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連載2話目でネット炎上!?ジャンプの伝説の打ち切り作品「魔女の守人」とは?
皆さんは「魔女の守人」という作品を知っていますか?
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魔女の守人とは、作者坂野旭先生により、週刊少年ジャンプで2020年第10号から同年第29号まで連載されていた作品です。
この作品自体、ジャンプ特有のアンケートが伸びず、全19話で打ち切りなのですが、実はこの作品、2話目にしてネットで物議を醸すほど炎上してしまった作品なのです。
そもそもこの作品がどのような作品なのか、ジャンプ公式サイトから引用すると、
人類に襲い来る異形の敵、〝魔〟(イビル)を撃退するのは人知を超えた力を持つ存在、〝魔女〟の役目であった―。
対〝魔〟の最前線軍事拠点、バーン市国の魔女・マナスファと、その護衛となった市国最強の騎士・ファフナに降りかかる厳しき運命とは―!?
魔女と騎士のダークファンタジー、開幕!!
という作品紹介がされています。
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この魔女ですが、実はある秘密があり、
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上の画像にもあるように、魔女とは、3000人の12歳の少女を犠牲にして後天的に造られる存在で、さらに生き残ったとしても、魔法を扱う代償にイビルの魔子に身体を蝕まれ、いずれ魔女そのものが魔(イビル)という怪物になってしまいます。
そのため、魔女の護衛であるファフナに対し、バーン市国の司祭からイビル化の兆候が見られた魔女マナスファの抹殺の命令に背き、魔女マナスファと、魔女の従者ナータを連れて3人で国外へ逃亡、マナスファを最後の魔女にするため、全ての魔女を人間に戻すというのが、この魔女の守人という作品の話になります。
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ここまでが1話の話であり、2話についても外壁に囲まれたバーン市国から城壁を越えて国外逃亡するという内容で、内容だけなら炎上する要素は皆無です。
なのですが、実は1話の時点で、
城壁に囲まれた国
国の外には人類の敵である怪物がいる
怪物から国を護る軍隊がいる
主人公の家族がイビルに喰われた過去があり、その後国を護るため主人公が軍隊に入隊する
という点から、あの日本を代表する超人気作品、「進撃の巨人」に似ているという意見がチラホラ見受けられていました。
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しかし1話の時点では進撃の巨人に少し影響を受けているだけだろうということで、特に言及はされませんでしたが、続くセンターカラーとなる第2話で、とんでもないことが起きてしまいました。
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これは進撃の巨人の主人公エレンが巨人化の時にする自傷行為と立体起動のシーン!?
完全に進撃の巨人じゃねーか!!!!!
魔女の守人、何やってんだお前ェっ!!!!!
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ジャンプ史上類を見ない、進撃の巨人を彷彿とさせるシーンの数々、これにより当時のTwitterやまとめサイトでは「進撃の巨人のパクリ作品」と悪い意味で話題となり、さらにはネットニュースで「ジャンプ新連載が進撃の巨人に似すぎている」という記事がでる始末。
そのため魔女の守人は連載2話目にして悪い意味で話題となってしまい、いわゆる「炎上」したことになりました。
ちなみに炎上した結果、Googleでは現在でも「パクリ」や「進撃」とサジェストが出ており、さらに週刊少年ジャンプのYouTube新連載公式PVでは、新連載作品の中で唯一低評価が高評価を上回る作品となってしまいました。
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もはや魔女の守人は進撃の巨人のパクリ漫画というレッテルは一生消えません…
ですが、私はこの魔女の守人を連載開始から打ち切り最終回まで当時のジャンプで全て読みきっており、この作品の汚名返上とまでなりませんが、この魔女の守人という作品は、進撃の巨人のパクり作品では断じてありません。
