今だからわかる、きらりんレボリューションの圧倒的な暴力性


きらりんレボリューション

この単語を聞いて、髪型がツインテールで目が異様に大きい少女がアイドルとして成長する物語を思い浮かべた人と、私は深い握手をしたい。

さて、見出しに「暴力性」などという過激な言葉を用いたわけだが、その「暴力性」とは何なのかを紐解いていきたい。

私はゴリゴリのきらりんレボリューション世代である。
ちゃおを毎月買い、応募者全員サービスに応募してきらりんレボリューションのグッズを手に入れ、DSのカセットも購入したくらいにはきらりんレボリューションが好きだった。
(ちなみにフェイスタオルは未だに使っている)

当時のちゃおは、きらりんレボリューションだのめちゃモテ委員長だの、とにかくアイコンとなる漫画が多かった。
そして、おはスタをつければ実写化されたキャラクターたちがそこにいた。
最近のちゃおやおはスタ事情は知らないが、当時のちゃおはなかよし、りぼんといった同業他社と比べても少女漫画の中で1番人気があったように思う。

話を戻そう。
今更なぜきらりんレボリューションなのか。

それは、未だに私が定期的にきらりんレボリューションのMVを見返しているからである。
そして10年以上経った今だからこそ、わかったことがある。

月島きらり(久住小春)、あまりにも明るすぎる。

これはかつてモーニング娘。だった久住小春が演じる実写版月島きらりのことを指して言っている。

当たり前だが、きらりんレボリューションは小学生~中学生向けの少女漫画のため、リアリティのあるキャラクターよりもわかりやすいキャラクターがウケやすい。
月島きらりも例に漏れずその類いである。
特徴を挙げるなら以下になるだろう。

・大食い
・おバカ
・一生懸命
・天真爛漫

絵に描いたような(実際絵に描かれているわけだが)明るくてドタバタな主人公なわけだ。

これは漫画だから許されるキャラクターであり、実写化したらとてもじゃないが痛々しくなったり、わざとらしさが出るだろう。
先ほども言ったように、キャラクターはリアリティがあるものではなく、理解しやすいように誇張されたものだからだ。

しかし、実際は違った。

久住小春は完璧に月島きらりを演じたのである。

いや、演じたというより、彼女の無意識の振る舞いすらも月島きらりそのものであった。

きらりんレボリューションの実写化が始まった当時の彼女は齢14歳。
それを知ったとき、大きな衝撃を受けた。
文句の付けようのない可愛らしいルックスは14歳にしてはあまりにも大人っぽく、しかし高校生というにはあまりにも幼い。

実在しないキャラクターを演じる際に必要なものは、実年齢を感じさせないことだと私は思っているのだが、彼女はそれを見事体現して見せた。
加えてアイドル=偶像という存在を演じるには、より年齢を感じさせない方がリアリティを消失させるため、彼女の何歳とも見える年齢不詳ルックスはうってつけだったのだろう。
極めつけは、先程も書いたように彼女の立ち居振る舞いは月島きらりそのもの。わざとらしさは一切なく、しかし誇張したキャラクターはそのままに現実世界に現れていた。

そして何より驚いたのは月島きらりの圧倒的、いや、「暴力的」と言っていいくらいの異常的な明るさを見事に表現しているところである。
それを14歳が行っているため尚更だ。

さて、キャラクター性や見た目について触れてきたが、上記に加えて彼女の歌声についても考えたい。

久住小春の絶妙に上手すぎない、かといって下手すぎない歌声は親しみやすさが存分にある。そして歌声にまで過剰であり、かといってわざとらしさはない明るさが込められており、全員が想像する月島きらりの歌声を完璧に表現している。

これは私がきらりの中で1番と言ってもいいくらい大好きな曲である。
初っ端からぶん殴られるような明るくて天真爛漫でハツラツな歌声から始まる。
これを曲発表当時16歳かそこらの女の子が歌っているのだ。
衝撃を受けないわけがない。
この歌声を聴いて元気を失くす人はまずいないだろう。耳から入る起爆剤のようなものだ。

明るく天真爛漫なアイドルを見事に表現する表情力。
強制的に気分を底上げしてくれるような歌声。

これが、「暴力性」である。

もはや暴力なのでは、と思ってしまうくらいに明るい歌声。
耳からぶん殴られるような衝撃。

これを「暴力」と呼ばずになんと呼べばいいか、私にはわからない。

これを聴いて気分が下がる人がいたらわたしはそちらに衝撃を受ける。

アイドルというのは根源的に人を勇気づけたり感動させたり、愛される存在でポジティブを提供することがほとんどであると思う。(私生活のスキャンダルといった側面を除いて、仕事面での話である)

久住小春が表現する月島きらりは、まさにそれの頂点だと思わざるを得ない。

この表情、歌声、振る舞い、全てが「アイドル」を擬人化したような存在だ。

「暴力的」なまでにアイドルだ。

このアイドルを表現した中高生時代の久住小春は、本人もモーニング娘。としてアイドルをしてどちらのアイドルも両立させた、トップアイドルである。

ここまでの「暴力性」を秘めたアイドルを、私は他にまだ出会ったことがない。

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