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受賞の向こうがわ⑧……改稿、その3&カバーイラスト

さて、3回目の改稿の締め切りは1週間です。

ここにきて一気にスピード感が上がったものの、前回の記事で書いたとおり、修正指示はすぐに対応できるものばかり。どうしてもわからないところだけ電話でNさんに確認し、あとはどんどん進めていきました。

今回は章タイトルを確定するように指示を受けました。

改稿次第で各章の内容を変更する可能性があったため、後半の章タイトルが白紙のままだったんです。

私の場合、作品タイトルこそ苦労することが多いものの、章タイトルはあっさり決まることがほとんどです。ところが、今回は章タイトルにちょっとした縛りを設けていたこともあり、最後のひとつがどうしても思いつきませんでした。

アイディアが出ない時はどうするか。

好きなクラシック音楽を聴きつつ、早朝の森を歩いてひらめきを待つ……などという優雅なスタイルは私にはありません。

そう、気合と根性です。
 
具体的には下手な鉄砲数うちゃ当たる戦略で、時間をかけ、思いつくまま章タイトル候補を書きだしていきました。
 
とにかく数さえ揃えれば、がらくたの山のなかにもきらりと光る宝石のような章タイトルが湧いてくるはず。

そう信じて、ひたすら手を動かし、捻りだした総数は88タイトル(末広がり)。

いくつか手ごたえのあるものもあり、これだけ考えればなんとかなるだろう、と、とりあえず一日おいて再検討することにしました。
 
翌日、さあ宝石を探すぞ、と改めて候補リストを眺めたところ、目が点になりました。

ない!

どこをどう見ても、宝石どころか、ちょっときれいなガラス玉すら見つかりません。

昨日感じた手ごたえは一体なんだったのか。想像以上にでたらめな、めくるめく純然たるがらくたの山に、我ながらうなってしまいました。
 
ああもう、笑うしかないな……。
そう思った瞬間、ぽこん、と89個目の章タイトルがひらめきました。

おお、これだ!
 
結局、がらくたの山にはがらくたしか見つからなかったものの、どうにか最後の章タイトルも決定。3回目の改稿を提出し、あとはゲラの到着を待つのみとなりました。

提出後少しして、担当編集のNさんからカバーイラストについてお話を頂きました。

自分の本のカバーがどんな雰囲気になるのか、多くの作家さんにとって大きな楽しみのひとつだと思います。当然私も、一気に気持ちが盛り上がりました。

候補になっているイラストレーターの方は、おそらく断られることも想定して、複数お名前が挙がっていました。けれども、Nさんの中ではすでに決まっているご様子。

ネットに公開されているその方のイラストを拝見すると、たしかに素敵な作品ばかり……。とくに、どのイラストも子どもの描き方がかわいらしく、生き生きしており、ポップでおしゃれな(語彙力)雰囲気にすっかり魅了されてしまいました。

イラストに関しては完全に編集さんマターですが、こんなイメージがいい、と考えていた方向性はNさんとまったく同じ。なので、安心してお任せしていたところ、後日、無事、第一候補のくりたゆきさんに決まったと連絡をいただき、うれしくなりました。

くりたさんとデザイナーの方(この時点ではまだ知りませんでした)には、「著者の意向など気にせず、ぜひ自由に腕をふるってください!」と、Nさんを通じて伝えていただきました。

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