【万年筆】魔法学校の学生証を買った話
また万年筆を買ってしまった。
というのも昨日今日の話ではなく、去年の暮れ頃に注文していたのが、今日やっとこさ届いたのだ。
その名もマジカルペン――ツイッターではちょこちょこつぶやいていた、スマホゲーム『ツイステッドワンダーランド』のキャラグッズだ。
ツイステの世界では、主人公は魔法士養成学校(日本で言う高校みたいなもの)に通っている。その学校で学生証として使われるのがマジカルペンなのだ。
万年筆がそのまま学生証になるとか、どんなおしゃれワールドだ。
しかし、そのおしゃれワールドに暮らす生徒はどいつもこいつも倫理観に欠けた蛮族どもである。かわいい悪い子たちよ、元気にお育ち。
閑話休題。
届いたペンがこちら。
とてもきれい。素敵。原作再現度100%。
努力家のいじらしいたこちゃんが推しなのでオクタヴィネルを選んだ。
でも、もし本当に僕がNRCに通うDKになれるとしたら、寮はディアソムニアに入りたい。一番治安が良さそう。
少なくとも、寮長に弱みを握られて頭にイソギンチャクが生えるような寮は絶対に嫌だ。
以下、実際の使い心地について、順々に述べていきたい。
外見について
ペン先はゲーム通りだとアルファベットのNマークが付いてる(※1)のだが、それは無い模様。まあ仕方ないやね。
ところで、アニプレックスプラスの商品ページには、「筆記時にはキャップをはめずにご使用ください。キャップが重く、バランスが崩れ思わぬ破損の原因となる場合があります。(引用元:https://www.aniplexplus.com/itemPImoHCNW)」という注意書きがある。
この注意書きは、万年筆が「基本的には、尾栓の上にキャップを被せた状態で筆記するものである(※2)」という前提に基づいたものだ。これが初めての万年筆という人もいるかもしれないので、一応書いておく。
しかしながら、このマジカルペン万年筆に関しては、尻にキャップを被せてはいけない。
なぜなら、キャップがめったくそ重いからだ。
本当にマジで重い。今まで手にした筆記用具の中でマジカルペンが一番重い。小学生の時、毛筆の授業で使っていた文鎮と同じくらい重い。嘘。そこまでは重くない。でもそれぐらいの心構えをしてから手にとった方がいい。
試しにキャップを尻につけてみると、一応被せること自体はできる。きゅっと押し付けると、きゅっとはまる。
だが、その状態でペンを動かすと、キャップの重みでキャップがすっ飛ぶ。
試さないほうがいい。飛ばないとしても絶対外れて落ちる。最悪、キャップの重みに引きずられて、ペン本体を床に落とす可能性もある。
万年筆ユーザー諸氏には重々承知のことと思うが、万年筆は床に落としたら壊れる。まず絶対壊れる。壊れなかったら運がいい。
特にペン先が一番弱い。鉄ペンだろうがなんだろうが、ペン先が床に触れたら絶対ひん曲がる。
とにかく、書くときはキャップをペンの尻につけてはいけない。
これだけは覚えておいてほしい。
書き味について
万年筆の醍醐味はまさにこれ。
書き味のレビュー無くして万年筆のことは語れない。
と、その前に、ひとつ断らねばならない。
僕のレビューは、多分あまり参考にならない。
というのも、うちに来た子は初期不良があったのだ。
本当なら返送して新しいものと交換してもらわねばならないのだが、僕は自分で修理してしまった。
自分でがりがりやって余計に壊すと、原因が初期不良でも保証の対象外になってしまうので、本当は絶対やってはいけない。すぐ購入元に連絡して交換してもらうのがいい。本当なら。
でも、見た感じペン先の溝ががっちり閉まりすぎてるのが原因のようだったので、自分でデザインナイフ差込んで溝を広げてしまったのだ。
がっと入れて、ぎーってやった。
洗浄とインク交換を経て、運良くいい感じに直ったのでそのまま使うことにしたが、そういうわけなので、多分本来の書き味とは違ってしまっていると思う。
まあ、話半分程度に聞いて欲しい。
というわけで、セルフ修理後の第一印象。
ペン先が結構硬い。
確かペン先は彫り込みがあるほど書き味が硬くなるんだったかしら。
最近はほとんど彫刻のないプラチナ万年筆のものを使っているので、硬さにちょっと戸惑った。
万年筆は力を込め過ぎると、ペン先が開いてだめになってしまう。
でも、硬いペン先は力を入れてぐっと押し付けない限りは開かない。開きにくい。
このマジカルペンでもちょっとだけ試してみたが、やはり思い切り押し込まないと開かなかった。普通に書いている分には開くことはまずないだろう。
うまく書けなくて、ペン先を無理に押し開いてだめにしてしまう……というのは万年筆初心者がやりやすい失敗だ。
それを避ける意味では、これくらい硬い方がいいのかもしれない。
ただ、僕はもう少し柔らかい方が書きやすくて好きかな。
インクフローはいい感じ。
デザインナイフで自力修理してしばらくは切れ切れだったものの、インクをモンブランのカートリッジに変えてからは調子がいい。
書けば書くほどよくなってくる。
万年筆のいいところは、インクの濃淡で色のグラデーションを楽しめるっていう点でもあるけど、マジカルペンでもそこはばっちりなので安心されたし。
ペン先の紙面を滑る手触りのことを、僕は『書き味』と読んでいる。
この書き味は、正直言って普通。
普通なんだよな。そう悪くはない。めちゃ良いわけでもない。
