【提供体験談】末梢血幹細胞提供をしたよ!
こんにちは!
骨髄バンクユースアンバサダーのきめたです。
現在大学3年生、就職活動から逃げ出したい思いでギターを購入。ESよりもFコードの音を出すことに心血を注いでいます。
今年の春に私は骨髄バンクを通して末梢血幹細胞の提供を経験しました。今回はその体験について、思い出せる範囲で書いてみようと思います!
入院に至るまで
3年前、ドナー登録をしたよ!
遡ること3年前、2021年。ようやく18歳になった私は、骨髄バンクにドナー登録しました。
こちらがその時の記事です。もし良ければ併せてお読みください。
適合通知がきた!
2023年冬
それは突然やって来ました。
SMSでやってきた適合通知。
その唐突さと簡潔さに、私はつい、迷惑メールか?と疑ってしまったことを覚えています。
ちなみに私は当時、たまたま大阪に一人旅している最中でした。万博公園にある大きな観覧車に一人で乗っている、まさにそのゴンドラの中でこのSMSを受け取り、その後の景色は全く覚えていません。
確認検査・最終同意面談・術前検診
フォームに回答後、骨髄バンクのコーディネーターさんから連絡が。
コーディネーターさんには最初から最後までとってもお世話になりました。日程や施設の調整をはじめ、体調や学校の休みについても気にかけてくれます。
本番まで、確認検査・最終同意面談・術前検診を経て入院します。
私の場合は、通知から約1ヶ月後に確認検査。その1.5ヶ月後に最終同意面談、そしてその約1週間後に術前検診。その約1ヶ月後に入院しました。
確認検査・術前検診については特に大変なことはなかったように思います。ただ、ドナー候補者は最初の段階で最大で10人いて、その人たちが何らかの理由で終了することも多いようです。
自分の場合は何人いたのか分かりませんが、健康だったおかげで選んで頂いたと思うと嬉しいです。最近サボってる筋トレ、また再開しなきゃ。
私の場合、難しかったのは最終同意面談の方かもしれません。
私は母親にお願いしましたが、家族と休みを合わせる必要がありますね。また、もしご家族と一緒に住んでいない場合は、より大変そうです。ただ、家族が遠方に住んでいる場合は、電話やweb会議での面談も出来るそうです!
適合通知が届いたら、できるだけ早く家族と相談することをおすすめします!普段から骨髄バンクについてお話しているのがベストですね!
入院〜採取〜退院
いざ入院!
全てのケースには当てはまらないかもしれませんが、とても幸せな入院でした!
まず、病室がめちゃくちゃ綺麗で、高級ホテルかと思ったほどです。毎日清掃の方がお部屋を綺麗にしてくださるのを見て、医療における清潔さの重要性と、ホスピタリティが与える安心感を感じていました。
また、食事も最高で、大好物のさば味噌が美味しかったことを今でも覚えています。また食べたいなあ。
院内には売店やカフェもあり、何一つ不自由しませんでした。
でもこれは、患者さんが希望する時期にたまたまこの施設で採取できたということなので、自分の場合は超ラッキーだったと思います!
入院するにあたって、私は1週間、大学とアルバイトをお休みしました。
理解のある先生方とアルバイト先の社員さんのおかげで、特に支障なく入院できましたが、社会人の方はきっと大変だと思います。学生の身でありながら、ドナー休暇制度の必要性を強く感じるところです。
末梢血幹細胞提供って?
骨髄バンクを通しての提供には、「骨髄提供」と「末梢血幹細胞移植」の2種類があります。
後者、末梢血幹細胞移植の場合、入院はおよそ1週間(2泊3日〜6泊7日)。私の場合は月から金、4泊5日でした。2泊3日の施設はまだ少ないみたいです。
採取当日に向けて、1日目からは白血球を増やす薬「G-CSF」を連日注射されます。これが地味にちょっと痛い。ですが、毎日2発打たれるので、終盤には慣れてました。
そして採取当日は、大きな機械(血液成分分離装置)に両腕を3〜6時間繋がれることになります。片方から血液を抜いて、機械の中で移植に必要な成分を分離。それ以外の部分がもう片方の腕に戻ってきます。
1日目〜3日目(採取前日)の様子
入院1日目から3日目、主な目的は「1日2回、G-CSFを打ってもらう」ことでした。
ゆえに、めちゃくちゃ暇です。最高です。
私は大学の課題や資格勉強を早々に片付けて、だいたいゲームしてました。マリオカートと、Brotatoと、Balatro。特にBalatroは傑作。
しかしながら、一つだけ注意すべき点がありました。それが、「G-CSF」の副作用です。私には、腰痛と頭痛が現れました。このふたつは特に多い副作用のようです。
ただ安心してほしいのは、私の場合はいずれも穏やかなものでした。また、看護師さんたちはそのことをよく理解されていて、副作用が現れた場合はお薬を持ってきてくれました。
ベッドやソファに寝っ転がってゲームをする分には全く差し障りないレベルだったので、私にとっては最高の休暇でした。
4日目(採取当日)〜5日目(最終日)の様子
4日目、いざ本番!