この作品の2話以降の話ですが、国外逃亡を果たした3人は、かつて従者ナータが国の司祭の地下室にある書庫で「ノワール国では引退した魔女がご意見番をやっている」という文献を目にしており、その引退した魔女がいるということはノワール国には魔女がイビル化しない方法があるかもしれない、ということで、ひとまずノワール国を目指すという話になります。
また、主人公らについては職務を放棄し、魔女を連れ、国外逃亡をした罪人として全国指名手配されることになります。
つまり、この作品のストーリー展開には、進撃の巨人の要素は一切ありません。
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よって、2話のシーンに関しては、ただのオマージュだと私は思っています。
ただ、進撃の巨人と週刊少年ジャンプには有名なエピソードがあり、それは作者の諫山創先生がジャンプに作品を持ち込んだところ、ジャンプが門前払い、その後別冊少年マガジンに同じ作品を持ち込んだところ連載まで通った、その作品こそが進撃の巨人だったというエピソードがあります。
そのため、ジャンプにとって少なからず進撃の巨人を逃したという失敗があるため、ジャンプ新連載作品が進撃の巨人を彷彿とさせるシーンを描くことを許したというのは、まあ滑稽ですよね…
ちなみに作品としては、ノワール国へ行くために7つある人里を経由するという話になり、この7つある人里の2つ目を終えた辺りで打ち切りとなりました。
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ただ打ち切りの原因もネットで炎上したからとかそういう訳ではありません。
打ち切りの原因については失礼ですが簡潔に説明するなら、
「あまりにも作品の作り込みが甘く、“漫画”としてツッコミ所が多すぎた」
だと思います。
この作品のストーリー展開を鬼滅の刃で簡潔に例えると、
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ということになります。ツッコミ所満載でしょう。
ここからはこの作品のアカンかったところ、ツッコミ所を説明していきます。めちゃくちゃ長文になってしまったので、時間のある方だけどうぞ。
まず何がアカンかったのか、説明すると、
①主人公らの名前が覚え辛い
②主人公の技
③展開に矛盾が生じる設定の浅さ
④ツッコミ所満載な世界観
⑤ツッコミ所満載なゲン戦
⑥細かいところがおかしい
⑦魔女より便利なアイテムがある
⑧対魔女騎士戦闘というツッコミ所満載な戦法&展開
⑨ツッコミ所満載なストーリー展開
⑩ツッコミ所満載な最終回
こうなります、さらに一つずつ詳しく説明していきましょう。
①主人公らの名前が覚え辛い
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まず主人公がファフナ、魔女がマナスファ、従者がナータという名前なんですが、それぞれ「ファ」と「ナ」が被っており、文字だけで見るなら誰が主人公で誰が魔女なのかが分かりません。
「ナ」に至っては全員にあります。
また、マナスファ、ファフナ、ナータのそれぞれの母音が、「a、a、u、a」「a、u、a」「a、a」となり「a」と「u」しか使われていないことと、3人とも名前の最初と最後の母音が「a」で被っていることから、最早誰が誰なのか覚え辛いということになってしまいました。
一応ファフナが主人公で男性なのですが、そもそも日本人の感性なら、名前の最後が「ナ」で終わると女性の名前を連想させてしまいます。(例:カナ、はるな、ユウナなど)
まあプロ野球選手にはオスナとかルナがいますが…
あとファフナという名前が発音がしづらく、何か熱いものを食べているような感じになってしまいます。
そしてマナスファですが、スファって何やねん。実は魔女の守人の読み切り版では魔女の名前は「マナ・スファ」でした。何故改悪したのでしょうか…
さらに、マナスファ、ファフナ、ナータ、3人の名前を繋げるとしりとりになります。
何故そんなところに拘ってしまったのか、HUNTER×HUNTERのゾルディック家なのか!?
②主人公の技
主人公ファフナの技なんですが、第一話で騎士抜刀術(ガーディアンズスキル)という技を披露していますが…
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ネーミングといい構え方といい、そもそも技で構え?そして何故剣と鞘の二刀流?普通に剣を2本扱えば良いのでは?
