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友達の専門店があやしいのですが?#4

「友達の専門店があやしいのですが?」
EP4 できることはなんですか?
(目安 30分以上)

©猫寝来緋伽
猫寝来緋伽(@NenekiHitogi)さん / X (twitter.com)
YouthfulMaterial
創作サークル | Youthfulmaterial


――必読事項――
作品【友達の専門店があやしいのですが?】について。|Youthful Material (note.com)
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―――――― 登場人物/セリフ説明一覧 ―――――――

来竹 雪  /雪(性別はどちらでもOK)
セネヴィル/セ(性別はどちらでもOK)

ハジカミ /ハ(男性寄り)

花姫皇子 /花(女性寄り)
岩姫皇子 /岩(女性寄り)
風皇太子 /風(男性寄り)
雷皇太子 /雷(男性寄り)

客・田所 /客(性別はどちらでもOK)

――(セリフ以外のところ) 音
― ―場面転換
=ト書き
―――――――――――――――――――――――――――

=ハジカミ、雪に商品の説明をしている。
=紹介している商品は、魔力量がすくないお守り感覚のもの。

ハ:次が―。悲恋のダイアモンド。取り扱いは注意。
  サメの歯ブレスレット。かなり切れ味あるから気をつけろよ。
  んで。休息の翡翠。休息が必要な時に強制的に休みをとるようになる。 
  色味が褪せてたら、あの中にあるハーブで燻してメンテして。
  こっちは、腰痛に効くオブシディアンの勾玉。
  腰に憑りついてくる系の幽霊によく効く。
雪:なるほどー。これは?
=雪、魔力が大きい道具をさわろうとする。
=ハジカミ、あわてて手首を取り制止。
ハ:ああああああ!!!これは、だめだ!!!
雪:え?なになに?
ハ:これは…その…。あれだ。触るとセネヴィルがマジで怖い。
雪:うぐっ…。気を付ける…!
ハ:(まぁ、マジで怖いのは嘘ついてないよな…)

―セネヴィルとハジカミの回想―
セ:ハジカミ。雪の教育係、お願いね。
ハ:俺が?なんでだよ。
セ:雪の事、認めてくれたんだよね。
  コアの補強を皇子たちに頼んだの知ってるぞぉ。
ハ:うっ…。近くにいるなら、気軽に接してほしいからな…。
セ:へぇー。キタケユキにねー。
ハ:あぁ、そうだよ!近くにいるからな!!
=半ば自棄気味に返すハジカミ
=セネヴィルは微笑ましいものをみるように笑う。
ハ:セネが教えた方がいいんじゃねぇのか?
セ:私は、あれをやらないと…。見て。滞ってた配達。
ハ:うげぇ…多いな…。そっちの手伝いはいいのか?
セ:ハジカミがいけないところを先に回ってくるよ。
  昼間に回ってこようとおもって。夜はちゃんと頼るよ
ハ:おう!で、何を教えればいいんだ?
セ:危ないものばかりだけど、お守り程度なら説明しても大丈夫だよ。
  特に魔力が強いものは触らせないようにね。
ハ:もし触ったらどうなるんだ?
セ:…。
ハ:おい、急に無表情になるなよ…。
=セネヴィル、にっこり笑う。
ハ:笑うなら、何か言えよ…。
=セネヴィル、笑顔のまま、お茶をすする
ハ:お前の無言って、一番怖いんだよ!!!
―回想終了―

ハ:(あれから何日か経つけど…。今んとこはセーフだな。)
=雪はメモに夢中。
=カリカリと、メモの音がする。
ハ:ええええ。メモ速えぇ…。
雪:あはは!よくいわれます。
ハ:しかも、色々書き込みあるし…。マメなんだなー雪って。
雪:書いた方が覚えるし、見返せるじゃないですかー。
  お客さんとも会ったことないですけど。
ハ:そうだなー。時間がなー。
 (合わせられるか―!!
  セネが、店に雪がいるって時がわかるようにしてるし。
  大体、普通の人間には、ただの家だから客がくるわけが―!)
=扉があく。
雪:いらっしゃいませ!!
ハ:(なんでーー!?…あ?)