採取当日、今まで以上にたくさんのお医者さん、看護師さん、技師さんなど、沢山の方々が病室に来てくださいました。
心強いヒーローたちに囲まれて、緊張していたはずなのに、なんだか心が落ち着いた気がしたことを覚えています。
(最初は脈拍の数値が若干早かったので、実際はやっぱり緊張してたみたいです。)
記録から読み解く本番の様子
採取開始 9:50
採取終了 14:43
処理時間 251分
長いね〜!4時間以上、機械に両腕を繋がれていたことになります。私の場合、途中でトイレのために中断したことも長くなった原因のひとつと言えそうです。(トイレに行けるかどうかも採取施設によるそうです!)
また、
全血処理量 約15000mL
採取バッグ 約250mL
人間の血液の量は、体重の1/13と言われているようです。これに従うと私の血液量は約6kg。(逆算しないでネ)
血液の比重はおよそ1.05らしいので、大雑把に5700mLとしてしまいましょうか。
そうすると、私の全身の血液がこの機械を2周以上通ったことになりますか?ド文系なのでこの辺りに明言することは避けますが、250mLを採取するために、大量の血液が処理されたことがわかりますね。
それでもめっちゃ楽しかった!
めっちゃ楽しかったんです!
それは、数時間ベッドの上にいても、用意していた映画を見たり、一緒にいてくれる技師さんやコーディネーターさんとおしゃべりしたり出来たから。
私は当時見返したいと思っていた映画『TENET』を流しながら採取に臨みましたが、結局みなさんとお話するのが楽しくて、映画は途中で止めました。
骨髄バンクのドナー登録に至った経緯や、それぞれの仕事や学校、趣味の話など、お話出来ることは無数にあります。あっという間に感じましたよ。
採取中、痛みや辛いことはあった?
骨髄バンクにドナー登録している方は、その多くが献血経験者だと思います。なので、それを前提にお話すると、気分は献血とさほど変わらなかったと思います。
それがおそらく、末梢血幹細胞提供のひとつのメリットと言えるでしょう。
骨髄提供と違って、全身麻酔を必要としません。
やはり
・両腕に針が刺さっている
・長時間ベッドから起き上がれない
というふたつの点が、初めての方にとっては気がかりだと思います。
しかし、献血経験者はお分かりの通り、腕に針が刺さったあとは、痛みを感じることはありませんでした。
また、トイレに行きたくなった時は、採取を中断してくれました。助かったなあ。
さあ、退院!
その後、採取した末梢血幹細胞の量が十分であったことを告げられました。
これにて、晴れて退院が決定!(もし足りなかった場合は、5日目も採取)名残惜しくも、支えてくださった皆様や病室に別れを告げて、病院を後にしました。
ちなみに、私の場合は、入院を証明する書類の準備が特にありませんでした。もし休暇を取る関係で必要であれば、事前にお願いしておいた方が良さそうです!
感想
この末梢血幹細胞提供経験は、私にひとつ、価値観の変化をもたらしました。
私は最初「私こそがヒーローだ」という気分でドナーになることを決めました。
しかしながら、いざ病室で生活をしてみると、たくさんの人に支えられ、助けられて入院を終えました。
親身になってケアしてくれるお医者さんや看護師さんたち、専門知識をもって装置を操る技師さん、清掃の方々や美味しい料理を作ってくださる方々、そしてその他、縁の下の力持ちとして頑張る皆様。
そんな方々を差し置いて、自分がヒーローであるとは到底思えませんでした。例えば夜勤で頑張る看護師さんの方が、よっぽど多くの人を救っています。
本物のヒーローたちに囲まれたことで、私はドナーになったことで、ヒーローになった訳ではなく、ヒーローたちにたまたま手を貸すことができたんだ、と思うに至りました。
それでも、「ヒーローになりたい」と思うな、とは全く思いません。数年前にも書いた通り、きっかけがどんな形であろうと、それが実を結ぶことに意味があると思っています。
少子高齢化する社会、医療現場は逼迫するでしょうし、ドナー登録者はますます減っていくでしょう。
そんな世の中で、ヒーローになりたい、もしくは、ヒーローに少しでも手を貸したい。そう思う人のもとにこの記事が届くことを心から祈っています。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました!
YAに加入した私は当初高校2年生でしたが、今や大学3年生も終わりを迎えようとしています。光陰矢の如しとは本当だ。
次回書く記事では、企業がドナー休暇制度を導入するメリット/デメリットについて試算してみたいと思います!
また次回の記事でお会いしましょう!
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