喘息で死なないための3つ
免疫メンテナンスシリーズで今はアレルギーをみていました。
今回はそのアレルギーと関係の深い喘息(ぜんそく)をみていきましょう。喘息は10人~20人に1人がなる病気でもあり、毎年1600人が命を落とされている重要な疾患の一つです。
喘息は苦しい
喘息はその漢字の通り息苦しいものです。なぜ苦しくなるかというと、息の通り道が細くなってしまい、息がしづらくなってしまうことが原因です。特に気管支の部位に炎症が起きていることが原因なので「気管支喘息」と呼ばれます。小児の喘息が成長するにつれて治っていくのはこの空気の通り道が成長に伴い広がっていくからです。
気管支の炎症が持続すると発作が起きやすくなる
なんらかの抗原に触れた時などに、喘息の発作はおきますが、炎症が持続してしまったり、慢性的に発作(気管支の攣縮)を繰り返していると、気道壁が厚く変化(気道理モデリング)し、発作がない時にも空気の通り道が狭い状態になってしまいます。
喘息の一つの原因がアレルギー
この炎症の原因の一つがアレルギー反応になります。アトピー素因(アレルギー反応を起こしやすい体質:アレルゲン特異的IgE抗体が作られやすい体質)があると喘息が多くなることがわかっています。また食物アレルギーがある子供もアレルギーがない子供に比べて喘息症状が多いです。このアレルギー反応を抑えること(吸入薬など)や、アレルギー物質の回避などでこの喘息発作を抑えることが可能ですが、生活がかなり縛られるため、やはり喘息にならないことがベストです。
喘息にならないための3つ
1、適性体重にする
肥満は男女を問わず喘息のリスク因子です。肥満により気道が狭くなってしまうこと、横隔膜が押し上げられ、換気量の低下により気道平滑筋が衰えてしまう物理的な作用と、脂肪細胞から分泌されるレプチンやアディポネクチンが喘息の発症に関連しています。小児でも成人でも適正体重にすることでリスクが減らせますが、痩せすぎてもリスクが上がるためちょうど良い塩梅(BMI18~23:170cmの人なら52~67kg)を狙うようにすると良いでしょう
2、喫煙はやめる、受動喫煙もさせない
喘息の原因が気道の炎症であることから、空気の綺麗な環境では気道の炎症は改善傾向を示す。その点、タバコは百害あって一理なしと呼べる代物である。タバコは4500種類以上の化合物が含まれて気道を刺激する他、吸入薬などの治療薬の効果が減弱することが認められている。これはタバコを吸う本人だけの問題だけではなく、妊娠中の喫煙は胎児の喘息のリスクでもあり、出生後の子供の受動喫煙も喘息のリスクになるため地域としての取組みも必要である。以下では地域の喫煙者の割合が増えるに連れ地域の喘息有病率が上昇していく様子がわかる。
3、ダニを減らす
喘息の原因としてアレルギーが重要でしたが、その原因となる主なものはダニ・ペット・花粉です。中でもダニは特に重要で、日本人のダニ感作率は花粉に次ぐ2位で約30~40%の人がアレルギー反応を起こします。よく患者さんでハウスダストアレルギーと仰る方が多いですがそれは室内塵中のダニのことを指します。花粉は季節性ですが、ダニは通年性で意識しないとずっと炎症を起こし続けることになるので重要です。アレルギーは抗原回避が原則ですがスギ花粉とダニは免疫療法で根本的治療になるので、出来ることならやっておいた方が良いでしょう。(ただしダニの喘息に対する治療としての舌下免疫療法の評価はまだ定まっていないことに留意。皮下免疫療法は効果ありとされている)
参考)
アレルギー総合ガイドライン 2019
喘息バイブル
引用)
日本のアレルギー疾患はどう変わりつつあるのか
https://allergyportal.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/21074358/epidemiological_investigation_2020.pdf
気管支喘息
https://medley.life/diseases/54b52b19517cef641a0041c3/details/knowledge/about/