今まで使ってきた中ではコクーンが一番近い。さりさり系だ。
装飾や版権料のコストを考慮して「恐らくこれぐらいのクオリティになるだろう」と予想していたレベルには達しているので、特に文句はない。
マジカルペンの書き味の良し悪しは、使う紙にかなり左右される。
今回は、ブングボックスの凸凹メモ帳、紳士なノート、FERRIS WHEEL PRESSの落書き帳と3種類試した。
①ブングボックスの凸凹メモ帳
表面:非常にでこぼこ
ちょっと紙質がやわらかすぎると感じた。
喫茶店のナプキンによく似た紙で、しかしインクがにじむことは無い。書いていて楽しい紙ではある。
マジカルペンではない、もっと柔らかいペン先が適していると思う。
②紳士なノート
表面:とぅるっとぅる
つるつる系の紙。今まで触った中で一番つるつるしてるかも。
表面がなめらかすぎて書きづらい。
多分この紙も柔らかいペン先の方が適しているんだろう。
このテストをしていて気がついたが、僕はどうやらつるつるした紙が好きではないらしい。なんだか落ちつかない。
③FERRIS WHEEL PRESSの落書き帳
表面:なめらか以上、つるつる未満
3種類の中ではだんとつに書きやすかった。
滑らかだが、ペン先がほどよく紙面にひっかかる感じがして、するする書ける。
僕の紙の好みも十二分に関係しているだろうが、マジカルペンで書くならやはりFWPが一番よかった。
紙の名前がわかれば文房具屋で似たようなもの探せるのにな。
インクの濃淡はどの紙でもきれいに出た。
写真は、モンブランのカートリッジでFWPの落書き帳に書いた文字。
写真ではあまり見えないが、ブルーブラックの濃淡がよく出ていた。
モンブランは今回初めて使ってみたが、僕好みのとてもいい色だ。
また買おう。
カートリッジについて
セットには専用コンバーターとカートリッジ1本が付属している。
替えのカートリッジは欧州共通規格のものを使うように、とのこと。
欧州共通規格に該当するのは、僕の手持ちにある限りでは、モンブラン、ウォーターマン、それと、あくまで僕が個人の責任で試した範囲でだが、無印良品の万年筆(※3)も欧州共通規格のカートリッジを使用できる。
国内では耳慣れない規格かもしれないが、万年筆の本場ヨーロッパでは自社独自規格のカートリッジよりも、この欧州共通規格を採用している会社の方が多い。
なので、海外社製のインクで探したらいろいろ出てくると思う。詳しくはぐぐってほしい。
写真のカートリッジ、左から順にマジカルペン付録・モンブラン・無印良品・ウォーターマン。
口径を比べるとこんな感じ。
実際定規をあてて調べたところ、全て口径約4.5mm程度だった。同じ規格をもとに作られているのだから、比べるまでもなく同じで当たり前なのだが、まあ検証は大事だ。
カートリッジはショートタイプが対応、とのことなので、今後カートリッジの替えが欲しくなったらモンブランのものを選べば問題ないだろう。まあちょっとお高いが。
最後に
今回、アニプレックスから販売されたマジカルペン万年筆は、受注販売ではなく抽選販売だった。
それもあってか、悲しいことにフリマサイトでは転売ヤーが跳梁跋扈している。
すでに数本売れてしまっているが、いい子のツイステファンは絶対に転売ヤーからは買っちゃだめだぞ!
今後も界隈に居座られる要因になるだけじゃなくて、転売ヤーから買ったら初期不良があってもフツーに保証対象外だからね!!(※4)
今回入手できなかったお友達は、再販希望を出して次の機会を待とうな!!!
あと、マジカルペン万年筆は『初めての万年筆』にはおすすめできないから、マジカルペンの前にカクノとかプレジールとかで万年筆慣れしておこう!!!!
カクノはさりさり系、プレジールはぬるぬる系!!!!!
ちなみにカクノとコクーンは同じニブを使っているぞ!!!!!!
さらばだ!!!!!!!
脚注
※1)ペン先にNマークがついているという情報、たしかにゲームで見たはずなのに、どこで見たのかまったく思い出せない。もしかしたらそんな事実はないかもしれない。
※2)もちろん、キャップを尻に被せず使っても全然構わない。個人の好みや手の大きさに合わせて大丈夫だ。ただ、万年筆を使ってみて「書きづらいな」と思ったら、キャップを尻に被せてみてほしい。そうすると筆記時のバランスが取りやすくなる。
※3)無印良品の万年筆……デザインも使い心地もめっちゃシンプル。だがそれがいい。なお、無印良品公式では、欧州共通規格に対応しているとは一言も言っていない。なので、無印良品の万年筆に他社カートリッジを刺したり、逆に無印良品のカートリッジを欧州共通規格ペンに刺したりする際には、あくまで自己責任でお願いしたい。
※4)初期不良があったら、まずアニプレックスからの商品到着から7日以内にカスタマーサービスに連絡しないといけないので、フリマサイトで買うとこの時間制限に引っかかりそうなのがひとつ。もうひとつの理由が、そもそも第三者から購入した商品は保証対象外なのでは???という話。本文中では、はっきり対象外だと言い切ってしまったけれど、本当にそうなのか明文化されている記述は発見できていないので、念の為カスタマーサービスに問い合わせ中。
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