=変装バレバレの花姫皇子と、1人の客(田所)が来店する。
ハ:え…。サー…。
花:(しーっ) 
  こほん。
  ここは道具屋ときいたのですが、こちらを直してほしくて…。

=客が、風呂敷広げ、酒の席で使うようなものをみせた。
雪:酒器セットですか?
客:とても大事なもので、普通のお店だとお願いができなくて…。
ハ:うーーーーーん…。この素材って結構特殊ですよねー?
客:そうだと思います…。私の不注意ばっかりに…。
花:気を落とさず…。今回は不運だったとしか…。
ハ:店主に聞かないとわからないのですが、
  とりあえずお話をお伺いしても?
客:はい。
=雪、花姫皇子をじーっとみている
花:あのぉ…、なにか?
雪:お客様、優しい春の香りがします!
花:え。あ。素敵な表現ありがとうございます!
  実はこれ自分でつくっていて。
雪:そうなんですね!すごい資格もってますね!!
花:資格…?
雪:え?
花:あ、いえ!!今度、お持ちしますね。
雪:ええええ!いいんですか?
花:はい、よかったら使ってくださいまし!!
ハ:ちょい、ちょいちょい!雪!話し聞くからさ。
  台所からお茶持ってきてくれないか? 
雪:あはは。ごめんなさい、話し込んじゃって。行ってきまーす。
=雪、家部分にある台所へ行く。

ハ:どういうつもりだよ。サーヤ
花:申し訳ありません。私が頼れる所がここしかなくて…
客:申し遅れました。私、ある山主様の使いをしております
  田所と申します。
ハ:これは、ご丁寧に。
花:田所さんが住む山ノ主様とは、私たち4人親交がありまして…。
  先日、薬入れをお贈りしたのですが。
  そのお返しに、特別なお酒を用意するといって
   山ノ主様が用意してくださったものなんです。
ハ:だからおちょこが4人分あったってことか。
花:しかし、器はすべてこのような状態になってしまって…。
  会場まで運ぶものがなくて。
客:お酒をまだ入れる前でよかったのです。
ハ:飲み会でもやるのか?
花:はい、一か月後くらいに、お祭りがありまして…。
ハ:なるほど…。
花:とりあえず、お酒を入れる樽でも買いにとも思ったのですが。
  山ノ主様が作ったものですので…。
客:何卒、よろしくお願いいたします。
ハ:う~~~~~~~ん。
セ:それって山ノ主様にちゃんと言った?
ハ:びっくりしたぁ…。店主のセネヴィルです…。
セ:どうもぉ。
  なんども声かけたんだけどねぇ。だから話はさらっと聞いてたよ。
  田所さん、山ノ主様には、器が壊れたことちゃんと言いました?
客:はい。正直に、申し上げました。
セ:なんか言われました?
客:いえ、それが何も…。
セ:なら、大丈夫かなー。
3人:…?

=雪、戻ってくる
=雪が戻ったので、異界のことを人間界に落とし込んで話を続ける。
雪:あ、セネ、おかえりー。お茶です、どうぞー
客:ありがとうございます。
セ:田所さん的には、どうたいです?
客:私の意見…ですか?
ハ:一応、贈り物だからなー。
  近い関係性の田所さんの意見は貴重だと思う。
客:大変、綺麗なものでしたからね…。なんとか元に戻したいです。
セ:一応、ここの工房を見てみますか?
客:ぜひ!
雪:あ、私が、ご案内しますー!
セ:すごい精力的だね。
雪:えへへ。私にとって初めてのお客さんだからね!
客:では、見てきます。
=雪、客は、工房へ向かう。

セ:で、どうしようかぁ。
―バン!!
―ガランラン
=鈴が暴れ鳴る。
=店に、風、雷、岩がなだれ込むようにはいってくる。
岩:サーヤ!
花:姉さま!兄様方。どうしてここに?
岩:人間界に行ったまま連絡がなければ、心配になるだろうが…。
風:能力を使った跡とその香りを辿ったらここに着いたというわけだ。
花:あらら…。それは、申し訳ございません…。
雷:まぁ、キタケ関連じゃなくてよかったな!
花:雷兄様。キタケは、ここに勤務しているので…
  声を抑えめにお願いいたします…。
雷:ん?あぁ。そうだったな!
風:すまんな、セネヴィル。
セ:いや、丁度いいなって思って。
3人:?
セ:本題に行く前に、雪の対応しないと。
  サーヤ。いつもより効力がすこし優しめの花でお願いしていい?
花:こちらでどうでしょう?
セ:ばっちし。ありがと。
=セネヴィルは、花から、受け取る。
=香炉の横に花を添えて、香を焚き始めた。

