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雨の日に行きたい嵐山

朝起きて雨が降っていると、なんとなく気分が下がる。カーテンを開けた時のお日様の光とか、鳥が鳴く声とか、新聞配達のバイクの音とか、1日が始まるって感じがしないから。空は暗くて、気持ちまでどんよりしてしまう。

雨の日は好きな服が着られないし、洗濯物を外に干せないし、出かけるのが億劫になる。外を見てそんなことを考えていたら、嵐山のおじさんを思い出した。私が友達と京都の嵐山を観光をした日。

その日の天気予報は曇りで、雨が降るかどうか微妙な空模様だった。それでも久々のお出かけに私たちのテンションは上がっていて、バスを降りて早々に食べ歩きを始めた。串に刺さった湯葉チーズに、ミッフィーのかわいいパン、いちごあめに、抹茶のソフトクリーム。お腹を満たしながら大通りを進んだ先で、少しわかりにくい細い道に入った。そこが竹林の小径の入り口である。

竹林の小径を知っているだろうか。野宮神社から天龍寺北門を通って、大河内山荘へ抜ける約400メートルの道。キモノフォレストで有名な嵐電嵐山駅から徒歩10分程度のところにある。空を覆う大きな竹がびっしりそびえ立っているその道は昼でも薄暗くて、静かで、空気が澄んでいて神聖な場所にいるような気がしてくる。ただ歩くだけでも癒されるが、着物が映えるフォトスポットとしても人気の観光地である。

竹林をゆっくり歩いて、坂を上った先で私たちはあるおじさんに話しかけられた。「この竹を最もきれいに写真に撮れるのはいつだと思う?」

「やっぱり晴れの日ですかね。」私たちは答えた。実際、竹林の隙間から木漏れ日がのぞくところはとても幻想的だった。でもおじさんは首を横に振る。「1番きれいに撮れるのは、雨の日なんだ。」

雨の日?どうしてだろう。おじさんは続けた。

「雨が降って、竹が濡れるときれいな緑色になるんだ。今の竹は乾いていて、くすんだような色をしているだろ?これが雨の日には生き生きとした緑になる。雨の日に嵐山に来る人は少ないが、竹林の写真を撮るならぜひ雨の日に来てほしいね。雨が上がって晴れたときとかは最高かもしれない。」

そう言っておじさんが見せてくれた竹林の写真は、私たちがその日撮ったものより何倍もきれいだった。雨の日の嵐山か。観光するなら絶対に晴れた日って思っていたけれど、雨の日も素敵かもしれないな。初めてそう思えた日だった。

今日は1日雨だったから、嵐山の竹はきれいだったんだろうな。窓の外を見てそんなことを考えていた七夕の夜。織姫と彦星は会えなかったのかな。2人も嵐山の竹林を見たら、雨の日も悪くないって思ってくれるかも。なんて、私の勝手な妄想だ。


#雨の日をたのしく


竹林の小径: https://ja.kyoto.travel/tourism/single02.php?category_id=8&tourism_id=2683

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