連載第1話ならば構想を練りに練れる時間はあったはずで、さらに主人公の代名詞といえる初めての技披露でツッコミのオンパレードです。
ちなみに一ノ技と言っていますが、ニノ技、三ノ技が披露されることは無く、そもそも一ノ技が使われたのはこれが最初で最後でした。
ついでに前述した進撃ばりの特定行動シーンですが、特定行動もこれが最初で最後でした。
③展開に矛盾が生じる設定の浅さ
主人公ファフナはバーン市国最強の騎士で「鬼刃」という異名を持ちます。
また魔女マナスファは他の魔女より強力な魔種を宿した「焔の魔女」として有名という設定ですが、
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4話から7話にかけて追手となる騎士ゲンと魔女ルゥリとの戦いが繰り広げられ、通り名の通りに相手を圧倒すると思いきや
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何故かキャラの下方修正が加わりました。
さらに彼らが守っていたバーン市国についてもイビルの防衛拠点のはずが、辺境の地の僻地扱い、最早意味が分かりません。
また、この戦いの後、唐突に何の伏線もなく師匠キャラが登場し、一応は主人公が追手を撤退させることに成功したにも関わらず、何故か魔女と従者を危険に晒させたクズ扱いされ、3日間の主人公と魔女の修行が始まりました。
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強者なのか、弱者なのか
主人公らをどうしたいの…
④ツッコミ所満載な世界観
バーン市国の見取り図ですが、
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何故か街のど真ん中で川が途切れ、他国との連絡通路なる謎の通路があります。
また、魔女がいなければ3日で滅びるという世界観であり、そんな世界観でイビルが蔓延る国外を旅しノワール国を目指す、壮大で良い感じなのですが、主人公らが最初に着いた人里「ヒノコ村」がもうツッコミ所満載で…
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もう一度言います、魔女がいなければ3日で滅びる世界観です。
それなのに魔女もいなく、適当な柵に囲まれているだけなのに、イビルに滅ぼされず、旅人をもてなす用意が周到な村が出てくるなんて、たった4話で世界観が完全崩壊しています。
ただ、バーン市国とヒノコ村であまりにも指摘が多かったのか、2番目の人里「ヴァリ国」は、
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ご覧の通り、めちゃくちゃマシになりました。
しかしこのヴァリ国、国民が貧困に苦しんでいる設定があるので、旅人をもてなす用意が周到なヒノコ村の異常さが余計に抜き出ていることになりました。
⑤ツッコミ所満載なゲン戦
③で少し述べましたが、この追手となるゲン戦では主人公らが下方修正されました。
そもそも追手とは、
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この二人で、ルゥリは鋼の魔法を、ゲンはその鋼の魔法を利用して戦うコンビです。
ただこの戦い方だと、ゲンはルゥリがいないと何もできない人になるんですが、ゲンは魔女は使い捨ての道具という考えを持ち、さらに噛ませキャラ並にイキっています。
また、ゲン戦でのバトルシーンなのですが、これもかなりツッコミ所があり、
・ゲン達の技が絶妙にダサい
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・主人公が一切技を披露しない
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・鋼で攻撃されたり、両刃の剣で攻撃しているのにお互いの流血描写が無し
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・キャラが棒立ち
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・仲間が倒れているのに戦闘中に唐突なギャグ描写
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・夜中に村の中で戦っているのに村人が誰一人戦闘に気が付かない(戦闘後に気づく始末)
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・そもそもアクションシーンが見辛い
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等、挙げたらキリがありません。
また、このゲン戦ですが、第4話から第7話にかけて描かれました。
序盤の敵に4話もかける、つまり連載当時は1か月も同じ敵と戦っていたことになり、このことはジャンプ作品においてはあまりにもストーリー展開が遅すぎます。
そもそもゲンというキャラ自体が噛ませのテンプレートのようなキャラだったので、噛ませキャラにグダグダと4話も戦ってること自体駄目でした。
ONE PIECEで例えるなら、アルビダに4話もかけて戦っていたようなものです
⑥細かいところがおかしい
実は所々おかしな場面もありました。
・謎すぎるオノマトペ「ヲヲヲヲヲ」
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・警鐘が除夜の鐘
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・両刃で峰打ち
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・素振り中に剣を持つ手の位置が入れ替わる
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・国外逃亡した主人公らの行き先を何故か知っている追手のゲン達
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・手押さずに水が流れ続ける手押し式ポンプ
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・夜中に伝書鳩が来る
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・三日で三日月から満月になり、同じ日に満月から半月になる月
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・焼き魚の持ち手が焚き火の中で燃えている
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・外側に鍵穴がある窓
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・馬車での迎賓者の座る位置がおかしい
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後ろにあるものは飾りなのでしょうか…
調べればおかしいことがすぐ分かるのに何をやっているのでしょうか…
⑦魔女より便利なアイテムがある
ストーリーが展開するにつれて、「魔道具」と「魔種」というものが登場します。
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こんなものがあるなら、3000人の少女を犠牲にして魔女を作らずとも、魔道具や魔種をもっと研究、量産すればイビルを撃退できるのでは?