=雪と客が戻ってくる 3人は擬態し隠れる。
セ:お帰りなさい。工房は扱えそうですか?
客:それが…。私では…。
雪:えっと。
 …材料がたりないのと、工具がはじめて…使うものが多いみたいで…。
=雪は途中とぎれたり、ゆっくりと話している。
=よくみると、目をしぱしぱしている。
セ:雪、がんばって、疲れたでしょ?座敷いって少し寝てきなよ。
雪:うぅ…。お客様の前でごめんね…。いってくる…。すみません…。
客:いえいえ。色々ご丁寧に対応していただいて…。
  私はすこし外へ行ってきます…。道具のことを調べもしないと…。

=雪、奥の部屋に行き、眠る。
=客は、扉をでて、店先でうんうん唸っている。

風:香に添えた花は、休息の花か。
セ:雪に強い疎外感はあたえたくないですからね。
  それに、実際、頑張ってるんですよ。
ハ:メモも、すごい細かいっすよ。
  あんなに眠くなるまで頑張ってたんだな…。
花:あの。あの。本題へ…。
セ:ごめんね。あの器達はわざと割れやすいように造られているんだよ。
岩:根拠は?
セ:断面の端っこ見てほしいのと。
  丈夫そうにみえて軽すぎる。中身がスカスカなんだよね。
花:本当ですね…。山ノ主様のいたずらですか?
セ:違うと思う。
まず、あそこの山ノ主様はそろそろ交代の時間がきてるんだよ。
花:田所さんはそのことを…
セ:知らない方がいい。
花:うぅ…。
岩:悲しむな。私たちも。精霊皇達も。交代の時はくる。
  それは田所も知っているだろう。そういうものだ。
雷:なぁ、どうして田所が試されてるってわかったんだ?
セ:手に結構マメがあった。首には日に焼けたあともあったね。
  それに眠そうな雪に対して、嫌がりもせず、手を貸していた。
ハ:たしかに。嫌がるそぶりもなかったな。
セ:かなりの働きもので、優しさも持ち合わせてるんだとすぐわかったよ。
花:そうです!!
  山にそれは立派な荘園があるのですが、
  今は、ほぼ1人で丁寧に管理をしてらっしゃいます。
セ:あとは、田所っていう、名前も、貰ってる。
雷:あそこの山ノ主は、使いたちに名前を与えているが…?
風:む…、まてよ?昔に―…。
セ:田所っていうのは、昔、現地で実務する役職名でもあったんだよ。
ハ:身につけている服も、それなりものもだったな?
  着慣れてない感があるけど。
岩:あー。最近注意されたとかいっててな。
  田所は、四六時中作務衣を着てるやつだった。
雷:そうだな。あそこの山ノ主は、センスにうるさいからな…。
風:で、今回。田所はなにを試されているんだ?
セ:さぁ、そこまでは―。
=セネヴィルは、知らないというが、心当たりはあるような顔をしている。
=4人は顔を見合わせている。
=ハジカミは、自分にできることはないかと思案しているようだ。
―カランカラン
客:はぁ…。
=客が戻ってきた。落胆している。
客:やっぱり、どうしようもないですね…。
雷:なに悲しいこと言ってんだ。
客:植物たちと、器では違いすぎて…私の力では。
風:物にも、魂が宿るというだろ?
岩:心の底から諦めたいのなら止めないが
花:姉様…。
客:…私の力では…。
雷:俺たちだからこそ、言ってほしいが。
客:だからこそでございまして…。
  ―。人間のセネヴィルさんはどう思いますか?
セ:人間として…ねぇ。
=セネヴィル、深呼吸をひとつする。
セ:昔から人は、神仏の前では、唯一。素直になるよなって思ってます。
  心の中でも、口にだしても、手を合わせる。頭を垂れる。
  でも、それが目の前にいる人になると
  不思議なことに言えなくなるんですよね。
客:確かに、山ノ主様の下へくる方も
  街での印象と違う方がいらっしゃいます。    
セ:うまく伝わらないって決めつけて。言葉を選んで。
  それがめんどくさくて。 そうやって勝手に疲れる人もいる。
  だから、人として、素直な気持ちは、大切にしたいなと思います。
客:私の…素直な気持ち…。

