり、作者自身が今までの展開を否定してしまったことになりました。
こんな展開にするくらいなら、始めからかりんが先輩キャラ含め、多くの異能の選手を集めておくべきでした。
もはやこの時点で打ち切り宣告を喰らっていたのでしょうが、この展開でクーロンズという話は崩壊しました。
③主人公の存在感のなさ
主人公は頭脳派捕手ですが、剣、椿のキャラが濃すぎて主人公が不在でも問題ない展開が続いてしまいました。
実際に剣は天才スラッガー、椿は天才ショートとこの二人が主人公じゃないのかというくらい作品の柱となっていました。
これは剣、椿の加入に彼らの背景をしっかり描ききった賜物ですが、じゃあ主人公の小豆さんはというと、頭脳派捕手というだけで、試合で活躍するような目立った打力はありませんでした。
他の野球漫画でも有名な捕手のキャラはいます。
ドカベンの山田、MAJORの佐藤、ダイヤのAの御幸
皆、打撃が化け物クラスです。
現実とは違い、漫画である以上は打者と対戦するのは投手であり、投手の思考、打者の思考が注目されても捕手のリードが目立つことはほぼありません。
さらに紅駒戦では追い討ちをかけるかのように、データキャラなのに3回戦の紅駒の情報を持たない、捕手なのに肩は強くない、リードもありきたりな配球…
とこれでもかと主人公の株が下がってしまいました。
頭脳派捕手という主人公でしたが、結局は他作品でいうデータに心酔するモブキャラという立ち位置に成り下がってしまいました。
④監督や顧問となるキャラが不在
もはや意味が分かりません。監督キャラといえばスラムダンクの安西先生という最も有名かつ名言を生み出したキャラがいます。
他にもダイヤのAの片岡監督、ハイキューの武田先生、火ノ丸相撲では監督が主人公の同級生の辻、アイシールド21は監督キャラが不在ですが、トレーナーの溝六先生がいます。
他作品にもあるように、それだけ主人公らを支える素晴らしいキャラとなるのに、それすら放棄する。
一体この作品が何を目指しているのか分かりません。
⑤試合の描写の薄さ
夏の甲子園予選の1回戦をダイジェストで、2回戦に至っては試合結果を1ページで終わらせてしまいました。
これについてはおそらく打ち切り宣告を喰らってしまったのが原因でしょう。
また紅駒戦の試合中の流れも手垢が付く程、どこかで見たようなありきたりな展開でした。
全20話中、黒龍山としての試合が4話だけしか描かれていないのは残念です。
仲間集めをする目的は試合をするためです。その目的が描ききれないのでは何のための仲間集めだったのか。
またその仲間の活躍もほぼ描ききれなかった。一体何の漫画なのか分かりません。
結論、数ある野球漫画と比べたら、突出することなく、かなり低いレベルに小さく落ち着いてしまった作品でした。