ちなみに魔道具については何なのか一切説明されず、魔種については修行でしか使われませんでした…
さらに、これらを凌駕するもので、「魔導計測器」というものも登場します。
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この魔導計測器、まず漫画的に第10話の引きで登場してるのですが、続く第11話で魔導計測器の説明がされるのかと思いきや、全く説明されず、使い方が読者に判明したのが第14話でした。
再登場にリアルで1か月かかるとかどんな話の構成してんねん
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そして、魔導計測器は実は隠れた機能があり、魔導計測器の中には「魔法の糸」なるものが隠れており、これを使うことにより騎士の生命エネルギーを魔力に変換し、魔女に魔力を流し込むことによりイビル化を一時的に止めることができるという効果がありました。
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これでイビル化寸前のヴァリ国の魔女スピカを救うのですが、そもそも魔導計測器の説明、ここまで一切説明はありませんでした。
さらに「魔法の糸」なる存在をほのめかす伏線も無し、そもそも騎士の生命エネルギーなんて設定はここまで一切説明されていませんでした。
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ていうか、この魔導計測器の魔法の糸、これでイビル化が止められるなら、ある意味、旅の目的はもう果たしてませんかね…
⑧対魔女騎士戦闘というツッコミ所満載な戦法&展開
修行において、騎士と魔女が連携して他の騎士と魔女と戦う戦法、対魔女騎士戦闘が出てきて、主人公らはそれを習得するのですが、そもそもイビルが蔓延る世界で他の魔女と騎士と戦う意味は一切ありません。
さらに前述している通り、魔女を造り出すには3000人の少女を犠牲にし、さらに魔法を使えば使うほどイビル化する危険性もある魔女同士が魔法を使って戦う意味が全く理解できません。
イビルと戦えよ!!!!!
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また、対魔女騎士戦闘の説明も、何をもって中威力や小威力と線引きするのか、何故騎士の身体を媒介にすれば魔法の威力が増大するのか、そういった説明が一切ありませんでした。
そもそも魔法を使うほどイビル化が進むなら、主人公は魔女に戦わせたら駄目でしょ…
ちなみに対魔女騎士戦闘というのは他の魔女や騎士にとっては常識的なものらしいです。
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じゃあなんでバーン市国最強の騎士である主人公らは習得してなかったんですかね…
それに対魔女騎士戦闘の描写ですが、完全に騎士が魔法を使ってるようにしか感じられませんし、そもそも騎士と魔女が連携してバディで戦う意味が薄いと感じました。
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⑨ツッコミ所満載なストーリー展開
そもそもこの作品、イビルという怪物がいて、それに対抗するための騎士と魔女なんですが、ストーリー展開にはイビルが全く絡んできません。
主人公がちゃんとイビルと戦って倒したのは全19話中、第3話のたった1ページだけです。
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前述した通り対魔女騎士戦闘なんてものがあり、結局騎士と魔女だけでストーリーが展開してしまい、むしろイビルの存在がストーリー展開の邪魔になっているのです。一体どういう構想をしていたのでしょうか…
そもそもイビルについて、どういう存在なのか、何故人間を襲うのか、どうやって攻撃するのか、どうやって生まれたのか、そういったことは一切説明はされませんでした。
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また、国外脱出=指名手配という逃避行状態でストーリーが展開するのですが、最初の村では盛大に歓迎されたり、逃避行中の身でいきなり修行に入ったり、そもそも追手がゲン以外誰も来なかったりと、逃避行という状態も一切活かすことができていませんでした。
ちなみに逃避行中なら追手側の企みとか状況とかそういう描写が普通はされるんですが、この作品では全て主人公サイドの目線しかなく、追手側の描写すら一切ありませんでした。
さらに、2番目の人里となるヴァリ国編、これもツッコミ所が満載でした。
一応ヴァリ国編では、ヴァリ国の騎士の外套を拝借して国内に潜入するも速攻でヴァリ国の騎士クロードと魔女スピカにバレて戦闘になります。
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それでも主人公らは撤退に成功しますが、魔女マナスファが「スピカとお友達になりたい」さらに主人公については「いっそ仲間に引き込むか」と衝撃の発言をします。
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一応従者ナータに咎められますが、それでも「旅の目的だけは伝えよう」ということで再び魔女スピカのところへ行きます。
逃避行中という身で何故わざわざ敵陣に行く?
