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TRPGのシナリオを書いた話
最近、TRPGシナリオの制作に挑戦している。
僕は他人のロールプレイを見るのが大好きなのだが、見れば見るほどもっと見たくなるのがロールプレイというもので。
「シナリオ作者兼KPになれば、KP権限で好きなだけロールプレイを浴びることができるのでは?」と気づいてしまった僕は、シナリオ制作の道に飛び込んだ。
今は純粋に友人たちに遊んでもらうこと前提で、内輪ネタもりもりで書いているが、将来的にはもっと幅広い人に遊んでもらえるものが書けたらいいな……と思っている。
今回は、今まで僕が書いたシナリオの話をしたい。
なお、ルールブックはすべてCoC(※1)を使用している。
1.『おいでませ聚楽邸』
初めて書いたシナリオは、ホラーもグロもない平和なクローズドシナリオになった。
テーマは『PLの傷ついた心を癒す』。
異界の屋敷に迷い込んだ探索者たちが不思議な住人たちと交流しながら、大宴会を催すという筋書きだ。
屋敷中をあちこち眺め歩いてお使いクエストをいくつか達成してもらい、最終的には大広間で呑めや歌えの大騒ぎ。
最後のミニゲームに失敗すると、探索者は現実世界で一か月ほど行方不明になる。
が、その間も衣食住は保証されているし、少し長めのバカンスと思えば大した問題ではない。ちょっと身辺が騒がしくなったりブラック企業から首になったりするかもしれないが、その程度だ。
ロストもしない設計になっている。
気軽に発狂やロールプレイを楽しんでもらうためのシナリオだった。
参加資格を得るのが難しいわりに初心者KPにも回しやすいシナリオに仕上がったので、そのうち改変・ブラッシュアップして配布シナリオにできたらいいな、と思っている。
2.『夏が来た!わくわく☆僕らのゴールデンウイーク』
自作シナリオ第二弾では、秘匿ハンドアウトに挑戦した。
テーマは『人間の定義とはなにか』。
TRPGリプレイ動画で有名なBGBさんのシナリオ『ラフヘローの結末』に影響を受けている(※2)。
あらすじは以下の通り。
同じ大学に通う友人同士である探索者たちは、GWの思い出作りに山奥の風光明媚な村を訪れる。
山の幸に舌鼓をうち、風雅な景色を楽しむ探索者たち。
だが、この村には、決して余人に知られてはならない秘密があったのだ。
村に閉じ込められたあなたたちは、夜な夜な襲い来る怪物におびえながらも脱出を試みる。
ひとり、またひとりと消えていく旅行者たち。
はたしてあなたたちは、無事に村から脱出することはできるのだろうか……?
そして、誰にも知られてはならない秘密を抱えているのは、あなたたち探索者もまた同じことである。
直前に、秘匿ハンドアウトが強烈なシナリオを遊んだこともあり、全員が「自分のHOが一番やばいな」とどきどきしながら遊んで欲しいな、と思って設計した。
また、今作はシナリオの自由度を高くした。
一応想定しているルートはあるが、探索者の目的である「村からの脱出」を達成する方法は無数にある。
どんな方法を使ったとしても、最終的に目的を達成できたのならそれがベストエンド。真エンディング。
そういうシナリオにしたかった。
シナリオの特性上、どんなイベントが起きるかわからないので事前にテキストを用意しておくにも限りがある。
結果、予想外のイベントが次から次へと勃発。
シナリオ終了までの一か月間、セッションのたびにリアルタイムでイベントテキストを書き続ける事態に陥った。脳みそが死ぬかと思った。
しかしそういうシナリオを作ったのは自分自身なので……自縄自縛……。
このシナリオは、反省するところの多いものになった。
まず、ジャンル設定をミスった。
本当はギャグシナリオにする予定でいたし、実際セッションを始めるまで自分ではギャグシナリオのつもりでいた。
だが、実際回し始めるとホラーに次ぐホラー、グロに次ぐグロ。
途中で「あれ? これはギャグではないのでは?」と気づいたものの、もう軌道修正はできなかった。
タイトルをギャグにすれば雰囲気的にギャグになると思っていた。
そういう次元の問題ではなかった(※3)。
そして、探索者間のパワーバランスもうまくとれなかった。
HOそれぞれに強みを用意したつもりが、実際遊んでもらったところHOごとにキャラの強さに差が付きすぎてしまった。
そうすると、活躍できるPCとそうでないPCが分かれてしまう。
これでは全員に楽しんでもらうことができない。
3.『死者たちの遊戯(仮)』
これまでのシナリオ2作の反省点を踏まえて、現在新作を制作中だ。
3作目のテーマは『絆は呪いか祝福か』。
前回ギャグに挑戦して180°真逆の方向に突っ走ってしまったので、今回こそ本物のギャグシナリオを作る。
タイトルとテーマが明らかにギャグのそれではないが、なに、これは振りだよ。見事なギャグに仕立ててみせるさ。本当だよ。
純粋にギャグとして楽しんでもらうために、ロストはなし。
ロスト済み探索者も参加可能。
拷問システムも今回は封印する。
前作は自由度を高くしすぎて脳みそが沸騰したので、今回は『見覚えのない白い部屋』から始まる完全クローズドシナリオにした。
探索者たちは出口のない閉鎖空間をさまよい歩きながら、様々な死のトラップを潜り抜けていく。
要するに、デスゲームがしたい(※4)。
デスゲームがどうやってギャグになるというのか。なる。為せば成る。
今回の一番の難関はデストラップを考えることだ。
有名な映画からパクリもといオマージュできればいいのだが、そもそもその映画を観られない。なぜなら僕はグロいのが苦手なので。
いい感じのデストラップを考え、それをダイスロールとRPで切り抜けるシステムを考え、その場面に使用する背景と小道具イラストを用意しなければならない。
来月には完成させて遊んでもらいたいのだが、できるだろうか。
いずれは
冒頭にも書いたことだけれど、いずれはboothでシナリオの販売・配布もしてみたいと思っている。
ちらっとのぞいたところ、みんなデザインが凝っていて、この市場に参入するにはそちらのスキルも磨かないといけない様だ。ハードルが高い。
しかしハードル走はハードル全部なぎ倒して進んでもゴールさえできればいい、というルールなので、僕もまずは軽い気持ちですべてのハードルを跳ね飛ばしていこうと思う。
それでは、いあいあ。
注釈
※1)正式名称は『Call of Cthulhu(クトゥルフの呼び声)』。CoCは一時期大流行したやつなのでとっつきやすいし、なにより初めて参加したセッションがCoCだったので思い入れが強い。
※2)[二人組を作る]/【クトゥルフTRPG】ラフヘローの結末 その1(https://nico.ms/sm20682256?ref=twitter&camp202103tw=Ve3ltlbJEb_1631254091083)
※3)他のシナリオにPLとして参加した際に拷問をする機会があり、それが思いのほか楽しかったので、自分でも≪拷問≫システムを考案。本シナリオ限りの特殊な説得システムとして盛り込んでみた。
システム自体はリアリティがあって良い出来になったと思うが、そもそも探索者に拷問をさせようとしている時点でギャグになるわけがなかったのでは……?
※4)僕はグロいのがたいそう苦手なので、スプラッタ展開のある映画が観られない。よって、デスゲームに対する知見が非常に浅い。
なのだけど、なぜか心のどこからか「デスゲームがしたい……デスゲームを主催したい……無慈悲なデストラップに右往左往する哀れな犠牲者たちの悲鳴を聞きたい……」とささやく声が聞こえるんだ。不思議だね。