=客はぐいっと、飲み物を飲み干す
客:皆様のお力を…、どうか、この田所に貸してください!!
=田所と勢いよく、それでいて気持ちよく。全員に頭を下げる。
花:私からも、お願い申し上げます!!
=花姫皇子も、田所の隣にすっと寄り添い、同じように頭を下げる
風:もちろん!!さて、できることは…。
岩:私からは土台となる鉱石は手配できるが。
風:火力を安定させるか、材料を細かく刻むくらいか…。
  材料を運ぶのもするか?
岩:あぁ、頼む。
雷:俺は…なんかあるか?
セ:4人それぞれの材料(ちから)が必要だとおもうよ。
雷:俺にできることは…。
セ:加工に、火力安定に、物質をきれいに仕分けたり…。
  エネルギー枯渇するかもね。
雷:まじかよ…。
花:私は、染色の材料と…ほかには、えっと…。
風:焦らずとも、色々とやれるだろう
花:え?
岩:頻繁に足を運んでいるサーヤしかわからないこともある。
雷:花の。
花:はい。
雷:俺はエネルギーを出すことだけだけしか今は思いつかないが。
  俺はお前がうらやましい。
=雷の素直な言葉に、その場にいる全員がそれぞれ驚く。
雷:お前の手と俺の手を見てみろ。
  お前の華奢な指や手。いろんなものを愛おしく思う目には、
  俺にできないことができるはずだ。
花:はい!ありがとうございます!!
客:皆様、ありがとうございます。

=わいのわいのいっている輪をはずれ、セネヴィルとハジカミが様子をみている。

セ:主は、代々こうやって受け継いでいくんだね。
ハ:セネが知ってたんだ?
セ:そこの棚に答えがあるよ。
ハ:これって…。今の山ノ主様の…。
  こっちは、ずいぶん古いけど、同じ素材を使った匂いがするな。
  なるほど。ここの段の器は、歴代の…。
セ:これは、山ノ主様が行うテストのひとつ。
  周りに助けてもらうこと―。
  私も目の前では初めて見るけど。
ハ:タスクとか、試練って、周りに頼ったらダメだっておもうけど…。
  そうだよな独りよがりになると心が潰れるもんなぁ…。
セ:それを山主の座に就くとなると余計にしなくなる。
  問題や、背負うものがあると、視野が狭くなる。
  そうして、いつの間にか袋小路。
ハ:全員がクリアするわけじゃないだろ?この試験。
セ:ダメだった人もいるよ。
   それは、こっちのアクセサリーとかに加工してある。
ハ:その…。失敗した本人たちは、今どうしてるんだ?
セ:今は新しい主の下、主力の使いとして支えてるよ。
ハ:それは、よかったな。
  そういうやつらが支えてくれるんなら、田所さんは、大丈夫だな。

―数日後―

雪:セネー!なんか届いたよー。
=小さな木箱を置く
雪:手紙ついてるー。
  『先日は工房までお貸し頂いて。お世話になりました。
  こちら、修復する際に、お礼として、作成したものになります。
  お受け取り戴けましたら幸いです 田所』だって。
=酒器セットと茶器セットが入っている。
=水と木のモチーフの器と、山胡椒のモチーフの器
=取り出して、うっとりする雪。
雪:きれいな器だねぇ。
セ:そうだね。
雪:あれ、別の梱包もある。

=竹と雪のモチーフがあしらわれた、微量の魔力が込められた器。
雪:うわぁ…。これ、私用にかな!?
ハ:そうじゃないか?竹 に 雪なんて珍しいデザインだな。
雪:へへ。嬉しいなぁ。あと、なんか心が落ち着くかんじ!
ハ:(小声)山主の加護ってところか?
セ:(小声)そうだろうね。先代と田所さんの神力に4人の加護付き。
ハ:(小声)すげえものくれたな…。
雪:お?おぉぉぉ?ちょっと水もってくるーー!!
ハ:どうした?
雪:やっぱりそうだーー!!ね。みてー。
  こうやって置いた後に、水を注ぐと…。器の中の飾りが浮いて見えて、繋がって見えるんだよ!すごいよね!!
ハ:ほんとだ、すげーな!!
雪:ありがとうございますってお手紙かかなきゃ!
   セネ、レターセットつかっていい?
セ:いいよ。その前にこの器でお茶休憩しよう。
2人:賛成ー!

―EP4 できることはなんですか? fin.

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