その後スピカに会うも、案の定拒絶され再び戦闘になりますが、スピカは実はイビル化寸前の状態であり、この戦闘でついにスピカがイビル化しそうになります。
これについてヴァリ国の司祭シシマルがスピカを抹殺せよとクロードに命じ、クロードも葛藤しながらスピカを抹殺しようとしますが、これを主人公が阻止します。
何故…
ここで主人公はクロードに対し、「お前はスピカを救う方法を探さず逃げているだけだ!」等と説教をしますが、そもそも主人公らの旅の目的は「ノワール国に引退した魔女がいるらしいから、イビル化を止める方法を知っているかもしれない」という理由でノワール国を目指しているからであり、ノワール国に行けば必ず魔女が救われると確定はしていないのです。
なのですが、主人公らの言動ではノワール国には魔女が救われる方法は必ずあることになっています。
どういうことなの…
その後はクロードはスピカの抹殺を中止、これに司祭シシマルが激怒し、魔道具を駆使して主人公らもろともクロードとスピカを抹殺しようとしますが、魔道具は破壊され、主人公にぶん殴られ、シシマルは倒されてしまいます。
また、スピカについては前述した通り、魔導計測器の効果によりイビル化は止まりました。
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その後、クロードの命により主人公らはヴァリ国内では罪を不問とされ、シシマルについては税金の不正個人使用をしていたということで投獄され、今後のヴァリ国の政治は騎士らによって執り行われることになり、主人公らはクロードらに頑張れよと別れ、次の人里へ向けて旅立ちました。
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国を守護する騎士団が国際指名手配を受けている者たちに唆されて、国を統治する司祭を投獄し、今後は騎士団主体で国を統治する。
これって完全に軍事クーデターですよね…
ちなみにヴァリ国編ですが、クロードらは同行する仲間にはならず、ノワール国の情報等も得ることはありませんでした。
一応ヴァリ国編は11話~17話にかけて話を展開した割には、話の本筋は一切進んでいないので、壮大な無駄話に終わりました。
⑩ツッコミ所満載な最終回
最終回なのですが、結局ノワール国については描写されることなく月日は流れ5年後となります。
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もう打ち切り最終回なので仕方ありませんが、この最終回の内容もツッコミどころが満載でした。
内容は魔女マナスファが魔女の引退式を挙げるという内容なのですが、
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は?
まず国を追い出された罪人と言っていますが、
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自分らで盛大に国外逃亡しています。何を被害者面しているのでしょうか。
そもそも指名手配されてるのにどの面下げてバーン市国に戻ってきたのでしょうか…
また、魔女は騎士に抹殺されると盛大に演説していますが、
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司祭が司祭院の者と魔女と従者しか知っていない事実と説明しています。
何故そんな機密事項を国民に暴露してるの…
そして国民が盛大に喜んでいますが、魔女のイビル化を止める方法は確立したのですが、「これからの魔女は~」というように、魔女そのものは生まれ続けていることになります。
つまり魔女を造り出すための3000人の少女の犠牲は無くなっていません。
最早これはハッピーエンドに見せかけたバッドエンドと言っても過言ではありません…
そもそも主人公はマナスファを最後の魔女にすると第1話で宣言したにも関わらず、最後の魔女になってませんね…
ご覧の通り、1話と2話で展開した話が完全に忘れ去られています。
ちなみに肝心な魔女を人間に戻す方法ですが、ノワール国の引退した魔女から貰った血清から主人公の師匠キャラであるドレイクが造り出した魔魎転生の指輪を魔女にはめるだけです。
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そして肝心のイビルなんですが、駆逐されたとかそういったことは全く語られずこの作品は終わりました。
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いかがでしたか?これが魔女の守人という作品です。
イビルという怪物がいて、それに対抗するために多大な犠牲の上に造られた魔女がいて、その魔女もいずれイビルになるから、イビルになる前に騎士が魔女を抹殺する。
そんなふざけた世界を覆す、というのがこの作品のテーマだったのではないかと思いますが、何故かイビルではなく魔女がストーリーの中心になってしまいました。
そもそも魔女の守人のイビルというのは、他作品でいうBLEACHの「虚」や鬼滅の刃の「鬼」や呪術廻戦の「呪霊」と同じ役割を持つ存在であり、作中のキャラの共通の脅威であり諸悪の根源ともいえる存在です。
何故イビルをストーリー展開から完全放置して初っぱなから魔女騎士同士で戦う展開にしてしまったのか、最早意味不明です。
さらに魔女についてですが、3000人の少女を犠牲にするという設定が完全にストーリーの足を引っ張りました。
この設定のおかげで、おそらく作者がやりたかった魔女同士の戦いというのも、滑稽でしかありませんでした。
さらにストーリー展開についても、周囲にイビルが蔓延る世界で、追手と戦いながらイビル化が迫る魔女を連れて人里に寄り、ノワール国を目指すという逃避行路線でしたが、最初のヒノコ村から出た直後に修行に入るのはどういうことなのか分かりません。
そもそも師匠キャラとなるドレイクの初登場の仕方が伏線とかそういったものが一切無く、本当に荒野でその辺を通りかかっただけで、さらに反司祭や魔女の組織といった背景もなく、完全に単独行動のキャラだったというのは、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。
それにドレイクが作った指輪が魔女のイビル化を止めたという最終回なのも、ドレイクさんいくらなんでも便利すぎやしませんかね…
また、イビルによって家族を失い、国を守るため騎士になったという背景のある主人公程のキャラが祖国を捨てることになる理由も「毛嫌いしていた魔女も守るべき一人の人間だった」というだけなのも、動機付けには薄いかなと思います。
それに国外逃亡したことにより、防衛の要である魔女を失った祖国がどうなったのか、と思う描写が一切なかったというのはどうなのでしょうか…
さらにノワール国に行くまでの7つの人里を経由するということでしたが、人里を経由して得た成果、ノワール国の情報や仲間の加入とかそういったことも一切なかったので、結局、この作品の第1話と最終回となる第19話以外は別に読まなくても話の本筋が理解できてしまうので、ほとんどが壮大な無駄話なんですよね…
というように、魔女の守人の連載当時は毎話毎話ツッコミ所が多々あり、以前までの設定を無視した展開や、いきなり新しい設定を平気でぶっ込んでくる展開、そもそも最初から設定自体がツッコミ所満載であり、最早考察する方がアホらしくなるような状態でした。
すなわち、最初から作品の構想が甘過ぎた作品だと思います。
さらにこの作品、漫画として他の作品と比べてもあまりにも無駄ゴマや大ゴマを多用しすぎており、酷い時は1ページまるまる使った大ゴマが1話の中に3回もあったりしました。
なんというか、週刊連載がキツすぎてアイデアが思い浮かばず、ページの穴埋めに追われていたのではないかと思います。
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ちなみに1ページまるまる使った大ゴマ、または2ページに跨がる見開きがあった話数については、全19話中、16話もありました。
しかも1話~10話まで毎回ありました。
いくらなんでも使いすぎじゃない…?
そもそも読者がここまでツッコミ所を指摘できるくらいガバガバな作品を編集は何故通してしまったのか分かりません。
ただ当時は新型コロナウィルスが流行り始めた時期で、編集と作者の意志疎通があまり取れてなかったのかな?と思いますし、さらに魔女の守人の担当編集の方は「アクタージュ」という人気作品と掛け持ちしていた方であり、この魔女の守人が連載されていた時期が丁度、「アクタージュ」の原作者が逮捕されアクタージュ自体打ち切られた悲しき時期だったので、その対応に追われ魔女の守人をしっかり見る暇がなかったのではないかと思います。
あと単行本の話になるのですが、最近の打ち切りジャンプ作品は単行本最終巻で本編で描き切れなかった最終回の書き下ろし後日談が描かれ、それがジャンプ+にて公開されるという流れになっています。
魔女の守人も同様に、最終巻の書き下ろしがジャンプ+で公開されたのですが、何故か魔女の守人にいたっては本編で描き切れなかった最終回の後日談ではなく、完全新作読み切り「ストロベリーパンチ」を書き下ろしてしまいました。
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そもそも打ち切り作品の単行本の書き下ろしで新作読み切りを掲載した作品、今まで見たことがありません。
後にジャンプでは「ビルドキング」「クーロンズボールパレード」「アメノフル」という作品が打ち切られてますが、最終巻では全て最終回の後日談を書き下ろし、ジャンプ+で公開されており、数少ないファンの期待に応え円満に作品は完結しています。
しかし魔女の守人は本編で明かされなかったノワール国の実態や、イビルの実態といった重要なことは一切説明されず、完全新作読み切りを書き下ろしてしまったことにより、数少ないファンの期待すら見事に裏切ってしまいました。
なお肝心な「ストロベリーパンチ」についても、はっきり申し上げますが、めちゃくちゃつまらなかったです。
SNSですら「まるで成長していない」、「魔女の守人の駄目なところを凝縮している」と散々な意見しかなく、さらに主人公がヒロインのキャラを人間雑巾にするという描写があり、そのためジャンプ+のコメント欄では、
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また炎上しました。
なお、この読み切りで「ヲヲヲヲヲ」が復活してます。
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まるで成長していない…
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一応、魔女の守人で褒める点があるとすれば、最終回まで背景とかの書き込みが丁寧に描かれていたことだと思います。アシスタントの頑張りも伺いしれます。
しかしこの作品、単行本のアシスタント紹介ページを見る限り、新人作家にもかかわらず、アシスタントが8人もいるんですよね…アシスタント8人は大御所作家と一緒ですよ?
参考までに他のジャンプ作品でアシスタントが8人いる作品は僕のヒーローアカデミアがあります。
8人もいたらアシスタントの給料いくらぐらい出したのでしょうか…大赤字じゃないでしょうか…
ちなみに同期新連載の「マッシュル」は連載当初のアシスタントは0人だったそうです。
新連載同士で何故ここまでアシスタント数に差が…?
実は魔女の守人の作者の坂野先生は、本作連載の半年前に「バビロン大富豪の教え」というコミカライズしたビジネス書の作画担当をしており、おそらくこの時のツテをたどったのではないかと思います。
ちなみに30万部売れているそうです。
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また、魔女の守人の同期の新連載は連載2周年を迎えた「アンデッドアンラック」と「マッシュル」であり、この作品はジャンプ公式や書店でも次期看板候補として一緒に宣伝されたり、特設コーナーが作られたりして、かなり人気作品となっています。
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そんな輝かしい同期作品の中、速攻で打ち切られてしまった。
バディバトルではアンデラに劣り、魔法バトルではマッシュルに劣る。
なんというか、魔女の守人という作品、物凄く哀れな作品です…
しかしながら、実は魔女の守人が連載開始1周年となるジャンプで坂野先生の新作読み切り「メイドの鈴さん」が掲載されたりもしたので、いつか再び坂野先生がジャンプで連載されるのを期待しましょう。
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最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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※追記
2023年8月16日に、サンデーのweb媒体である裏サンデーにて「獣王と薬草」という作品の作画担当して坂野先生の連載作品がスタートしていました。
画力がまたレベルアップしています。
ヲヲヲヲヲはありません。
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結局1作品の連載で集英社のジャンプから去り、新たに小学館のサンデーに移籍しての連載となりましたが、新作を楽しみましょう。